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千葉動労の新聞拝読しました。でもね・・・。

2005/05/28 とおりすがりN 50代 会社員

 千葉動労の新聞をリンクいただいたので拝見しました。まあ、昔ながらの威勢の良い労働組合の新聞としては本質論を展開してJR当局を追求しているつもりなのでしょうが、もうちょっと説得力ある議論をしてください。ちょっとだけ、気になる点を指摘しておきますので考えてみてください。まあ、私を権力の手先でけしからんなどとご批判されるのもいいんですが、労働者は労働者なりに自分の立場に持ってきて原因をじっくり考えてみるという作業は重要です。私だって労働者、労働者の幸せを考えて日々暮らしている立場ですから・・今回の事故を私自身の仕事に置き換えて考えてみているわけですから。

千葉動労新聞曰く:『制限速度を超えていたことが注目されている。だが、速度超過は直ちに脱線につながるものではないし、置き石が脱線につながるなど、まず例のないことだ。問題はもっと本質的な部分にある。』

 労働運動が科学的社会主義に基づいているのなら、こういう言い方は実にマイナスですよね。速度超過が直接原因になってきているんじゃありません。置石も当局が責任回避に利用しようとして今回の事故には関係ないという結論となったけれども、ホントに脱線事故につながらないんですか? 闘うJR労働者はホントにそう考えてるんですか?だから危機感が無いなんていうことを言われるんですよ。素人考えでは、制限速度を超えることや置石は、いずれ脱線転覆に繋がるから規制があると思ってたんですが・・?

 問題はもっと本質的な部分にあるというのならそれが何かですね。で、それは次の節に書かれている。

JR西日本は事故前の二週間、1秒単位で遅延状況を把握するという調査を実施していたと言われている。1秒単位で遅れを報告させるなど、信じられない調査だ。

 1秒単位で遅延状況を把握する調査が問題なんでしょうか? 日本の鉄道が秒単位で安全に運転されてきたというのが世界の脅威だったしそこに日本の鉄道労働者が誇りを持っていたというのが私が見ていたJR労働者でした。平行して走っている阪急宝塚線だって、秒単位でダイヤを守っていたのは同じでしょう。問題は報告することが悪いのでも無く、秒単位の遅れを報告させたことが悪いのでも無いんだと思いますよ。報告のさせかたや報告を受け取る側の意識が問題だったなのでしょう。見せしめや著罰としての報告だったことが問題なんですよ。報告をすること自体はどんな職場でもあって当たり前ですよ。民間化というのはそういうことをちゃんとやれということを意味しますし、民間になると報告をしなければならなくなっていやだから民間になるのは嫌だというのでは理屈は通りません。

 恒常的な遅れがあるなら労働者はそのことをきちんと上部に報告し、その原因が無理なダイヤにあることやそれを無理に守ることがどれだけ危険なことかを言える職場で無かったことが問題なんですよ。ここに本質があったと私は思ってます。

 私がちょっと前に書いた『四谷』付近で速度超過で停止した中央線の場合、確かに運転手は四谷駅で停車している間、メモ用紙に報告らしきことを走り書きしてましたよ。何と書いていたかは見えませんでしたが、状況から考えれば上司への報告をメモしていたのだと思いますが、それは当然のことと私は理解しました。でも、運転手さんはそれほど大変なことをやってしまったという雰囲気でもありませんでしたし私もとんでもないことをやったなどと思わず、こういうこともあるんだなという気分で見てただけですが・・・・。ちょっとした不手際というごく日常的な風景でしょうが、きちんと報告をしておくことや、やってしまったことはけしてほめられることでは無いという程度の認識は運転手という労働者には必要でしょう。

 しかし、それが、見せしめに何をやらされるかわからないという恐怖を労働者に抱かせるような指導がまかりとおっていたJR西日本には問題があることは確かです。東日本のほうが西日本よりまあ人間的かなという印象を持ちました・・・。

 そこで、問題は

『東日本でも同様だが、日常的にも些細なミスで見せしめ的に乗務停止にされ、処分、何度か続けば運転士から降ろされるという労務管理の現実が、精神的負担となって、運転士に重くのしかかっている。』

と指摘しているところでしょう。私もここに本質があるとは思うが、速度超過や置石があれば脱線転覆する可能性があるという技術的本質を理解したうえでの報告のあり方ですから、この部分を強調したいあまり速度超過なんてたいしたこと無いとか、置石なんてたいしたこと無いなどといっちゃう組合の信頼度は地に落ちますね。そして、当局は、見せしめ的な『日勤教育』は止めると表明したと今日報道された。そこですかさず組合は具体的な方法に関する提案をするべきです。ミスを多発する運転手をちぇっくすることすらやるなじゃあ通らないでしょうね。ミスの多発の理由が何なのかを明らかにして、本人に問題があるなら本人の人権を保護しプライドを傷付けないように常務から外すというような措置は必要ですよ。そこをどう構築するかですね。

 そして、もっともな内容を提案できるなら国民の支持を得るでしょうし私も支持をします。しかし、当局が出した案が気にいらないからと言うだけでストライキをしようというのなら、支持はされないでしょう。『闘う』というのはストをやることだけでは無いように思いますよ、一番厳しい闘いというのは実は自分との闘いなんですがね・・・。組合と言ったってやっぱり鉄道を動かしている当事者なんですから100%安全なJRにするために電車の運行を全部停止して給料はちゃんとよこせじゃあ通らないですから・・。

そのようななかで発生したひと駅前のオーバーラン。しかも運転士は未だ11ヵ月の経験しかもっていなかった。こうしたなかで当該の運転士がどれほどパニックになったかは想像に難くない。指令はどのような対応をしていたのか、社にとって都合のいい断片だけは伝えられるのに、なぜ無線の交信記録が明らかにされないのかも疑問である。

 この運転手さんは犠牲者のお一人ですから悪く言うつもりはありませんが、多面的に理由は明らかにして欲しいところです。徐々に事実が出てきますが、無線の交信記録は出てきてないのですか? ほとんど報告が無かったと報道されたように記憶してますが違いましたか。パニックというよりは精神に異常をきたすような内容ではなかったのかと私は思ってます。回送電車からの度重なるオーバーランまで考慮すると電車そのものの特性の問題も議論をされていますので、色々問題はまだあるようです。そういう問題の一つ一つを要素として分解して考えたときに、全て当局が悪いじゃ済まないように思いますよ。