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「トヨタ万博」の真実

2005/06/10 寄らば大樹の陰 50代 苦闘するフリーター

 愛知万博「愛・地球博」は当初の不振を吹き飛ばし、連日十万人内外の入りで大盛況である。
 しかし、さる「鶴の一声」で弁当問題は解決したが、未だペットボトル持参不可とか、なにか訳の分からぬ万博ではある、だが所詮万博とは「見世物」以外の何物でもない、もっとオープンにしたらいい。
 ところで6月7日の朝日に、この「トヨタ万博」が如何なるものか、その本質を洗いざらしにした象徴的記事が載せられている。
 ある団体が、海外の教科書に日本がどう書かれているかを紹介する催しを企画したらしい、ところがそれに万博協会が待ったをかけた。
 過去の「日本の侵略と占領について書いた教科書の展示は一切許可しない」として、中国や韓国、マレーシア、インドネシアなど、侵略の歴史が載せられた教科書はその部分がはずされたらしい。
 しかしこれらの国々にとって、戦後の出発は当然日本の侵略、占領、植民地支配を検証し、確認して始まる、その部分をはずした教科書など、価値がないし展示する必要もない。
 シンガポールの中学一年の歴史教科書は、全体122ページの内、39ページが日本占領時代の記述だそうである、3割以上が日本占領について書かれている、これをカットしろと言っているのだ。
 万博協会のプロデューサーは「万博には政治や宗教問題は扱わない理念がある。教科書を取り上げるなら、しっかり議論しないと解釈の一部しか伝わらないことになる」とほざいている。
 要するに、トヨタの車や偉大さはドンドン教えてもいいが、都合の悪いことは教えるな展示するなと言うことだ。
そもそもこの万博は自然をテーマとするとしながら、オオタカの住む「海上の森」などを破壊するものだったので、大幅に変更を余儀なくされた、しかし自然破壊は止め処もなく進行している、そしてそこで「世界に誇るトヨタの偉大さ」がより強調されているのだ。 大阪万博での岡本太郎の「芸術は破壊だ」など現状打破的要素は一切排除され、訪れる観客には「戦争に進む国・日本」と「トヨタ」の素晴らしさが全ての価値基準として強制されているのだ。
 そういえば少し前、日本の各自治体の「健全度ランク」が発表されていた、それによれば1位が豊田市2位から4位までも岡崎や半田、新城などとなっていた、全てトヨタの牙城、トヨタ城下町の町々である。
 評価の基準は財政健全度などと言っていたが、殆どの地方自治体が財政難で苦しみ、職員のリストラ首切り、民営化を進める中、「トヨタの傘下に入れば豊かな生活が保障されますよ」との強烈なメッセージであろう。
 トヨタ・奥田(経団連会長)体制とは、これまでにこの国を支配しているのだ。
 それにしても万博に将来の夢を託して訪れるアジアの人々が、過去の歴史の重要な部分をカットされた自国の教科書を見せられたら、内心どう思うだろうか、アジアの人々の反日の感情を「トヨタ万博」がより強めているのである。