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住基ネットの議論について

2005/06/21 過去へのこだわり 50代 地方公務員

 住基ネットの議論が戦わされていますが、行政に携わる者として一言発言させ て頂きます。まず私の立場は「揚げ蛙」さんに一番近いです。
 長壁さん銀画さんの「兵籍簿」は乱暴な議論の気がします。住基ネットが徴兵制の 一つの道具になることは、可能性としてはありますが、戦前は住基ネットが無くても 徴兵制はひかれています。あくまでコンピュータで管理する事が、事務上便利である というものでしかありません。
 元々日本は戸籍簿があり、さらには住民基本台帳があり、既に国民の管理は十分行 われています。
 現在の住基ネットの争点は、やはり国の情報の一元的管理に問題があると思います。 金沢地裁判決のポイントは、プライバシー権を憲法13条の人格権に位置づけ、さら にプライバシー権を「そっとしておいてほしい」という消極的なものでなく「自己情 報のコントロール権」がその重要な構成要件と認めたことに画期的意義があり、住基 ネットから離脱を求めている原告らに取っては住基ネットは違憲状態にあると指摘し たところにあります。
 この裁判では何が争点で、同時に何が勝ち取られたのかを正確に把握しておくこと が重要です。
 この視点から見ますと、例えば寄らば大樹の陰さんの「あのカードが配送されたと き」というのも正確ではありません。役所が送付したのは「住民票コード」です。ま た番号で管理される事は問題(病院で11桁の番号で呼ばれたら誰が窓口に行くもの か)とされていますが、住基ネットがこのような使い方をする事は想定されていませ ん。従来からどの役所も市民には番号をふり管理しています。(これはコンピュータ 技術上の問題です)、住民票コードがなぜ問題なのかそれは全国民に排他的番号を振っ て、国が一元的に管理している所にあります。
 ありもしない(病院で番号で呼ばれる)ことを描き出し批判するやり方は運動の前 進には役立ちません。  銀画さんや長壁さんが徴兵制に反対されることは敬意を表しますが、現状での住基 ネットの争点は、金沢地裁で争われたプライバシー権を憲法上の権利として認めさせ、 住基ネットそのものが憲法違反だと攻めるのが一番得策だと思います。
 また寄らば大樹の陰さんの指摘通り、現状では国のもくろみは成功していません。 住基カードの普及率も全国平均で0.4%という状況です。こうした国側の弱点にも 十分着目し、住基ネット反対の闘いを市民レベルで行うことが重要です。
 「戦争への道」は勇ましいですが、全てを「戦争への道」で処理してしまうやり方 は運動の幅を狭めるものだと思っています。
 最後に住基ネット反対は、自民党の中にもさらには杉並区長あるいは櫻井よしこさ ん等も反対しています。自民党は国防族が反対していると聞きます。あるいは反対し ている自治体の首長は松下政経塾出身者に多いように見えます。櫻井よしこさんも右 派ジャーナリズムです。
 村上龍の最近の小説「半島を出よ」では、北朝鮮の特殊部隊が日本にせめて来ます が、最初に彼らが押さえたのが住基ネットです。この住基ネットを使い占領支配を行 おうとします。  この視点が、住基ネット反対に国防族が多い事に繋がっていると思います。戦争と 住基ネットでは両刃の刃みたいな所があります。