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一般投稿欄

議長の 自衛隊の「共存・平和的利用」論について

2005/03/23 沢田保 50代 公務員

 「今こそ平和を守るとき 3・20国際共同行動集会」で、以下のようなビラをいただきました。「日本共産党の発展のために」となっていますが、私も、このような疑問を持つことは当然のことと思いました。皆さんに紹介いたします。

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 Tunami通信
~日本共産党を発展させるために~
 私たちは、自衛隊の「共存・平和的活用」論の訂正を求めます。

 「憲法の平和的民主的条項の完全実施をもとめる立場にたって、憲法九条改悪勢力がくわだてているあれこれの改憲論の土俵にのらないことこそ、憲法九条を守りぬくもっともたしかな道である」
 ―日本共産党第23回大会決議に明記されたこの方針の値うちが、改憲勢力の攻勢がつよまっている今、ますます輝いています。憲法改悪反対の一点での広大な国民的共同を発展させるために、奮闘しましょう!
 いま運動の現場では、「九条二項は現実にそぐわない」という意見がとくに青年層から多くだされ、これへの対応が共通の悩みになっていると思います。朝日新聞(2/3)のインタビュー記事で不破議長は、次のように語っています。
 「自衛隊は存在が違憲で、将来、解消をめざす立場は変わらない。ただ、綱領にも明記したが、そういう選択ができるまでは共存と平和的活用が基本。国内、海外の災害に自衛隊が出るのを容認するのもこの立場からだ。」
 突然「共存と平和的活用が基本」と言い切られたことには、驚きととまどいを禁じえません。これでは、人殺しを専門とする米軍補完部隊である自衛隊の存在と海外への派遣を、積極的に認めているかのように受けとられてしまうのではないでしょうか。改憲論の土俵にのってしまうことになるのではないでしょうか。
 スマトラ沖大地震・津波の救援を名目に出動した自衛隊の活動は「純粋な人道支援」とは言えません。あくまでも「軍がする以上、それは軍事作戦だ」(東京新聞1/13特報欄)し、米軍の統一指揮下で活動していたといわれているのですから。
 米軍再編計画に沿って米軍と自衛隊の一体化がすすめられている今だからこそ、「人道」の美名に隠された日米軍事同盟の危険性を、それが九条改悪策動と一体のものであることを、国民にしらせるべきです。「九条守れ、安保廃棄」の世論をもりあげてゆくべきです。人道支援というならあくまでも非軍事でおこなうべきであり、軍隊はNGOなどの活動の障害になるだけです。
 現に、ある「しんぶん赤旗」の読者の方から、「不破議長が言っていることは解釈改憲ではないか」という率直な疑問がだされています。
 私たちはもちろん、いっさいの軍備の禁止と戦争放棄という平和理念の具体化である憲法九条の完全実施こそ日本共産党はめざしている、と説得しています。ところが、最近では志位委員長が次のように発言しています。
 「“自衛隊の存在を憲法に明記するだけなら、九条を手直ししてもいいのではないか”と思っている人、自衛隊を合憲と思っている人、多くの保守の人も含め、日本が海外で武力行使をする国になることには圧倒的に多くの国民が反対している」
 「海外で戦争する国にしてはならない、そのための改憲に反対する、この一点での大同団結が非常に大事です。」(「しんぶん赤旗」3/10)
 「九条手直し」派(自民党や財界内のハト派のこと?)とも「海外での武力行使に反対する」ことを一致点として大同団結するというのでは、「自衛隊の存在を明記するだけ」の憲法改定ならいい、ということにもなりかねないのではないでしょうか。
 これでは「九条二項は現実にそぐわない」という国民の自然な感情はそのままになってしまうし、ひいては「九条改定に国民の六割が反対」という世論もやがて改憲勢力にくつがえされかねません。
 しかも、次の地方選挙と総選挙で日本共産党の前進をかちとることにとっても、逆効果に思えるのです。
 自衛隊合憲論の人は結局は民主党に投票するだろうし、革新無党派層は日本共産党によせてきた信頼をなくすであろうからです。
 九条改悪に絶対に反対する共同をひろげていくために、憲法違反の「共存と平和的活用」論は、すみやかに訂正されるべきです。

 ◎日本共産党の自衛隊政策を学習して
 1968-「日本共産党の安全保障政策」:憲法改悪、自衛隊の増強反対、軍国主義復活阻止、憲法違反と対米従属の軍隊・自衛隊を解散させる
 1980-「社公合意」(自衛隊について、当面はシビリアン・コントロールを強化、将来は縮小・改組を検討する)を「明白な右転落」と批判
 1986-社会党「新宣言」(安保の段階的解消、自衛隊の段階的縮小・解体、自衛隊は違憲だが法的に存在)を「右転落路線を綱領的に固定化させ、自民党との連合勢力の一つに退化させるもの」、と批判
 1994-第20回大会決議:「わが国が独立・中立日本の主権の侵害を許さない政府の確固とした姿勢と、それをささえる国民的団結を基礎に、急迫不正の主権侵害に対しては、警察力や自主的自警組織など憲法九条と矛盾しない自衛措置をとることが基本である。」
 1998-不破議長:「非自民野党連立政権への日本共産党の参加に際しては、安保条約の廃棄を凍結する」
 2000-第22回大会決議:「憲法と自衛隊との矛盾を引き継ぎながら、それを憲法九条の完全実施の方向で解消することをめざす」「そうした過渡的な時期に、急迫不正の主権侵害、大規模災害など、必要にせまられた場合には、存在している自衛隊を国民の安全のために活用する。」
 2005-不破議長:「自衛隊は解消をめざすが、それまでは共存と平和的活用が基本。国内、海外の災害に自衛隊が出るのを容認する。」

 どうしても疑問がわいてきます。「自主的自警組織など憲法九条と矛盾しない自衛措置」(94年)から「自衛隊を国民の安全のために活用する」(2000年)へと、どうして変えなければならなかったのでしょうか? 党の綱領路線にてらせば、どちらが正しいのでしょうか?
  「自衛隊の段階的縮小・解体、自衛隊は違憲だが法的に存在」とした旧社会党の「新宣言」(86年)を、日本共産党は「右転落を綱領的に固定化させるもの」と批判しましたが、今回の不破議長の発言は、旧社会党の「段階的縮小・解体、違憲・法的存在」論と、また自衛隊を分割して専守防衛・災害対策・国際貢献に活用するという91年の「自衛隊三分割」案と、そっくりであることに驚かされます。
 こんな重大な変化が上意下達ですすんでしまうようでは、胸をはって党を語ることができなくなってしまいます。「支部が主役」のオープンな議論が求められています。
                  以上