「盛り上がっている」なんて、とんでもありません。盛り下がってるんで す。Wさんと同じく、私もヒマつぶしにここをのぞいているのではありません。 仕事に追われながら、1日に1回か2回、メールチェックしたついでにここをの ぞいて、必要があると思ったときに30分くらい使って意見を送っているだけ で、できればこの欄で大きな顔をせずに、片隅からのぞくだけにしたいと思って います。
それが、かつて他の人たちに「人の意見にケチをつけるだけの人を相手にして いる場合ですか?」みたいな生意気なことを言った私自身が、そんな不毛な泥仕 合を演じてしまい、面目ないと思っているのです。
私は自分の商売についてここで議論する気も無いし、してもしょうがないけ ど、一市民として議論しなければならない重大な問題が色々あると思って、素人 の意見を表明してきました。それに対してそれぞれの分野の人たちから「現場で はこういうことが問題になっており、自分達はこういう努力をしているんだ」と いった反論をいただいて、教えてもらいたいと思っていました。しかし実際に は、私のような素人が現場を知らずに生意気なことを言うような投稿ばかり。自 分の投稿が自己満足になっていると感じたら、すぐに消えようと思っていた私 は、去り際を探していたのです。
それぞれの分野で真剣に仕事をしている人たちの投稿がなければ、ここはひま 人のおしゃべりの場になってしまうと思います。私がしゃしゃり出たためにそう なったとしたら、私は直ちに消えようと思います。
だから、Wさんのような人に、席を譲りたいと思います。なお、私が「知識の 量を追い求めるのは愚か」みたいなことを言ったのは、将棋のルールのような基 本的なこととは全く別の話です。そういう基本は、この場合の「知識」には含ま れません。それは日本語の言葉の意味と同じようなもので、それを知らなければ 何も始まりません。そういうものを、普通は知識とは呼ばず、「基本」と呼ぶと 思います。
我々が知識というときに考えるのは、例えば「バルト3国とは、ラトビア、リ トアニア、エストニアのことで、かつてソ連に支配され、91年のソ連の崩壊と 共に独立し、Euに加盟した」(今、思いつきで書いているので、間違ってるかも しれない)みたいなことを、歴史の流れではなく、互いに脈絡のないバラバラの 知識としてためこんだものを言います。私が主張したのは、そういう知識を増や しても意味は無い、ということです。
そういう情報にせよ英単語の意味にせよ、余分に覚える必要はない、というよ りもその暗記に精力を注ぐのは有害である。そんなものは辞書やインターネット の利用の仕方を身につければ、暗記に苦労するよりもはるかに簡単に調べること ができる、ということです。
日本の教育で欠けていたのは、レファレンスの活用技術です。レポートを書く のに図書館の資料を活用して調べる、活用した単語の意味を調べるために元の単 語を辞書で探す、自分が調べている問題の関連情報をインターネットで探す、そ ういう情報検索・利用という、現代人に必要な技術を身につけさせるのでなく、 資料の利用方法を身につければ簡単に入手できる知識を、なんでもかんでも頭に 詰め込むことを求めていたのじゃないか、そういうことを私は問題にしていまし た。
そのような図書館の利用の仕方、インターネットの検索エンジンの使い方、辞 書のレジェンド、将棋のルール、車の運転方法など、そういったことは「知識」 の範疇外で、そういった基本を身につけなければ何も始まらない。しかしそれら を身につければ、余計な知識を詰め込まなくても、その基本を活用していくらで も知識を収集できるから、頭に詰め込む必要はない、ということです。
「それではどのような教育が望ましいか」という議論にならずに、私の言葉尻 を捕らえてあげ足取りをするような情けない泥仕合に辟易して、そんなものにか かずらっている自分を恥ずかしく思っていました。どうか、ご自分の仕事場で役 立つような、建設的な議論をここで展開してください。