ロム3さん、レスをいただきありがとうございました。
ところで、下記のご意見につき、少し述べたいと思います。
自分の周りだけでも理想郷を実現したいという欲望を持った人間に、上記は失望を与 えます。社会の発展法則に反した運動は、かえって社会の進歩を遅らせます。レーニ ンの革命は、まさに、真の社会主義の到来を遅らせたと思います。その生成過程にお いてと、終息課程においておびただしい血が流れました。イラク問題も旧社会主義の 終焉と 無縁ではないと思います。
20世紀は、世界的規模における闘いの世紀でした。軍需産業が発達しました。そ のおかげで自然科学が発達したと言う面もあるでしょう。今世紀は、もしかしたら、 宇宙の変動に対して、地球、もしくは太陽系が生き延びる闘いをしなければならない かも知れない。
まず「時間の経過を待てば、頭の古い人間はいなくなる」という趣旨のサミュエル
ソンの言葉に対する、ロム3さんの感想ですね。しかしこれは、やはり真実だと思い
ますが。同様の言葉に「いかなる天才も、時代を超えることはできない」というのも
あります。
まず自然科学のように、何らかの結果をもって正誤の判定が(ある程度は)可能な
分野とは異なり、社会科学分野では(ここで「科学」などというネーミング自体に疑
問を感じますが)、何が正しいかを検証することは不可能と考えてよいでしょう。
後日、その結果を見てすら正誤判定は困難なのです。例えば、フランス革命は「間
違い、不必要」だったという主張をする学者がいます。その根拠は、犠牲となった人
命の膨大さに対して「成果が乏しい」というものです。いわば、コストパフォーマン
スの面から「革命不要論」を唱えているのです。
しかし、冷静に考えてみてください。フランス革命の「成果」と「コスト」をどう
計算するのでしょう? 犠牲者の数といっても、どの時点からどの時点までを含める
のか? 人数をどう確定するのか?
犠牲者は、パリの中心部にある広場で断頭台に上った人だけではありません。むし
ろ、地方の中小都市で、革命派と反革命派の相互テロは熾烈を極めたそうです。有名
な革命派の僧フーシェなどは、反革命派の住民を川に追い込んで溺死させたり、大砲
を打ち込んで殺戮したという「武勇伝」を残しています(岩波文庫「ジョゼフ・フー
シェ」参照)。もちろん、双方における「処刑者リスト」なども残ってもいません。
革命の期間という面を考えても、ロベスピエールやサン・ジュストらの「ジャコバ
ン主流派」の処刑(テルミドールのクーデター)をもって「革命終了」と考えるのか、
1815年のナポレオンの敗北(ワーテルロー会戦)まで含めるのかで、犠牲者数はまっ
たく違います。
ナポレオンが、スペインからロシアまで転戦して、フランス軍兵士150万人以上が
戦死しています。それに、彼らは「犠牲者」なのでしょうか? それとも「革命の精
神」を全ヨーロッパに広げた「英霊」なのでしょうか?
このように、歴史学の見地から過去の出来事を総括することも、事実上は不可能
です。
したがって、私自身は「人間は歴史に学ぶことはできない」と考えています。一人
の人間が何百年も生きているのなら、あの時はタイミングが悪かったとか、いろいろ
反省もでき軌道修正もききます。
しかし、現実には「世代が入れ替わる」のです。ですから、ロム3さんの「レーニ
ンの革命は、まさに、真の社会主義の到来を遅らせたと思います。」というご意見に
は、私も同感なのですが、それをもってレーニンを批判することもできないでしょう。
そもそも、革命の最前線で戦った人達(前線を脱走した兵士や、武装した労働者・
農民、義勇兵)は、自分が「ブルジョア革命を戦っている」とか「ボルシェビズムの
ために戦っている」などと考えていないでしょう。
私は、人民解放軍の元帥・朱徳の「偉大なる道」スメドレー著(岩波文庫)にも感
動しましたが、そこで感じたのは「人は指導者について行くのであって、イデオロギー
について行くのではない」ということです。
前線の兵士は「この人のためになら、死んでもいい」と自分を納得させて戦い、死
んでいくのです。フランス革命時にはサン・ジュストが、ロシア革命時にはトロツキー
が、中国革命時には朱徳が、それぞれ革命軍のカリスマ指導者として、革命の最前線
に立ったのです。
もちろん、高度情報化社会・高度資本主義社会の現代は、どこの国でも「カリスマ」
が生まれ難い時代です。さらに、もともと「カリスマ指導者」を生むことができない
日本人の国民性を考えると、急に話を現実に引き戻しますが、政界・財界ともに「小
粒なリーダー」が優秀なスタッフを抱えてやって行くという方向性しかないのかもし
れません。
しかし、それにしても「受験秀才」や「作文秀才」しか指導部にいないようでは、
革新政党はやって行けないのではないですか?
