10年前ぐらいだろうか。
同業者であった女性から、久しぶりの電話。穏やかな真面目な人であったその人から、変わらぬ、感じのいい話し振りに懐かしさも倍加する。元職場の話や近況報告が続いたあと、ついに懸念的中。
公明党女性都議候補の応援依頼である。
{このとき、私の目の前には、阿修羅のレジスタンスレポート、自衛隊員の子どもの障害記事が出ていないかどうかを検索していて、出くわしたものだが、米軍の蛮行写真が映っていた。覆面もしない「作られたテロリスト少年」の、集団虐殺の無残な映像である。}
「で、野上さんて、何をうったえているの?」
「野上さんは、派手なことはしないけど、地道に一生懸命頑張っているのよ。」
「何を、例えば」
「女性専用列車もそうだし、福祉のことなども」
「ちょっとまって、福祉に関していえば、もと教員の彼女は、共産党の主張する30人学級に、先生が楽したいからと言うようなことを言ってるそうだけど」「また、共産党が石原都知事の浜渦問題や税金豪華旅行のことをいえば、選挙のためだ!!と非難するそうね」
「細かなことをつっこまれても、資料(おそらく、共産党の提案する中学生まで医療無料を途中から参加したことを、ぬけぬけというのがオチ)がないからいえないけど、長壁さんは、公明党のことを何も知らないで、決めつかないでください」
「じゃあね、公明党及び野上さんでもいいけど、今のまだ終わっていない戦争に関してはどうですか」
「もちろん、公明党も反対だし、平和の党だから・・」
「え、だって、浜四津さんが盗聴法案に賛成して、次々と、今の治安国家に成り下がっているのはどう思っているの?戦争(有事)法案から 共謀罪まで成立していることを、あなた方は、どう考えて・・・・自衛隊派兵だって賛成しているでしょう(それは復興だからというのがオチ)」ーー参考までに、他の学会員さんとのヤリトリも一部挿入。
{私の目の前には、引き続き、あどけない顔の10数人の少年の遺体、裸にべっとりと血の跡がある無残な映像や、米軍に正座させられている好青年の引きつった顔がある。}
「私は長壁さんとケンカするつもりで電話したわけではないんです。久しぶりにどうしてらっしゃるかと思って、それにAさんやXさんも近くに越してきて、出会ったりしたものだから、つい、懐かしくて」
私と公明党支持の学会員のもと同僚との溝は、こうして永遠に続く。
それにしても、この溝はいったい、何なのだろうか。
掲示板で語っていても、これほどの溝は、感じない。右翼の攻撃は、その明確な目的があるから、さほど、違和感も感じない。ところが、この、穏やかな、社会正義の中心をなすかに見えるもと同僚、親戚、近所のお弁当屋の女性など、学会員のかたの「こころね」にある得体の知れない不気味なものを感じている。
彼女たちには、石原と一体になった、都議会ヤクザの実情は、まるで眼中にない。石原の進めるテロ政策がまるでみえていない。根津先生をはじめとする教育の魂が殺されんとする今の日本国家の策謀がみえていない。7万の年金生活者がホームレスにならざるを得ないような、そして、なおかつ、求職中の70近い高齢者を出すことを恥とも思わない都知事。「寝たきり死に切り拭く死」をよしとする介護福祉になんら疑問さえ感じないこの洗脳された日本愚民。世も末である。
それにしてもである。
よくよく考えたら、共産党員も、学会員も、どこか共通しているものがある。公明党、共産党のマニュアルが基底にあって、資料を基に、ロープレでもするように、今の情勢を語るというかんじがぬぐえない。公明党は池田さん、共産党は不破さんか。
したがって、イラク戦争はイラク戦争、憲法は憲法である。イラク戦争が終わって、復興事業なのだといえば、そうであるし、集団虐殺の写真のことを説明しても、学会がイラク派兵に賛成ならば、それは、米軍の行為をよくは言わなくても、とりたてて注視はしない。
憲法も然り。学会員の人にしてみれば、「平和のために」憲法を変えるのである。時代が変わって「憲法を守っているだけで平和が保たれる時代でない」と、攻勢的に、憲法を変えるのである。
つまるところ、この世の流れの根源が見えていず、日本のメディアのプロパガンダにいいようにほいほい乗せられていくのである。
日米軍事同盟下の日本の情勢が、どういう状況にあるか、客観的な視点が欠けているから、いくら神様を拝んでも、真実は探れない。
彼女が最後に言ったせりふが振るっていた。
「私は年取った両親の子だから、戦争体験した話をなまで聞いたから、よくわかるのね。だから、戦争は他人事じゃないし」
体験者も未体験者も、要は戦争を、どう見るのか。本質が見えているのかということであろう。戦場に行ってさえ、見えていないジャーナリストがゴマンといる。
共産党は、中でも、もっともマシな、少しは力のある政党であるから、とことん、頑張ってもらいたい。
あわよくば、日本のみなさんは、この度、共謀罪という悪法に賛成した党は、絶対入れないでいただきたい。過去の戦争法案然り。
あなたが、仮にも、平和がいいというのならば。
PS:伝言板で、寺超さんの母上の集会があったこと、知りました。弾圧があったのでしょうが、こうしたさまざまな視点の支援こそが、民主主義国家だと思います。今までの一方的なものはある意味、狂気に近い。かつて、朝鮮人虐殺を彷彿させるような恐怖を感じます。