終戦60年ということもあって、今夏は関連イベントが各地で目白押しだったよ うです。そのなかで、未成年、とくに高校生たちの演劇の中にはうなるような力作も あったと感じます。もちろん、その過半数は平和主義に立ったテーマをメインに据え ていました。彼らをよく知り、協力関係にあるという他校の演劇フリークのOBから話 しを聞くこともできました。
Y君:「全国に名を売りたいと考えるような気持ちは、ぼくらにはないんです。普通 に考えると、戦争とか平和をテーマに据えたものは確かにとっつきにくいんでしょう ね。なにげに誤解も受けましたよ、当初は(笑い)。《だって今は平和じゃん》って 感じで。ひどいのになると《どこのセクトなの?》なんて素面で聞いてくるオジサン も居たし(笑い)。でも、毎日毎日きなくさい空気が感じられるっていうのは事実で すし、ぼくらOBは足元からの皮膚感覚を大事にして作品づくりにこだわっていきたい んです」
F子さん:「何年目なのかですか?、そうですね今年でこの種の取組みは12年目なん ですよ、まだまだってところですけど・・・」
U美さん:「なにせ貧乏なんで、資金集めは毎年苦労の連続なんですよ。支援者さま さま! ってホントに感謝してます」
A男君:「“ホームレスと国会議員は一度やったらやめられない”だなんて格言ある らしいですけど、あれって嘘ですね(笑)、演劇こそ一度やったらやめられませんよ ~」
K君:「○○さんもチケット買ってくださるって! ありがとうございます」
彼らと話してみて印象的だったのは、他にもあります。過去の戦争を美化しようと
するさまざまな“悪書”が身近にある環境におかれていても、彼らは彼らなりに真剣
に戦争の本質を考えていることがわかりました。
彼らを長年引率しているという○○高校演劇部顧問(たしかに「顧問です」と言っ
ていました。)氏も、熱く語ってくれました。
顧問氏談:「私がこうして演劇部を指導していられるのも、この国に徴兵制がないか
らなんです。こうみえても戦後生まれの一員ですが、学生時代からほうぼうへ足を運
び、戦跡めぐりをしました。沖縄戦跡地では何とも言いようのない感慨に襲われ、足
が震えたことがいまだにまざまざと甦るんです。教員採用試験受ける頃には故ヨハネ
パウロ?世見たさだけで長崎に行きました。法王の平和メッセージ、本当に聴けてよ
かった。
で、こういう立場に居るからでしょうかね、○○党や△△党、更に××党や◇◇党?□□党からも声がかかる時期がありました。でも私は演劇に党派性が入るぐらいなら
最初から演劇には関わってなかったかもしれない、演劇どころじゃなくなるだろうし。
その感覚みたいなものにいまでもこだわっているんです。よく署名用紙ってあるじゃ
ないですか、ああいった平和活動で党名が前面に出ちゃうのは、<一筆お願いします
よ!>って声かけられても正直いって協力しにくいんですよね。もうちょっと、無党
派的な署名活動ってないんですかね」
顧問氏の気さくな人柄と党派性を拒否し続けるスタンスに、爽やかな気分で会場をあ とにした1日でした。