ロム3さんの「20世紀は、世界的規模における闘いの世紀でした。軍需産業が発
達しました。そのおかげで自然科学が発達したと言う面もあるでしょう。」も、同感
です。
インターネット自体が、米国防総省の産物ですし、ロケット技術もまた、ナチ第3
帝国の技術を受け継いだロシアと米国の技術者の成果です。
また、日本の戦後の高度成長を支えた技術力も、戦前の教育(旧制高校・帝国大学)
を受けた旧日本軍の技術者の参加によって大きく花開いた面があるようです。
このあたりの「悪循環」というか、武器開発と無関係な部分で科学技術の発展をい
かに成し遂げるか、さらに、技術の発展が一部の人間の利益だけに結びつかないよう
にできるか、環境保護や生命倫理の問題と整合性を保てるか、そこに懸念が強いです。
私は、生産力の発展に期待しています。酸素製造装置を宇宙に運び込んでオゾンの 破れ目を修復したいです。
水素エネルギーの利用を早めたいと思います。人類は、豊かで、しかも地球は安泰 という社会を夢見ています。
ロム3さんもご存知のように、党綱領改定案の公開討論(しんぶん赤旗別刷)でも、
この「生産力の飛躍的発展」という文言に疑念を持つ党員の声が紹介されています。
ですから党員の中には、かなり関心を持っている人も多いのです。ただ2004年1
月17日採択の「綱領」では、環境問題との関連でさらりと触れているだけで、党全体
としての危機感は不足していると感じます。
まあ、マルクス・エンゲルスの生きた時代は、ダーウィンの「進化論」が世に衝撃
を与えた時代ですね。マルクス自身が彼の「資本論」の刊行に際して、ダーウィンに
推薦文を依頼して断られています。
とにかく、化学分野・生物学分野等で大きな進展があった時代で、科学の進歩が何
もかも可能にするという確信に満ちていたのではないでしょうか。
現在では、たとえば医学の面だけ見ても、まだ「医学分野の90パーセント前後は未
知の状態」と言われます。
すなわち、人類の期待に沿うほど、急激に科学が進歩するという考え方は幻想に近
いということでしょう。
また、欧米の環境学者は「気候変動・食料危機・人口爆発・環境破壊」のさまざま
なデータから、人類はもうポイント・オブ・ノーリターン(引き返せない点)を超え
たと言っているようです。これは、国連の報告書か何かに書かれているようですが、
まだ原文を見ていません。
人類の完全な絶滅か、一部の人類が生き延びるか? 両論あるようですが、生き延
びるとしたら「大国の支配階級」と「科学者」だろうと思います。
大国と言えば、今ニュースで流れているウクライナの大統領選挙、これは1つのター
ニングポイントになりそうです。
与党側に不正があったのは事実でしょう。しかし問題は、そんな小さいことではな
いと感じます。それは、今回のアクシデントが「ウクライナの東西分裂」をもたらす
可能性が大だからです。
ウクライナの東部(親ロシア地域)は、ウクライナのGDPの60パーセント以上を産
出する工業地帯です。それにひきかえ、キエフの属する西部(親ポーランド・親EU)
は、単なる農業地帯です。再選挙の結果がどうあれ、東部は経済的に自立することが
可能で、そうなれば、ロシアとの統一国家、また連合国家という状況が容易に想像で
きます。
ロシアは、2000年前後に経済が底を打ち、原油価格の高騰と優秀な理科教育で育成
されたIT技術で、BRICSの1国として、インドやブラジルとともに中国の次に
急成長を遂げる大国と見なされています。さらに、ウクライナ東部の工業力をプラス
できるわけです。
ソ連崩壊の時、これを誰が予想したでしょうか? ポーランド人などは「EUにも
