不破哲三氏の著作「議会の多数を得ての革命」「党綱領の理論的突破点につい
て」を読ませていただいた。何となく違和感があるのだが、しかし、基本的には正し
いのではないかと思う。
私にとって驚きだったのは、レーニンの理論的誤りもだが、レーニンが革命の初期
には、市場経済=敵論に立っていたということだった。そして、マルクスでさえも市
場経済と社会主義経済の違いを何も言っていなかったということだ。市場経済の向こ
う側に社会主義があるということにマルクスもレーニンも気づいていなかった。
レーニンはそのことに気づいて、ネップに移行した。スターリンはそれを踏み潰し
て変てこな統制経済をつくりあげ、それが、ソ連の崩壊へとつながっていく。その間
におびただしい犠牲が払われた。そして、21世紀の初頭の今、資本主義から社会主義
への大きな移行が展望される。
私も市場経済と社会主義経済は、全くの別物と思っていた。だが、考えてみれば、
市場経済は、何も資本主義に独特のものではなく、古代からあったのだ。それが、資
本主義の下で最大限に発達したのだ。これに変わる経済システムを人類はまだ編み出
してはいない。弱肉強食、弱者切捨ての部分を社会主義的に修正すれば、かなり人類
にとって、有効な経済システムになるのではないだろうか。私がこの2冊を読んで至っ
た結論は、市場経済の向こう側に社会主義があるということだった。今は、まだ人間
同士が、殺し合いをしているような状況だから、そう簡単にはいかないが、それで
も21世紀の間中にはかなりの進歩と変革がもたらされるのではないか。人類の未来に
は希望が持てると言えるのではないか。そして、決定的なのは人間の実践である。そ
れが、私の結論だ。