早速のお返事、ありがとうございます。といっても、余りあなたと議論をした
いとは思っておりません。ただ、あなたの「主張」の中に、おかしなところがあると
考え、それを他の方々が見られると、事実に反する「理論武装」をなさるのではない
か、それだけが心配だったのです。
そのつもりで聞き流して下さい。
> 中国原潜の領海侵犯の件、確かに最終局面ではテレビでも新聞でも 航行経路を明示し領海侵犯の裏付けを行っていますが、当初は「先島諸島周辺を中国 の云々」とわざとぼかして報道していました。あなたが正確には、いつの時点であの投稿をなさったのか不明ですが、私は、 毎日新聞11月11日東京版朝刊で「原潜は宮古島と石垣島の間を突っ切り、午前8時ご ろ、領海を出た。8時45分になって海上警備行動が発令されたが、公海を潜航する 潜水艦に浮上要求などはできない。海自側からは『意味がない』と不満の声が漏れた 。」という記事に接していたので、当然あなたも、この事実認識に立っておられるだ ろうと考えておりました。平田崇浩という記者名の署名付記事で、IEに標準で入って いるはずのMSNのアドレスからも、次のようにアクセスできます。
http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/11/11/20041111ddm003040088000c.htmlここで言われている「潜水艦に浮上航行や領海外への退去を要求・警告する手 続き」とは、私が先の投稿で指摘した国連海洋法条約上の「領海内の無害通航」にお ける制約と、ほとんど同じです(旗を掲げる点が異なる)。そして、「海上警備行動」 の発令が領海外に脱した後だったため、「公海を潜航する潜水艦に浮上要求などはで きない。海自側からは『意味がない』と不満の声が漏れた」ということも、この時点 で明確でした。あなたは、この事実をどこで検証なさっていたのでしょうか?
> 魚釣台周辺の諸島を、漁業資源の関連ではなくて、井上清さんたち の御苦労にも拘らず「日本の固有の領海」としたこれは、あなたが指摘してやまない「大陸棚」制度やガス田・油田開発とは、 まったく違う観点からのことではありませんか?これは、日本政府が「魚釣島」を日 本固有の領土として主張しているから生じる問題であって、最近問題とされた海底ガ ス田開発基地建設問題も、日本の排他的経済水域(EEZ)に隣接してなされた点が主と して問題とされていたと思うのですが…。
> また大陸棚については色々な見解があるでしょうが、原則的にはそ の大陸の「大陸棚に存する島また資源はその国に属する」というのが法律以前の合意 事項と思います。その後は各々該当国間で協議し決めていくのが常識ではないでしょ うか。「法律以前の『合意』事項」という意味がよく分りません。あなたもご存知で しょうが、国際法は基本的にすべて明示的又は黙示的な「合意」規範なのですから…。
また、その「法律以前の『合意』事項」が、なぜ当事国を拘束するのかも不明です。 あなたがおっしゃるように、「その後は各々該当国間で協議し決めていく」必要がさ らにあるならば、「法律以前の『合意』事項」は、何ら当事国である日本国を拘束し ていないことになります。さらに、「大陸棚に存する『島』また資源はその国に属する」という命題自体、 誤っています。というのは、「大陸棚」という文言自体が、1958年の大陸棚条約以来、 「海底の区域の海床及び地下」を指すものであり、これは、確定した国際法上の用語 だからです。海底より上の「上部水域」について、大陸棚に関する「主権的権利」が 及ばないことは、確立した国際法規です。ましてや、「島」という海面上の陸地の領 域的帰属が、大陸棚に関する権利によって決定されることなど、ありえません。そも そも「大陸棚」制度自身が、レアメタル・海底鉱脈等の資源に対する権益確保を狙っ た制度なのですから、「領海の範囲」や「海面上の島の帰属」に無関係であることは、 はっきりしています。
井上清さんは、著名な歴史学者だと思いますが、本当にあなたの引用のようなテー ゼを述べられているのですか?少なくとも現代では、「大陸棚については色々な見解 がある」というような、意見の違いで説明すべき事柄ではありません。> 法律なんて力の前には全く万能ではないのですね。都合が悪くなると、「法の無力」を持ち出すのはいかがなものでしょうか。
> 弱いものが強者に勝てるよい方法、是非教えて下さい。それは何よりもまず、強者が支配の道具としている法を正確によく学び、それ を弱者のために使う方法を考え抜くことだと思います。自分に都合がよい法の部分だ けを「つまみ食い」して、しかもいい加減な法律知識で物を言わないように自戒する ことだと思います。