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嗚呼!無防備都市宣言

2005/07/13 寄らば大樹の陰 50代 苦闘するフリーター

 私の住む街である市民運動グループがジュネーブ条約に基づく「無防備都市宣 言」の条例化運動を、他のグループも巻き込む形で展開した。
 1ヵ月の総力投入による活動で結果として法定数の3倍余りの署名を獲得し、市議 会に提案した。
 市民よりの直接請求による条例策定であるから、通常の会期を大幅に延長し審議さ れる形となった。
 条例案の審議となった総務常任委員会は、市長見解として市が提出した「市民の皆 さんの平和に関する意見表明は尊重する、しかし市には既に非核平和都市宣言があり、 また国防は国の専権事項であり、市の条例化は馴染まない」云々を巡って、賛成派と 反対派の議員の鋭い意見表明の場になった。
 既に自衛隊がイラクに派兵され、有事法制がほぼ完備、また国民保護法などが制定 され、そして共謀罪法案などの審議も始まり、日本国憲法がまだ健在であるのに、私 たちは既に戦前を上回る戦時法体制化の水準に引きずり込まれている。
 この「無防備都市宣言」そのものは、ジュネーブ条約と赤十字国際委員会の見解と いう極めて拘束力の乏しい国際法に依拠するものであり、また戦時、戦争の混乱状況 の中で、その地域だけに限定し、武器や戦闘人員、物資場所を提供しないから攻撃か ら除外を求めるという極めて限定性が強く、また予めレジスタンスなど戦争への抵抗 なども除外しており、イラク侵略戦争など現代のグローバル化した戦争で果たして期 待される有効性が発揮出来るか、その有用性には疑問はある。
 しかし現代の圧倒的な「戦争の時代」では、平和を求め戦争を止める為にはどんな に「屋上屋」を重ねることも必要だ。
 私たちは立派な「平和憲法」を持ちながら政治権力によって、戦争法案を次から次 へと成立させ、既に武装した自衛隊が海外に派兵されるという状況にあるのだから、 様々な手段で平和と戦争防止のためにあらゆる「防塁」を構築するのは、至極当たり 前なのである。
 ところが市当局は「市には市民の安全と平和を守る義務はある、しかし国防は国の 専権事項だからそれに触れる条例の制定は出来ない」「既に非核平和都市宣言がある から、それに基づいて市民の安全を守りたい」と繰りかえすのみであった、ならば 「お前達が日本で最初と誇る非核平和都市宣言は核と言う国の専権事項を犯している のではないか」とのどまで声が出そうになったが傍聴席であり、堪えて込み込んでし まった。
 それにしても公明党の見解は素晴らしいものであった。
 「私たちの党の一番の目的は平和な社会を実現する事です、市民の皆さんの平和に 対する熱意と意見は何よりも尊重したいと思います、しかし国の専権事項を犯す条例 を作ることは出来ません、条例には反対します」と涼しい顔で言い放った、「お見事 連立政権与党!」と言うしかなかった。
 委員会の採決は10人の委員の内賛成2名あとは反対だった、平和はまだ遠い。