お久しぶりです。
標記のあなたの投稿で、見過ごせない事実誤認と一方的断定がありますので、指摘
させて下さい。
> しかしそれは当たり前だろう、大半が中国大陸の大陸棚にあたり、現にそこでガ スや石油を採掘しているのだからー。
瀬戸内海を日本の船が自由に往来するのと殆ど変わりがないのだ。
> 攻撃型潜水艦であろうとなかろうと、公海を船舶が航行するのは何ら違法行為で はない、たとえ日本政府が勝手に決めた「防空識別圏」とやらを、たとえ北朝鮮籍で も中国や韓国の船でも自由に航行出来る、だから公海なのだ。
あなたはこの2箇所において、今回の中国原潜が「公海」を通航していたと考えて おられるようですが、それは日中両国政府の見解とも違っておりますし、国際法の原 則とも違います。
日本政府が問題としていたのは、先島諸島の石垣島と宮古島の間にある閉鎖的領海 (領海基線から12海里内の領域-領海法1条・2条)域内を、国連海洋法条約で認め られた無害通航権に関する「海面上を航行し、かつ旗を掲げなければならない」(国 連海洋法条約20条)という制約に従って当該潜水艦が航行しなかったことであり、 「公海」上の行動ではありません。この点については、中国政府も、「未確認」の時 点から異論を差しはさんではおらず、「領海の無害通航とは言えない」ことに争いは まったく生じていません。
また、あなたは、「大陸棚にあた」れば「瀬戸内海を日本の船が自由に往来するの と殆ど変わりがない」と言っておられますが、それも違います。
まず、日中両国は、「向かい合っているか又は隣接している海岸を有する国の間に
おける大陸棚の境界画定」に関して、「国際司法裁判所規程第38条に規定する国際法
に基づき合意により行う」とされている手続をとってはいないでしょう(国連海洋法
条約83条)。したがって、大陸棚縁辺がどこまでも中国の「主権的権利」下にあるわ
けではありません。
しかも、この大陸棚沿岸国の有する「主権的権利」は、「上部水域又は上空の法的
地位に影響を及ぼすものではな」いものです(国連海洋法条約78条1項)。ですから、
今回の「上部水域における軍艦たる潜水艦の通航方法」に関して、大陸棚に対する中
国の「主権的権利」を持ち出すこと自体が、およそお門違いのことです。
この点については、例えば、「しんぶん赤旗」11月13日(土)付2面に、詳しい解
説記事がありますので、ぜひ参照して下さい。
国際法を根拠として問題を分析するのであれば、論点はなるべく正確に把握すべき だと思っております。それは、素人でも同じではないでしょうか。