11月10日朝、どこからか降って沸いたようにこの国のテレビ新聞は「中国原潜か?領海侵犯」などと喚き散らしだした。
それはイラク・フアルージァで米軍がいるともいないとも知れない「イラク・アルカイダ機構」の「ザルカウィ幹部」捜しを口実に、イラク民衆への無差別攻撃に入ったときとほぼ一致している。
そして今日12日夕方、大野防衛庁長官は「潜水艦がほぼ中国の漢級原潜であり」「比較的浅い海域を這うように日本の防空識別圏から脱出した」と語った。
この事は既に中国の潜水艦が何回もこの海域を航行し、航路その他を十分に中国が知り尽くしている事を認めということだ。
しかしそれは当たり前だろう、大半が中国大陸の大陸棚にあたり、現にそこでガスや石油を採掘しているのだからー。
瀬戸内海を日本の船が自由に往来するのと殆ど変わりがないのだ。
そもそも今回の騒動は、その未だ国籍不明の潜水艦が具体的にどこで領海侵犯したかどうかは明確にせず、ただ「先島諸島海域で領海が侵犯された」と言ってマスコミを大動員したのだ、明らかに日本政府に何らかの意図があってのプロパガンダなのである。
攻撃型潜水艦であろうとなかろうと、公海を船舶が航行するのは何ら違法行為ではない、たとえ日本政府が勝手に決めた「防空識別圏」とやらを、たとえ北朝鮮籍でも中国や韓国の船でも自由に航行出来る、だから公海なのだ。
日本政府のプロカバンダ、それは米軍のフアルージァ総攻撃を何にも検証せず認め、国会でその事を追求され「自衛隊が行くところが非戦闘地域だ」等としかいえなくなった小泉の、私たちの関心をそらす為のものであり、そしてより本質的には、中国東海地区大陸棚でのガスや石油の開発に乗り遅れ、その敗勢を最早挽回できなくなった事への国民への弁明であり、中国への焦りにみちた嫌がらせである。
自分の努力不足は事は棚に上げておいて「中国はこんなに悪い」と排外主義的に私たちに嗾け、動員しているのだ。
そもそも大陸棚の開発などはその国に優先権が認められている。
今中国が欧米とも手をつないで(日本政府の圧力によって2社が手を引いたといわれているがー)開発を進めた海域は、明らかに中国大陸の大陸棚に位置しており、もし日本が開発したいならば精々中国との共同開発を申し入れればならない地域なのだ。
日本が主張する国境との中間点所謂、「排他的経済水域」境界より地理的要因としての大陸棚開発が優先されるのである。
しかし今回の騒動で政府の意図とは反対に、既にこの国がP3C哨戒機100機を保有する「軍事大国」であることが証明された。
そして更に資源開発などで、この国の姿勢が改めてあからさまになったのだ、石油がほしいなら自衛隊をイラクに送る込む前に、中国との地道な外交努力が必要だったのである。
それが「東アジアの平和」というものだろう、それともこのままかつてのように軍事大国化、侵略国化への道をひた走ると言うのだろうか?
しかし、政府の意図のまま流された情報にしがみつく、マスメディアの体たらくは笑うしかない。
もうマスメディアの「大本営発表病」は重症になっているかも知れない。