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一般投稿欄

「会社」の現実:結城様

2004/12/15 阿Q 50代 自営業

 私のまとまりの無い議論を、前向きに締めくくっていただき、有難うございま した。

 お勤めの会社にも、通報システムがあるのですか?各企業の内部での最近のそうい うこまかい動きについては、全く知りません。ただ、私としてはそれはあくまでも補 助的な手段ではないか、と思います。基本は通常の業務の中で話し合って判断し、そ ういう通告や内部告発が必要ない状態にすることではないでしょうか?

 かつて日本の企業や役所では、不正行為などが内部告発されると、不正を正すこと よりも、「誰がチクッた?」と「犯人探し」に精力が注がれました。犯人とは、不正 行為を見過ごせなかった、まともな神経の持ち主のことです。そのような体質は、完 全に払拭されたのでしょうか?結城さんの会社は大丈夫なようですが、西部鉄道(コ クド)など多くの事件を見ると、そうでない企業も多いと考えざるを得ません。

 私がこのように悲観的な見方をするのは、様々な企業の経営、経済犯罪、事故、更 には刑事事件など、様々な問題を見ると、責任が重い人ほど無責任、という印象を強 く持つからです。

 1年程前に、東海地方のある小都市で、下水道本管の清掃作業の終了間際に発生し たガスで4人の作業員が死亡するという事故がありました。現場を取材したNHKの記 者がローカルのニュースで、作業責任者は「直前にガスの濃度をチェックしたが問題 がなかったし、排気のためのファンは運転しており、適切な手順で作業を行った」と 述べていたこと、また専門家が「そういうガスの発生は突発的に起きることがあるの で、直前のチェックで有毒ガスが検出されなかったとしても、急激に発生した可能性 がある」とコメントしたと報告していました。

 私は「何をバカを言うか!」と叫びたくなりました。死亡原因が二酸化炭素やメタ ンなどによる酸欠だったか、それとも硫化水素などによる中毒だったか忘れましたが、 いずれにせよその発生は緩やかな化学反応です。下水道本管の中の大きなスペースを 充満させて4人の大人を殺すほどの大量のガスが突発的に発生するはずは無いでしょ う。

 腐敗した有機物の塊が、何かの拍子にばらけて、周囲の酸性の液体との接触面積が 急激に増大して反応が急激に進み、突発的にガスが発生するとしても、それが下水道 で大規模に起きるはずは無い。ましてや、作業がほとんど終了していたので、原因 (反応)物質はほとんど吸い出した後で、残っていなかったはずです。

 そういう事情も、また事故の重大性も考えずにいい加減なコメントをしゃべる「専 門家」にも、またそれを鵜呑みにしておおむ返しにしゃべる記者にも腹が立ち、こん なことで事故が片付けられるようなら、騒いでやろうか、と思っていました。

 2,3日たって、現場責任者か誰かが、事故の直前に「作業が終わった」と思って ファンのスイッチを切ったことが判明しました。もしもこの事実が隠されたままで、 あの無責任な「専門家」の言うとおり「突発的なガス発生による不可抗力」でごまか されたら、死んだ4人の霊は浮かばれません。

 私がこういう問題でカッカと頭に来るのは、責任ある立場の人間がその責任を果た していないからです。いつも犠牲になる人たちは、なんで低賃金で3K労働を我慢し て、しかも犠牲にならなければならないのか?それは、彼らが高度な仕事をするため の知識や能力を持たないと見なされているからでしょう。だったら、それを持ってい ると自任して、彼らよりも良い給料をもらって安全な仕事をしてる連中が、彼らの代 わりに危険を判断して責任を持って安全を守らなければならないはずです。

 しかし実際はそうでなく、良い給料を取っている連中がそれに見合わない、いい加 減な仕事をして、下ずみの人間を犠牲にしてのうのうとやっている。そんな現実に、 ムカムカと腹が立つのです。

 東海村の臨界事故もそうです。放射能の危険はマスと共に増大します。昔の腕時計 の針や文字盤に塗られていた夜光塗料も放射能を持っていますが、量が少ないので無 害でした。しかし同じ物質も大量に集積すれば有害になります。ましてや、連鎖反応 をする物質は、量が多くなれば中性子の発生が指数関数的に急激に増加する。この基 本を知っている人間が、1回の混合量をあるレベル以下に制限する規則を作ったはず です。

 上の連中は、それを知らずに無謀な作業をした人たちに責任を押し付けようとしま した。しかし、自分が死ぬかもしれない危険な作業をした人たちを、責められるでしょ うか?だったら、その危険を十分に理解し、避けるためのきちんとした教育をしてい たのか?

 問題は、プルサーマルのために、その会社がルーチンで行っていたのと違う仕事を 受注したことと、経営陣からコスト削減を迫られていたことのようです。すると、直 接事故を起こして死んだ人たちよりも、教育と管理を十分に行わずに安全対策を怠っ た管理者の方が責任は重い。そして彼らをその様に仕向けた経営者の責任がもっと重 い。そしてそんな企業をきちんと監督せずに危険な業務をさせていた監督官庁の責任 はもっと重い。更に、基本方針を審議したり役人に助言したりするだけででかい顔を している「専門家」はもっと悪質で責任は重い。そう私は思います。

 このような社会全体の無責任体質を改めなければ、偉そうな顔をして重大な方針を 決定したり人に指示したりする連中のために危険な作業をしたり、自分が払った税金 で危険なことをされてその被害を受ける人間はたまったものではありません。

 これは全ての問題にいえることで、地位が高くなれば責任が重くなるんだ、という ことを、立派な肩書きを持つ人たちには十分に認識してもらわなければならないと思 います。私が乱暴なことを言うのは、そういう苛立ちからです。