最近、益々中国、北・朝鮮への非難が高まっている。もちろん、中朝への批判
は構わない。しかし、どのような方向性で批判するのかが問題である。あの体制は一
体どのような立場で清算されるべきなのか? 民族主義によってか? かつてのソ連
崩壊はそうであった。単にソ連が複数の民族国家に分裂しただけで、前向きに評価で
きるものがないのである。軍閥主義が益々露骨になり、チェチェン紛争から年金減額
までそこに住む労働者階級にとって良いと思われるものがない。
中国、北・朝鮮の人権侵害を批判するものも、本音ではどういう立場で批判してい
るのかが問題だ。確かに中国、北・朝鮮の軍閥支配は問題だ。しかし、反共主義者に
すれば、共産党や労働党一党支配が終われば満足なのではないか? それによって、
名ばかりとはいえ社会主義を掲げる中国共産党支配から露骨に反共を掲げる中国大政
翼賛会やら中国共和党やら中華政友会やらの支配になって、現在の多国籍企業受入れ
低賃金体制が更に多国籍企業に有利な方向で中国政治が動いて、反共右翼が文句を言
うだろうか。
反共右翼が中国・朝鮮の人権侵害を問題にしても、米の同盟国であるコロンビアや
トルコ、赤道ギニア、サウジアラビアの人権侵害を問題にしたことはないだろう。
ショービニストによる対立激化策では、相手を硬化させるだけで、かえって独裁体
制と軍拡競争を延命させるだけではないか。最も相手を悪魔化して対立構造を延命さ
せ、軍産学恒久戦時体制を守るのが彼らの目的であって、決して彼ら排外右翼が本気
で中朝の民主化を考えているとも思えないが。