独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が昨年8月から9月に行ったアンケー
トで「終身雇用が良い」と答えた人が78%を占めたという。
この数値には終身雇用が「良い」と「どちらかといえば良い」を加えたもので、9
9年の第1回調査より5,7%増えているという。
そしてかつて日本型雇用の悪の張本人と言われ、若者の労働意欲を削ぐと嫌われた
筈の「年功序列賃金」も66,7%が支持していると言う、一体この調査が明らかに
した日本の労働者の意識が意味するものは何なのだろうか、何を私たちに問いかけて
いるのか?
私たちは「何でも民営化」「何でも規制緩和」の政府と、「不安定雇用」大歓迎、
「雇用流動化」大賛成の「経団連」など経済団体から、そして一方的情報しか流さな
いマスメデイアから、「フリーター」「ニート」、「年収200万円時代」などとい
う造語を聞かされ、そして「成果主義」「能力主義」という如何にも合理的と思える
言葉を散々に聞かされてきた。
そして現実の大手の工場に行けば、派遣や請負など外部籍の労働者が、年収200
万しかならないのに、黙って黙々と、そして懸命に働く現場を見せられてきたし、昼
飯を食う外食産業で働く若者達の大半が、アルバイトやパートでたつた時給700円・
800円でサービスに励む、姿を見せられてきた。
しかもその中で、本来働く仲間のはずの正社員・本工中心の「労働組合」が、この
現実を見て見ないふりをして来たことも知っている、これはまさしく「絶望工場」の
現代版以外の何物でもない。
このアンケート結果は、これまで政府や資本家、そして御用マスコミ、既成労働運
動が、みんなつるんで、労働者・働く人々の意識を捻じ曲げ、誘導し、如何に矛盾の
押し付けを行い、嘘と詭弁をつき、害毒を流してきたかを示している。
このサイトでも訳知り顔の人が、経団連・トヨタ会長の奥田を擁護していた、だが
その根拠が見事に現場知らずで、彼らに踊らされたものだったことも明確となった。
どだい勝手気ままな大資本や大企業に、闘いもせず、ルールを期待するのは根本的
に誤っている、かつて「自共時代到来」とはしゃいで、経済界に説教を垂れた幹部が、
未だ自己批判もなしでフカフカの椅子に座っていて許される様では、それこそ絶望的
である。
このアンケートでは20台の若者でも、終身雇用制度を男が64,2%、女が66,
4%支持していると言う、若者だってそう思っているのである。
かつてIT産業の花形だった「富士通」が業績不振で苦闘している、一部の不振部門
の売却さえ行った、だがこの富士通こそ「成果主義」「能力主義」を業界で一番最初
に導入した企業だった。
導入の結果、社内にはびこる責任回避と、いじめの深刻化によって、この目論見は
惨めに破産し、長期業績低迷、リストラ・首切り・賃下げの深刻化という被害を、労
働者は押し付けられてしまったのである。
労働者よ、そして日本共産党の皆さん、政府や大企業、経済団体、そしてマスメディ
アに安易に騙されるな、そろそろ奴等の甘言を見抜く力を持てと言うことである。