日本は同時テロが起きたイギリス以上に、当事者意識が欠如した感覚があるように思う。
日本人の9割は目の前の女子高生が数人の少年に暴力を振るわれ、レイプされていたら、助けてあげようとすると考える。しかし、同時にそのような事に遭遇した後でも、フィクションならば、それと同じ内容のアダルトビデオのレイプもので射精ができる人も多いように思う。
何故なら、この国の大人の男達は、一人の少女が何ヶ月も暴行を受け、飢えと暴力に血へどを吐くほど泣きながら苦しみ続けた後でも、アダルトビデオのレイプものを撤去しようとはしなかったからだ。死ぬ前に救出できなかったにも関わらず、この事件を生かして女性を性暴力から守るために動こうという気運が直後に何も起こらなかった。日本社会は何も変わらなかった。
「女性の人権を守れ」というデモの一つも置きなかった。自分達の性のあり方を問うという動きは、国会など目に見える所では起きず、相変わらず馬鹿げたお笑い番組と性を売り物にした番組はテレビで続いた。4年後にはレイプを売り物にしたテレビ番組まで続出した。女性の人生を破壊する悲劇も男性の性的満足をもたらすアイテムの一つでしかないのか?
外国で同じ事件が起きたら、こうではない。他の国はアジアでも、欧米でも市民はもっとビビットに怒りを示すし、良くも悪くも加害者に殴りかかるような市民も出てくる。韓国でも台湾でもタイでもアメリカでも、日本以外は大体どこでもそうだ。それが良いかどうかは別だが。日本は平穏だった。
これがきっかけのポルノ規制の動きなども出てくるだろう。日本のポルノ規制はこの事件とは直接関係なかった。日本のポルノ規制はこれがきっかけではなかった。
益々アダルトビデオの内容は暴力的になり、残酷さを増し、ファミコンの中にまで少女を監禁して飼育するというゲームが売り出された。そして、ついに現実にそのような犯罪まで起きた。
この国では「それはそれ」という意識があって、アグレイブやグアンダナモで何が起ころうが、自民党と石原は支持され続け、イギリスほど敏感に選挙結果に反映する訳ではない。
ただ、東京でロンドンと同じテロが起きれば益々石原と自民党が支持され、スペインのようなテロが起きても、スペインと逆に社民・共産・民主が「テロリストと結託するひ土井たかこ」「国際テロと結託する反日左翼」などというノリで、益々与党が優勢になる可能性は大きい。同じ状況でも日本では、スペインと逆で野党議席がゼロになるかも知れない。
自爆テロが良いとは思わないが、日本人は相当ひどい状況になって自国がパレスチナやチェチェン、アフガニスタン、イラク、カシミールと同じ状況にならねば当事者意識は持てないような凄まじい鈍さを持っている。