教育問題についてのNo.3の投稿をします。特に何かなければ一応当面はこれが 最後にするつもりです。あまりこればかりだとサイトの趣旨とずれる、という指摘を 受けてしまうかもしれないし、あまり投稿の時間もとれないので。
◆リファレンス能力・総合学習などについて◆
阿Qさんは30年も前に総合教育なるものを発想されていて、それが実際に教育課
程の中に入るとは、本当に先見の明のある方なんですね。さて、総合学習の、少なく
とも建前上の趣旨は、学習指導要領によれば
(1)自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決 する資質や能力を育てること。 (2) 学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取 り組む態度を育て,自己の在り方生き方を考えることができるようにすること。
ということで、まさに阿Qさんが重視されている点と一致しているかと思います。 文部科学省のサイトにも、
「総合的な学 習の時間」においては、知識を教え込む授業ではなく、
(1)自ら学び、自ら考える力の育成
(2)学び方や調べ方を身に付けることをねらいとした授業が展開されます。
と明記されています。
私は今年度、勤務校の総合学習委員の一人として、現在やこれからの本校での総合
学習について、試行錯誤の中で取組みを進めています。「試行錯誤」などとは、計画
性がない、と思われてしまうかもしれませんが、まだはじまって3年、完全に定着し
て総合学習を行っている学校はまだそれほど多くはないのでは、と思います。ただ、
いえることは、鳴門教育大学教授の村川雅弘氏が「総合学習で生徒が学ぶ意味を理解
し、他の教科に取り組む姿勢が改善されて、学力が向上する例がある」と述べている
ように、取り組み次第では、重要な意義を持つ、日本のユニークな教育課程にもなり
得ると思います。実際、生徒の反応で、そう感じるときもあります。だから、「学力
低下」と判断されたからといって、簡単に捨て去る前に、この教科のあり方について
もう一度検討を加えたほうがいいのでは、と私は考えています。
ただ、総合学習については、阿Qさんにも指摘していただいたとおり、さまざまな
問題があります。例えば現場では、以下のような点が挙げられます。
1. 総合学習の授業の時間をとるために、基礎科目の授業の減単(授業を減らすと
いうこと。例えば標準で週4時間の授業を組むものとされている科目を3時間に減らし
て行うこと)が必要になることもある。⇒時間数は考え直す必要がある。
2.「各学校の創意工夫」というよりは「丸投げ」といえる総合学習
“「総合的な学習の時間」では、国が一律に内容を示していませんので、学校が創
意工夫を発揮して行うことになります。”(文科省HP) と、「学校の創意工夫」と
いう耳障りのよい言葉を使っていますが、我々からすれば、ただ「丸投げ」している
だけ、といいたい部分があります。国や地方教育委員会などからの頼りがいのあるサ
ポート体制があるわけでもなく、多くの学校で、総合学習委員の先生は、きっと手探
りで、いろいろな仕事を同時に抱えてドタバタしながら、今後の方針を考えていると
ころだと思います。そして、「創意工夫」と言っているわりには、上の方から計画書
の内容で、納得できないようなケチをつけられたりまします。そんなときは、つい
「だったらお前がやってみろよ!現場の状況も知らないくせに」と口汚く罵りたくなっ
てしまうときもあります。さらに、総合学習用の予算については、少なくとも本校に
おいては、公費は1円たりとも学校に入ってきません。そのため、必要な経費は「私
費」(在校生徒から集めるお金のこと)でまかなっています。多くの学校でも同じよ
うな状況なのでは、と私は推測しています。
3.教員に総合学習を準備する余裕がない。
これは総合学習だけの問題に限りませんが、学校教員は、最近ますます、「よい授
業」を行うための準備や研修、生徒に向き合うための時間がとれなくなってきました。
よく教員は授業だけやればあとは暇、という誤解をうけますが、実際は複数の種類の
授業のための準備をはじめ、校務分掌や各種委員会、部活動などの指導、HRや掃除の
指導、あげたらきりがないほどの種類の仕事を抱えています。(別に他の仕事より、
大変だ、などということを言うつもりはありませんので念のため。ただよく誤解され
るので)もともとそのようななかで、さらに上から押し付けられたような形での「体
裁づくり」のための書類作成、その他様々な上からの指示による管理強化とそのため
の会議や研修会ばかりが増えてきました。私自身に関して言うと、1月に入ってから
会議のない放課後はほとんど1日もありません。学校で授業準備をする時間的余裕が
なく、家にも持ち帰る毎日です。(個人情報に関係なければ家に持ち帰ることができ
るので?んな状況ですから、職場での総合学習に対する士気は決して高いとは言え
ません。
さらに追い討ちをかけるような、先日の新聞報道で、ますます士気は低下してい
くでしょう。総合学習委員としてはやりきれない思いがあります。
まあ、どんなに文句を言いたく、また嫌になっても、目の前に生徒がいる限りは、
今の流れに乗ってやっていくしかありません。「自転車操業」の続く毎日です。
私自身の考えは、やはり、先ほど述べたように、上記の問題を解決した上で、阿Q さんの発想から始まった?ともいえる総合学習の可能性を追求していけたら、と考え ています。ただし、Nさんの指摘されているような基礎・基本をおろそかにして「本 末転倒」になることにならないよう注意する必要があると思います。
これで、一連の話の中では、だいたい回答させていただけたと思います。 書き始めると、なんだかまたもっといろいろなことを書きたくなってきますね。で も、最初に申しましたように、投稿は控えます。教育問題専用のサイトでもないです しね。このサイト上でこういった問題に興味のない方、失礼いたしました。