いま、国会の中で改憲勢力が80%以上を占め、民主党の党首に前原氏が選出されたことにより、憲法9条2項(戦力不保持)の削減については、自民党と民主党の足並みがそろった。
これから、巨大与党の数の力をバックに憲法改悪策動が本格化してくることは必致である。しかし、かたや国会の中での護憲政党は、ともにひと桁の議席しか持たない共産党と社民党しか存在していないこともまた現実である。
これはどんな世論調査でも、憲法9条の改悪に反対ないし、慎重な意見が80%以上を占める国民の普遍的な憲法意識を考えると、まさしく”ねじれ現象”そのものである。そして、このねじれ現象の根底にあるのは、歴史的に形成され、いまだに戦犯・金権支配層によって温存され、国民の多数の意識の中にある”反共”意識であるといっていいだろう。
また、最近の政治の歴史を考えてみても、かっての社会党がいわゆる”社公合意”によって革新統一を裏切り、反共勢力の仲間入りをしてからの経過を考えると、現在でも共産・社民両党が護憲のために歩みよって共闘し、護憲勢力の中核となることは難しいのも現実である。
長い期間にわたり共産党を除外した密室協議が国会で横行した時期が存在したが、その先導役をしたのも、しばしば社会党であった事実を忘れてはならない。
このような現実を踏まえ、憲法9条の擁護のために一番ベストな選択肢は、いわゆる「市民」の手によって、超党派の「市民による市民のための市民の護憲政党」を早急に立ち上げることではないだろうか。そのうえで2007年の参議院選挙での議席の獲得を目標として護憲のためのキャンペーンを早急に展開していくのである。
また、この「市民」の範疇は護憲の立場に立つかぎり、いわゆる知識人、各界の著名人、アーチストなども含む有名無名の全ての「市民」を含むことにする。これらの著名人や知識人多数がどしどし護憲のキャンペーンを展開することになってくれば、護憲の立場にたつ見解や意見がマスコミにあって露出度が大きく高まってくることになるだろう。
そして、もともと9条改悪に反対ないし懐疑的である国民の意識を啓蒙し、掘り起こしていくことにも繋がるであろう。
しかも、この超党派の「市民」の護憲政党がきたるべき参議院選挙で一定の議席を獲得すれば、護憲派が参議院の3分の1以上を占めることが可能となり、改憲発議を事実上不可能にする展望さえも開けてくる。
ところで、この超党派の「市民」の護憲政党と共産党のスタンスであるが、地方の首長選挙において共産党が保守も含めた無党派の住民と共同して、党員首長や民主派の首長を誕生させた経験に習い、対等平等の立場での柔軟な協力をすすめていくべきである。地方政治でできることは国政のレベルでもできるはずである
憲法9条の擁護という大局な立場に立ってのスタンスをとるべきこととなろう。