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Re:時代が変われば社会主義の中味も変わるんじゃないでしょうか~12/17とおりすがりNさんへ

2004/12/19 樹々の緑 50代 会社員

 私の12/11付本欄への投稿に対する返信第2信ですね。これがアップされる前に、あなたの12/15付第1信に対してだけ再返信を投稿しました。多分順次掲載されるだろうとは思いますので、あまりセッカチにならずに待っていて下さい。この返信の元になったあなたの投稿で出されていた「疑問」についても、そちらに大体は私の考えを述べていると思いますので……。

 それにしても、とおりすがりNさんは、本当に並はずれたご健筆ですね。ひと頃の寄らば大樹の陰さんを彷彿とさせるものがあります(ご存知ないかも知れませんが…)。ですから、私のお答えは、あなたの発問のペースに合わせることはできませんので、あらかじめご了解下さい。

 総論的に言えば、あなたが「社会主義(正確には、社会主義理論だと思いますが…)の中身も変わる」とおっしゃっているとおりだと思います。あなたが、12/15付でおっしゃっていたとおり、私の主張は、「従来の社会主義論の中にはない」ものでしょう? それはあなたも認めておられるのですよね。
 ではそれを、「時代とともに変わってきた社会主義論」の一つの現象形態(個人の意見)だと認めてはいただけないのでしょうかね。

 ですから、結局あなたは、私が12/12付北朝鮮欄へのお返事末尾で述べていたように、「自分が想定・納得できる答えが出てこない限り、『危機感が足りない』だとか、『よく分らない』だとか言って、『答え』としてさえ認めない」ままに、議論が果てしなく続くのではないかと、だんだん不安になってきました。

自分達の考え方理論にも問題があるんじゃないかという根源的なところまで遡って議論して、検証して、本質的なものが何かを抽出して、そこから再構築しなければならない

 そうしているつもりですがね。多分、あなたの「騙された」という感情吐露に共感を示しただけだったので、私まで「みんな他者のせいにしている」と勘違いなさったのかも知れませんね。

 つまり、「(旧ソ連等の)社会主義体制下にある諸国家では、社会保障制度の充実など、社会主義ゆえの体制的優位性が認められており、政治的自由などの一定の制限は、その体制的優位性を優先させて、人民が納得した結果である」と理解していたわけです。これは、私の「自分自身の考え方理論」だったわけです。
 しかし、「ソ連・東欧の崩壊」は、「人民が納得」などしていなかったことを、鮮明な事実で示したわけです。だから、私は、「これは、従来の理解を根本から変えなければならないのではないか。政治的自由や民主主義の保障を、『社会主義ならではのこと』と言えるようなレベルにすることが、単に政策的なものでない・原理論的なものにまで高められる必要があるのではないか」と、当時の党中央と論争したわけです。

 この論争は、所属支部員たちには率直に言って荷が重かったらしく、ごく初期の段階で、彼らを捲き込むことをやめました。ですから、その後は、本当に一人きりで(その頃はインターネットも今のように普及していませんでしたから、他に似たような意見を持つ人がどれくらいいるのか、その内容はどういうものなのか、さらに彼らと意見交換ができる場を持てるのか、すべて、知ることが絶望的でした)、10何か月にもわたって議論を続けたのです。
 だからこそ私は、あなたが11/28付投稿で言われた「納得の行かないことはあくまで保留して、自分の頭で考える」という言葉に、深い共感を覚えたのです。

 ですから、私に「疑問」の答えをお聞きになるのではなく、むしろ、この場は自由なのですから、あなたご自身の「自分の頭で考えた」考えを、私に対置して、根拠を示しつつ閲覧者のみなさんに開陳されたらいかがでしょうか。例えば、あなたが「何故」、「経済を計画的に行うということと、それが人々を幸福にするにはどうするべきなのかという点」が「社会主義」の「たぶん共通している原理」だと考えるのか、それを掘り下げて示してはいかがでしょう? そうでなければ、本当に生産的な議論はできないのではありませんか?

 上に述べたように、私も、日本共産党や「社会主義理論」に「騙された」「裏切られた」という経験を経て、今日このような主張をするようになっている人間です。その「経験」から10年以上経っているので、当初味わった苦しみや怒りや悔しさは、かなり薄れていますが、それでも、「誰かに食って掛かりたい」気持ちは解ります。
 けれども、とおりすがりNさん、あなたも未だに「だから社会主義はダメなんだと言っているわけじゃないんですよ」と、社会主義が掲げた理想に漠然とした共感を持ち続けておられるのでしたら、一個人に過ぎない私の意見に単なる「疑問」をぶつけるのではなく、持論をこの場で展開することにエネルギーを注がれた方が、余程ご自分の人生にとっても有意義だと思いますよ。

それから、たぶんこれも大事な点だろうと思いますが、社会主義なんかくそくらえだと思っている人々も幸福にしなければいけないってことです。反共主義とか反共分子も包含できる社会システムなのかどうかってことです。

 まさにその通りです。あなたは本当に私の投稿を読んで下さっているのでしょうかね? 政治的人権保障が社会主義の内容だとまで言っているのですよ! そこには当然、現在(=将来の社会主義)の政府に批判的な人々も、まったく自由かつ平等に、政治の恩恵に浴せるということが含意されています。もしかしたらあなたは、「社会主義論」が解っていらっしゃらないのではなくて、現代社会における人権理論が解っていらっしゃらないのではありませんか?

 私は、「党員でなければ工場長になれないという(旧)ソ連の制度」について、「赤旗」常駐特派員がそれを知りながら、その人権抑圧性をほとんど気にも止めなかった無神経さを批判しているのです。

 結局、とおりすがりNさん、この間まめまめしく「疑問」をぶつけていただいておりますが、あなたは、ご自分がイメージした「社会主義信奉者」を相手にして、その主張のおかしなところを何とか私の意見に「引っかけ」て批判しているような気がします。違うでしょうか?