司馬遼太郎の小説は「竜馬が行く」以来ファンでしたが今では嫌気がさしまし た。「坂の上の雲」は日露戦争における秋山兄弟という英雄崇拝、が鼻につくのでし た。そしてこの戦争が日本を帝国主義国として押し出したそのことについての問題意 識が司馬になく、司馬遼太郎がナショナリズムに陥っていたような気がします。 彼の歴史観には歴史における個人の役割を重視しすぎる嫌いがあると思います。勤 皇の志士達が幕府を倒したかの感があり、そこには農民一揆や商人などブルジョアジー が出てこないのです。ぼくは志士達は踊らされた人間達ではなかったかとも思います。 非常に上手に面白く読ませる作家ですが思想的にさほど評価できないなあと思って います。 ファンがたくさんおられるのに水をさしてごめんなさい。きっと反対が多いでしょ うね。