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「会社」の現実:いいわけ

2004/12/08 阿Q 50代 自営業

 私は、「エンジニア」さんと結城さんの事実に基づく冷静な議論の方が、私の 感情論よりもはるかに説得力があることを、自覚しています。

 私のは一部の良くない部分を拡大して一般化するような印象論です。それに対して お二人のは事実に基づく実証的な議論で、誰をも納得させられると思います。私の感 情的な印象論は反発と軽蔑を受けるだけかもしれません。

 それにもかかわらず偏った議論を言い張るのは、事実に基づくまっとうで冷静な議 論だけでは捉えられない現実があるのではないか、という気がするからです。

 それは、例えて言えば若いエンジニアが深夜まで仕事をして死んだ場合、最近では 過労死と認定されることもありますが、かつては本人が自分の体調不良に気づかなかっ た不注意であり、それこそ自己責任で片付けられていたけど、実際には非常識な仕事 の負荷がかかっており、上司はそれを知りながら放置しただけでなく、「死んでも片 付けろ」と口では言わなくても実質的にそうさせる心理的なプレッシャーをかけてい たという、表には現れない事実があった、というような問題だと思います。

 そのような、裁判で証拠として提出できない、また労働経済を研究する学者が論文 で事実として言及することの出来ないような「現実」が、表に現れる事実の陰で、我々 を蝕んでいるような気がするので、私はあえて粗雑な印象論で刺激的な発言をせざる を得ないのです。

 また、私はものごとを変化の相において見ることが必要だと思っています。歴史と 言ってもいいけど、そんな大袈裟なものではなく、この3,40年ほどの間にいつの 間にか起きた変化です。それを考えると、今「結構きちんと行われている」といって 安心できるだろうか、と疑問を感じるのです。

 例えば、かつては学校の職員室で教師が組合活動の話をするのはあたり前でした。 今では組合員が少数派ですが、わずかに頑張っている猛者でも、職員室で組合に関す る話をすれば身分が危なくなるほどの変化が起きているのではないでしょうか?

 わずか30年程で、憲法が日本の未来を開くシンボルから、邪魔者扱いされるまで になり、仕事中の会話も「物言えば唇寒し」となるほど管理が強化されるという、こ の恐ろしい変化を考えると、私が強調したひどい企業の例が例外ではなく、明日の常 識になりはしないか、という強い不安を感じるのです。

 それは、アメリカで流行の経営理論(理論とは呼べないような下らないfadも含 めて)をいち早く取り入れて真似をするのが優秀な経営者であるというような情けな い風潮と、世の中すべからくせちがらくなり、効率経営といえばどんなえげつない事 も許されるような風潮の中で、ますます非人間的でムチャクチャな労務管理が広まる のではないかという心配とも関連しています。

 それが行われた時、それぞれの職場で「それはおかしい」ときちんと声を上げられ るような環境があるでしょうか?間違ったことは間違っていると、はっきり言える環 境が、どの会社にもあるのだろか?それが私の最大の関心事(心配事)の1つです。 私が非常識な悪口を言うのは、そのような発言を抑圧するような無言の圧力と、自分 の出世が一番大事という上司の下で、普通のサラリーマンにどのような行動が可能か、 うつ病の多発や自殺者の多さなどが、そのような職場環境と関連しているのじゃない かと感じるからです。

 企業の不祥事も事故も、社内民主主義と関係していると思います。1つ問題が明る みに出れば、その周囲に30の類似の問題が隠れているという、「ゴキブリの法則」 に従えば、「一部の企業だけの問題」と片付けられないと思います。