この度、英国同時テロが勃発し、9・11の再現を思わせる手法で、情報が垂
れ流された。
サミット出席中のブレア首相は「我々はこの蛮行を強く批判する。一国に向けられ
たものではなく、全人類への挑戦である。テロと断固闘う」と、ブッシュと瓜二つの
セリフを繰り返した。
地下鉄など、人の集まる4箇所で爆発したとされるものの、犠牲者は今のところ5
0人程度と報告されている。
もちろん、こうした人命に拘わるテロ行為が、粗雑に扱われたり、アフガン・イラ
クでの日々二桁に及ぶイラク人の被害が戦争という名で正当化されるようなことはあっ
てはいけない。
だが、アルカイダ系の声明文を根拠に、
「アルカイダ系の手法酷似」といいきる朝日新聞には苦笑する。
数分ずつずらして連続テロを行う手法はアルカイダとの関連グループの特徴だーー
とイスラエルの大学教授の談話を引用してみたり、死んでしまったビンラディン(朝
日新聞もしんぶん赤旗も、ビンラディン死亡の記事は2001年12月末に埋葬模様
をつたえている)を再登場させ、幹部の米大統領批判と結びつけて引用する手口はい
ただけない。昨年のビンラディンの写真など、捏造もいいとこであったと記憶するし、
事実が違っていたなら、訂正が必要だろう。
朝日社説を紹介する。
英国同時テローーあの悪夢がよみがえる
では、ブレアの「われわれはこの蛮行をつよく非難する。このテロに団結して立ち
向かい、うち勝つ」という怒りを紹介し
--イラク戦争への報復が直接の動機になるかもしれない。だが、G8に代表され
る先進諸国への憎悪が背景にあるとみるべきだ。「テロへの怒りと悲しみを、われわ
れも共有したい」と結ぶ。支離滅裂な文章である。
しんぶん赤旗といえば、7月1日の主張と比較すると150度ほど違うだろうか。
7/1主張 「主権移譲」の一年ーーイラクの苦しみが続いている
米軍の占領支配に抵抗する動きの背景には、攻め込んできた米国に対するイラクの
人々の強い反発があります。スンニ派住民は、ファルージャなどで住民皆殺し攻撃態
勢をとる米軍の掃討作戦の主要な対象にされ、一月の選挙にはほとんど参加できませ
んでした。
・・・イラクの治安部隊の中には「スンニ派殺戮」を標榜する組織もあり、スンニ
派の人々の反発が続いています。
7/9主張
同時テロ事件
卑劣な犯罪行為を糾弾する
--蛮行の犯人は公共交通機関の地下鉄バスに爆弾をもちこみ爆発させました。
事件を受けて、英当局者は国際組織アルカイダの関与の可能性を口にしています。
英国で実行犯を特定し、犯人に「法の裁きを受けさせる」ため全力をあげることが
もとめられています。
国際社会が無法なテロをはびこらせないため努力を強めることが求められます。
アラブ諸国を含む、世界各国の指導者がロンドンでの同時テロを糾弾します。
ーーとまあ、確信的なタイトルにしては、主張というより米英やイスラエル側の帝
国の代弁の感。
アナン国連事務総長、英国サミット、国連安保理の決議などをあげていきます。
アラブ諸国を含む世界各国の指導者が「ロンドンの同時テロを糾弾」に意を強くし
たのでしょうか。
極め付きは、「一般市民を犠牲にする無法で残虐なテロを許さない国際世論を高め
て、テロに走るものを孤立させることです。」
まさに、10年同じセリフの繰り返し。
党員の金太郎飴どころの騒ぎでなく、まさに、不破語録にこけが生えているのかも
しれません。
朝日も赤旗も他の各国メディアも、日本メディアのフィルターを潜り抜け、見事に
変身します。
なぜか、マハティール前マレーシア首相も韓国大統領も、また、金正日のコメント
も出てきません。かりにもパレスチナのハマスやイラクの聖職者たちのメッセージも
ありません。日本人人質の際活躍してくれた温厚なイラク聖職者がとらえられたと耳
にしたのは3ヶ月ほど前だったでしょうか。
イラクでは捉えた聖職者に爆弾をまきつけ、自爆させて殺しているというなまなま
しい現実があります。
もし、英国のイスラムの若者が義憤と自国への加害意識で今回の事件を発したとし
ても、なんら不思議ではありません。アルカイダという国際戦士?がイラクの悲惨の
メッセージを放ったとしても、また不思議ではありません。イラク戦地が英国戦地に
切り替わったとしても自然です。
ですが、よく考えると、大掛かりな国際テロ組織がやったにしては、単純な爆発だっ
たといいますし、犠牲者が余りにすくないですね。
いえることは、日本国内では、待ってましたとばかり、この英国テロと呼応した動
きが実効され始め、地下鉄のゴミ箱が撤去され、夜半空気漏れの故障で1500人の
足が止まったという笑い話がおきたりと、まあ、マンガのような不気味な日本の民度
が動くということです。それに、ブッシュのコメントがずいぶん控えめですね。手際
よく3人の容疑者を捕まえ、「住所も名前も明かせない」とブレアが断言するのもま
たくさ~いお芝居のよう。
かりにも、活字に携わる人間のはずで、思考の次に表現があるとおもわれるのです
が、違うのでしょうか。
9・11から4年、この国に及び世界の支配層に位置する人間はすべて「戦争痴呆
症」に冒されているようです。
また、志あるものの言説が、どうして、こういうとき、聞かれないのでしょうか。
落ち目の石原のテロ発言ばかりが増長していきます。
近くの公園の木には、二本目の青ネットがかぶせられ、どこへいっても無料で写真
を撮られるようになりました。