今度のインド洋大津波による被害は15万人もの犠牲が出ているのに、まだ行
方不明者が数万いると言われている。
この災害はやはりあの阪神淡路大震災と同じく、貧しい人・弱い人に襲い掛かった
自然の猛威である。
戦乱が続いたスマトラ北部アチェ、内戦の続くスリランカ、そして貧しい人々の象
徴である木造の家屋は大半破壊、流失し殆どの人々の命が奪われたが、しかし豊かさ
の象徴である頑丈な造りのコンクリート製住居は残り、住んでいる人も外出していな
ければ、幸い相当に生き残ったと報道されている。
貧富の差はこうした自然災害時にモロに出てしまう、もう天災か人災か等言う前に
結果が明らかになっている。
欧米諸国も次第に明らかになる被害の甚大さに、またバカンスに行っていた自国民
の被害判明に慌てふためいて、被災援助額を当初より数倍・数十倍出さざるを得なく
なっている。
比較すれば怒られるかも知れないが、今回の被害は丁度イラク戦争による犠牲と酷
似している。
イラク人死者10万から20万に対し、米軍・有志同盟軍それと傀儡政府側の死者
数千人、私たちは「命の重さ尊さは皆同じだ」と知っているのに、現実のアンバラン
ス、冷酷さに涙するしかないのです。
そして同時にこの悲しい現実は、間違いなく、この世界の有り様をそのままストレー
トに表しているのだということも確認しなければならない。
今この21世紀、私達が住んでいる世界も、かつての18世紀19世紀と同じく、
耐え難いまでの貧富の差があること、いや現実にはより拡大していることを今更なが
ら知らされているのです。
この間の素晴らしい飛躍的と言っていい生産力の向上も、技術力の向上も何ら問題
を解決していない。
国際NGOは、「発展途上国への貧困対策は余りにも不十分で、このままでは20
15年までに4500万人の子供の命が失われる」と警告している。
これが世界の現実なのです、そしてインド洋大津波も現実だし、それを許している
のは目の前の豊かさに酔いしれ、何もせずにいる私たち自身なのです。
そしてその原因は文字通り分かっていて何も出来なかった政治の貧困であり、資本
の横暴というしかないのです。
とおりすがりのNさんが、インド大津波の被害国が貧しいのかと提起されていたの
で、重い腰を上げて調べて見ました。
この数値は日本外務省発表の2002年の統計です、見て下さい。
一人当たり国民所得です(米ドル換算)
(今回の津波被害国)
インドネシア 570$ スリランカ 840$
インド 480$ ケニア 360$ マレーシア 3540$
モルディブ 2090$
(バカンスを楽しんだ先進諸国)
日本 33550$ アメリカ 35060$ ドイツ 22670$
フランス 22010$ イタリア 18960$
スエーデン 24820$ オーストラリア 19740$
(その他参考まで)
韓国 9930$ 中国 940$ 朝鮮(不確定)706$
シンガポール 20690$
一番被害の多いインドネシアと日本を比べると、その格差は59倍です、コーヒー
のスリランカでも40倍です。
特に被害の多かったインドネシア・アチェやスリランカ東部などはより貧しいです
から、この数値はウンと跳ね上がります。
これが世界の現実なのです、今の世界は「貧しいものはより貧しく、富める者はよ
り富める」構造なのです。
この仕組みが変わらない限り、今後もこの様な大量の命を奪う「自然災害」は貧し
い人々を襲い続けるでしょう。
「とおりすがり」ではなくてチャンと世の中を見て下さいね。