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一般投稿欄

社会主義政治勢力の歩留まり

2005/09/13 一労働者P 30代

 総選挙の結果が出た。前回議席比で、民主党惨敗、共産党現状維持、社会民主党1増という結果だった。
 報道ステーションで岩井という評論家も分析していたが、旧社会党支持者にすれば、今の民主党は旧自民党よりも反動的に映っている面がある。社民・共産支持層の多くは、自党立候補の選挙区では自党に入れた模様で、自民・民主一騎打ちの選挙区では、是々非々の投票をしたようだ。
 さざ波投稿欄では、党内野党的立場または“隣の庭の芝生は青く見える”的な心情から、“共産実質的敗北、社民勝利。共産支持者が民主に入れなかったから民主が負けた”などという投稿が掲載されることが予想される。だが、民主の敗因は第二自民党を目指し、二大政党制なる総保守体制を画策したことにあるのであって、共産支持者が民主に投票しなかったことにあるのではない。労働者階級の怒りの鉄槌が民主に下り、共産・社民がその受け皿として求められているのである。
 序に言っておくと、旧社会党支持者が共産党に投票している事実も見逃して欲しくない。さざ波投稿を見ると、それがまったく無視されているように思われるのだ。自民でも民主でもない第三の選択肢として共産党に入れざるをえない層の存在を無視して欲しくない。それを無視して、党候補ではなく民主党に入れよ、党候補など下ろして民主支持でいくべきだなどといわれると、反自民・反民主の受皿が全くなくなり、銃か剣かの究極の選択を迫っているようなものである。共産党員・支持者がこのようなことに加担しているとすれば、由々しきことである。
 共産党員・支持者共通の思考性として、党の得票は党員・支持者だけの票によって構成されており、党が決断しさえすれば党の得票が他党に移るかのような、独善的大衆迎合があるように思われる。しかし、現実には共産党員・支持者以外からの票によっても共産党は得票する。党に批判的な党員・支持者は、その主観に反し、反自民・反民主の人民の意向を無視し、独善的な言論を張っていることに気づいて欲しい。
 供託金惜しさに、自党候補を下ろし、民主に投票しろとか、立ってもいない社民に投票しろとか、何をかいわんやである。共産候補が他党と提携し(裏の提携でも構わない)、他党支持者が共産公認を支持する方向に向けさせれば良いではないか。都知事選挙でもそうだが、なぜ体力のない他党に候補擁立を期待するのか。ましてや民主党に入れよなどと、大きなお世話である。社民支持者や新社支持者が実は共産候補に投票していること、これが裏の提携の真実である。もちろん、社民候補が立っている数少ない選挙区においては、真っ先に共産候補は下りるべきだ。
 私の選挙区は自民・民主・共産だけが候補で、最後まで迷ったが共産に入れた。比例では社会民主党に入れた。最終的に比例で議席を獲得できたが、これがもし死票になっていたとしたら、さざ波投稿の論調からすれば、死票になる票はそもそも入れるべきではないということになろう。

蛇足

 このサイトは本来、共産党員・支持者による討論版らしいので、これ以上部外 者が出る幕ではないと思われる。ただ、問題にしたいのは、小選挙区制を前提とした 議論、革新政党が戦線を自ら進んで放棄し、革新支持層に保守二大政党のいずれかを 選ぶように強要することのの危険性である。一度アメリカのような国になってしまっ たら、もう後戻りはできないのである。小選挙区制を導入して以降、投票率は低下の 一途をたどっている。今回持ち直しはしたものの、中選挙区制度下ではもっと投票率 が高かった。アメリカの低投票率を見て欲しい。西欧先進国の投票率の高さを見て欲 しい。財政・人材難から候補を立てられない政党はともかく、立てられる余地のある 政党が自ら候補者を下ろすような愚を侵して欲しくはないのである。
 93年の中選挙区制度下で総定数511のうち、15しか取れなかった共産党が、定数180 の比例代表だけで9も取っているのである。この事実を見逃すべきではない。共産党 支持者だけでこれだけの得票ができていると本気で思うのであれば、恐るべき独善的 自惚れである。ましてや党が決断しさえすれば、この票が民主党にごっそり流れて好 ましいなどという夜郎自大的発想は誠に許しがたい。党幹部ならまだしも、末端の支 持者からこのような発想が出てくること自体、党の絶望的閉鎖性を物語っている。
 社会民主党とて、供託金300万の中選挙区制で、かつ十分な準備期間があれば、全 選挙区立候補(推薦含)が今でも可能なはずである。民主党内の旧社会党分子も民主 党に留まる理由はなくなり、大社会党の復活に近づく。社会民主党は結党60年の歴史 を持つ大党派である。「社民党には将来性があり、社民党の議席はいずれ共産党を超 えるだろう」こんなことを共産党支持者から今さら言われる筋合いはない。
 空白区をつくるほど支持者に対する背信行為はない。もっと選挙制度の問題に切り 込むべきであり、それができないのなら、アナクロといわれようが何であろうが、保 守に対抗する候補者を死票覚悟で出し続けるのが革新側の使命である。理想の選挙制 度を語り議論を紛糾させるより、93年以前の中選挙区制に戻すことを目的として超党 派で取り組むべきだ。