NATOにも加盟できる自分達が、ロシアなど相手にしてもしょうがない」と、テレ
ビのインタビューで言っていたのです。
そのポーランドは、ヨーロッパに詳しい友人に言わせると「勤労意識なし、被害者
意識の固まり」で、お先真っ暗という感じだそうです。それでアメリカに助けてもら
いたい一心で、イラクにも大部隊を派遣しています。この国の、ドイツ人とロシア人
に苛め抜かれた歴史は有名ですが、しかし、いくら被害者としての歴史を「自慢」し
ても、そんなことに、国際ビジネスの戦場で生きている人達が関心を持つことはあり
ません。
あの「反革命労働運動」のヒーロー・ワレサおじさんが、ウクライナに行って反ロ
シア勢力を煽っていますが、西ウクライナの人達も、これからはポーランドのような
惨め道を歩むことになりそうです。
こういうのを見ると、プーチンの悪運の強さ、ブッシュの悪運の強さを感じます
(2000年の米大統領選挙において、フロリダ州では大規模な不正工作があったようで
す。文春11月25日号「巨大化するメディアと個人の良心」から)。この4年前の米大
統領選挙の「不正疑惑」を暴くこともできなかった米国マスコミは、皮肉にも「米国
の本質」を世界に暴いてくれたとも言えます。しかし、米国は巨大です。今も昔も、
国際政治の舞台では「力は正義」であり、どんな奇麗事を叫んでも、大衆自身が奇麗
事を信じません。
それにやはり、国家にも「格」というものがあるのでしょうか? ベトナム、韓国、
ドイツなど、民族分断の不幸な歴史を持つ国でも大きく発展していますね。
韓国は、日本より先に「IT国家」を実現、芸能分野でも圧倒的なパワーを見せ付
けています。ベトナム人は、米国のビジネスマンを笑顔で迎え、彼らには「被害者」
ぶって同情を引こうとする、あの「どこかの党の女性党員」のような卑屈さはありま
せん(私は、ある党員に「創価学会の人に殴られた」という自慢話で、募金を要請さ
れた)。
東欧の小国は、社会主義を捨ててNATOに加盟して、EUの仲間入りをすれば、
みんな「豊かになれる」と思い込んでいたわけです。
だが現実は、そんなに甘くなかった。民主化と経済的繁栄は別だという「冷酷な現
実」があります。国家の盛衰を決定するもの、すべては「技術力」であり「経済力」
だという、マルクス主義者なら誰でも知っていそうなことを、長く共産主義体制下に
あった彼らは知らないのです。まあ「馬鹿」と評されてもしかたがないでしょう。
話は戻りますが、21世紀が「平和と進歩の世紀」と言った不破さん、21世紀は「戦
いと動乱の時代」らしいですよ。今や、米国民はイスラム勢力の「米本土での核攻撃」
をかなりの確率で実行されると考えているらしい(在米の友人の話)ですし、米国と
イスラエルによる、イランへの先制攻撃が予想されています。当然、イランもまた、
自己防衛のための核武装を進めています。中東での何らかの戦争は避けられないと見
られています。
これからの世界は、ある一面で「イスラム教勢力とユダヤ・キリスト教勢力」の対
決という様相を見せつつ、強大な宗教国家に変質して行く米国、没落する欧州、低迷
するアフリカ・中東、躍進する中国・太平洋諸国・ロシア・ブラジル・インドが、資
金力と技術力と軍事力を競いながら、人類歴史の終焉(今のままなら)に向かって突
き進んで行く感じでしょうか。
「水素エネルギー」の件は、よく知りません。調べてみます。ただ「燃料電池」も
有望のようですね。化石燃料を用いない動力が普及すれば、環境破壊のスピードを緩
めることはできます。
私は今後、党員の方も含めて、環境問題への関心を高めるための活動をしたいと考
えます。