たしか、報道ステーションだったと思うが、今回のデモのはじまりをドキュメントしていた。中国では有名な民族主義団体の代表者が呼びかけ、それに自然発生的に青年学生達が合流していくのだ。しかもこの団体のリーダーが中国の公安と談笑さえしていた。ここにこの反日デモの階級的本質を読み解く客観的事実がある。
この反日デモを巡り、左右両派の様々な論評が加えられているが、現象論ばかりに目を捉えられそおの本質を見失うものが多いように思われる。その典型が歴史認識の問題である。日本の歴史認識が中国人民の怒りを買い反発を受けているというものだ。たしかに現象はそのとおりだ。日本の右傾化、帝国主義に向けた動き、アメリカ帝国主義との同盟強化は糾弾されてしかるべきものだ。ところが、反米反帝国主義のスローガンは全く聞こえず、すべては歴史認識の問題であり、常任理事国入り反対の主張である。
原則的に考えれば、認識上の違いそのものを政治目的に設定するような事態は、異常である。小泉が靖国参拝をし、それに抗議するにしても、日本では政治課題になっても中国ではなりえない。それは帝国主義の規定を原則的に把握すれば明白である。なぜなら、中国人民も日本人民も反帝国主義において同じ立場にあるのであって、帝国主義政策の具体的進行に対して共同で立ち向かうべきものであるからだ。帝国主義政策とは経済上の支配と軍事上の支配のことであり、その対象はアメリカ帝国主義である。日本は経済的侵略を中国に行っているが軍事的には行っていない。日本はまだ帝国主義にまで熟していないのだ。政治課題になるのはイラク戦争反対であり、日本のその同盟的立場の糾弾であれば、それは階級的抗議運動たりうる。
しかし、今回のスローガンは、修正主義政党の破綻を覆い隠す官製デモでありまったく理不尽な内容である。
中国共産党は毛沢東路線(マルクスレーニン主義)を清算し完全なブルジョワ政党に成り下がっている。中国国内は貧富の差が拡大し、党幹部は腐敗の極に達している。青年学生・労働者・農民はこの怒りを何処に向けたらいいか解らない。本来は党が指導すべきなのに、その党が腐り果てている。
矛先は形式上日本に向いているが、彼らの深部では自国の政府とその修正主義党に向けられているのは間違いない。このデモが自然発生的に自国の政府に向かうことは充分に考えれうる。その時に中国に本当の共産党があるのかどうかが問われる。もし本当の党が存在すれば、中国は本当の社会社会主義になることができるだろうし、もしなければ、もう一度最初から出直しをするだけである。
もし、本当にアメリカ帝国主義を倒そうと思えば、本当の党を作ることから始めねばならない。それがどんなに遠回りで、あきれ果てるような前途が予想されようと、それしかない。
本当の党を作ろう!
マルクス・レーニン主義の原則を守る党を作ろう!
本当の闘い、基本的勝利を獲得することができる党を作ろう!