私も若い頃には共産主義の本も多少読みましたが、いまの「さざ波通信」の議 論に共感できることはあまりありません。
1920年代ロシア革命以来、社会主義は主として後進地域において拡大してきました が、それは殖民的支配に対する抵抗に結びついたナショナリズム、民族独立の戦いと して発展してきたはずです。
究極の目的である世界プロレタリア革命を目指したインターナショナルが、その発
展段階のひとつとしてスターリンの一国社会主義を認め、コミンテルンにおいても神
聖な教義として地位を獲得していく。世界革命の牽引車として先行するロシアの一国
社会主義を認めていくわけです。
それは社会主義が国際主義の原則に代わってナショナリズムと結びついていく過程
でもあります。
現在の中国もロシアも国の行動原理はナショナリズム(とその政策的な表現として の国益)です。しかも経済的には資本主義経済にどっぷりつかっているわけですから、 マルクス=レーニンの唱えた共産主義国家なんか現在の地球上には存在しません。 (キューバでさえ純粋な共産主義じゃありません)
中国共産党の主張を当然のように主張して、何の躊躇も感じない日本の左翼という 人たちの感覚はとても異常だと思います。
一般の国民は自分の生命と財産を左翼の政権に預ける気にはなれません。
コミュニズムの国際主義の原則を信じているのは日本共産党くらいじゃないですか?
日本の左翼が「日本の国益」を語るのは聞いたことがない。
つまり、日本の左翼は国際主義を信じ、中ロの共産主義は自国のナショナリズムと
結びついている。
必然的に日本の左傾化は、日本国の解体を進め、中国(あるいはロシア?)への朝
貢外交に先祖がえりすることになる。
日本共産党が本気で日本の政権を取ろうと思ったら、ロシアや中国という外国では なく日本のナショナリズムと結びつかなきゃ不可能でしょう?
小泉自民党と公明党に対する胡散臭さとか、貧富の差を拡大するような政策に対し て国民の大多数は不安と不満を持っています。
ただし、先の選挙では小泉首相の変革への意思(あるいはポーズ)に期待したわけ です。
しかし、この願いが裏切られたら、国民は大きく反小泉に反動する可能性もありま す。
日本共産党が北朝鮮の拉致問題を見事に解決し、貧富の差をなくすような有効で耳 目を引く魅力的な政策提言ができれば、大きく支持を広げる可能性がある、と思いま す。
カリスマ的な指導者が選挙の顔になり、日本のナショナリズムを取り込むことがで きれば、日本共産党が政権を取る日も夢じゃないかもしれません。
そのためには、日本共産党は天皇制や靖国神社、北朝鮮拉致問題に対する一般国民 の関心と愛着の深さを理解しなければいけません。