原水協活動とか加盟とかに関しては、したい人はすれば良いと言います。しかし僕 はと言うならば、自立性を持たないような団体は嫌いだし、なによりも倫理的に許せ ません。それでもかまわない人、その意味が分からない人、関連事実を知らない人が やっているとすら思っています。そんな運動は、よほど体質が変わったとはっきりし ない限り、発展はしないだろうとも確信しています。その点では、「むぎむぎさん」 に肩入れしたい気持ちです。ある種の反戦思想、運動を「羊頭狗肉」(それを無自覚 な場合も含めて)と見る、彼のその嫌悪感も僕は共有しています。
まずなによりも、日本原水協が以下の状態を放置したままにしていて、これを 謝罪せ よとの内部的議論がどうしていまだに起こらないのでしょうか。これが自立的でない との典型的実例です。もし、僕が聞き知っているこの事実に誤りがあれば指摘してく ださい。
1 日本原水協は84年6月の全国理事会を、会則によるその招集権者(当時の会則 で「本会を代表する」とされた代表委員、総員9名)の連名で緊急に招集したが、こ の9名は理事会開催に反対であって、「招集文書は偽造である」、「この理事会は無 効である」と言い続けている。
2 また、こうして開かれた全国理事会で、代表委員制度そのものが廃止された のだ が(つまり、それまでの会の代表9名の解任ということでもある)、1の経過から 言ってこれも当然無効であると、代表委員たちが言い続けてきた。
3 1、2の代表者解任の本質は、一種のクーデターであり、当事者たちは日本共 産 党が裏にいてこれ行ったと言い続けてきた。その証拠も十分すぎるほどある。
4 この問題が、その年の原水禁世界大会準備委員会運営委員会にも波及してい き、 そこからいわゆる「日本共産党による、古在由重問題」にまで広がったというのも有 名な話だ。世界大会準備委員である日本原水協代表委員・吉田嘉清に「無資格だから 退場せよ」との怒号が巻き起こったとき、この戦前からの老共産党員哲学者は立ち上 がって、こう言ったのだった。「吉田さんが退場なら、僕も退場します。大体、同じ 考えだからね」。そしてこれ以降、古在は共産党との関係を絶ち、他方共産党のほう は90年9月の「古在由重先生を偲ぶつどい」に「党員は参加するな」と命令すると いうまでに進展していった。ちなみに、この集い呼びかけ人には加藤周一、家永三 郎、遠山茂樹らが名を連ね、当日1500名近くが参加している。
さて、以上の経過の事実の意味を考えてみましょう。
1 日本原水協とは、このクーデターの時も、以来20年も、何の抗議もしない 組織 だということ。だから、こういうことを容認する幹部ばかりの組織だと第3者が判断 して当然だということ。
2 日本共産党は、「党員はいろんな民主主義的大衆組織の目的実現のために、 そ の規約を守って頑張れ」という方針を掲げているが、実際には関係大衆団体内の党員 幹部に規約を蹂躙させて、クーデターを起こさせる場合があるということ。
3 こういう事実が、関係者、有識者から顰蹙を買っているということ。例え ば、「古在由重先生を偲ぶつどい」の出席者、党員も含めた1500名近くの全ての 人々から。この中には日本の民主主義的学者、知識人、文化人が多数いたはずです。 まだまだ労働の質が問題になる社会、日本共産党が政党としての社会的影響力を大き く損なった事件となったわけです。
さて、草の根さんが言うように、一致点に基づく魂こもった運動を真に発展さ せる 道はあります。こういう事実の美しい清算こそその出発点じゃないでしょうか。共産 党が恥をかくだけですむことですから、ごちゃごちゃ言わないでぱっとやればよい。 草の根さんも僕らに文句を言うより、こういうことをもっと語ればよい。しかし、こ れは無理でしょうね。現在の共産党にとって「生命線」のようなもんですから。で も、「無理が通れば道理ひっこむ」なんてやり方を求めるのはこういう運動には特に 致命傷じゃないでしょうか。