数年前から地方議会の若手議員を中心に「投票に行こう、選挙に行こう」運動が
進められている。
選挙期間に関係なく、それはまるでそれら若手議員の「善意、投票率低下を嘆き、憂
う素直な若者達の心からの行動」として見られ、マスコミは賛辞を送った。
それは学生を中心とした若者に「魅力的な政治活動」と見られ、高齢者には「頼もし
い若手政治家の出現」と映った。
しかしその中心メンバーは「松下政経塾」系が占めていた、実利面からすれば、彼ら
はそのパフォーマンスによってより知名度を上げ、地方議会で上位当選して行った、
そしてその行動によってターゲットとした学生達を、彼らは確実に自分たちの「親衛
隊」として組織化して行った。
こうして形成された「親衛隊」は、地方議会で反対派を威圧する行動部隊となり、こ
の総選挙でも「自民党小泉劇場」での若者の投票率向上の原動力となった、ケータイ
やメールになれた若者の行動力は、旧来の選挙運動の領域を遥かに超える威力を発揮
した、葉書作戦など古臭いのである。
若者や無党派層の投票率のアップと自民党の圧勝、そして公明党得票の低迷はこのこ
との一つの証しでもある。
かつてナチスがワイマールの低迷の中で俄かに台頭した大きな原因の一つはこうした
行動力と実力を持った「突撃隊・SS」の存在であり、青少年対象組織「ヒットラー・
ユーゲント」だった。
彼ら松下政経塾関連議員は各地にネットワークを結び、学生をインターンシップに招
き、「私塾」を開催し、彼らの政治学と行動学を教え込んでいる。
また彼らは議会で小泉構造改革と寸分違わない「官から民へ」「何でも民営化」「厚遇
問題を突破口とした労働組合破壊提言」を執拗に行っている。
小泉純一郎が訪れるところ、わがヨン様人気に類似するオバチャンたちの熱狂と、若
者たちの嬌声があった。
ポスト小泉の後には「得体の知れない熱狂」が来るかも知れない、それは文字通り、
旧来の政治と民主主義の破壊であり独裁への道だ。
小泉よりもっと恐ろしい何かが、私たちの背後でうごめいている、それを見逃しては
ならない。