9.11に行なわれた総選挙について、共産党の問題点を中心に述べます。
(1)変革を望む庶民に背を向けました
「確かな野党」をお経のように唱え、どのように現状を打開するかを具体的に述べませんでした。そのため、庶民からほとんど相手にされませんでした。
私の周囲でも「批判ばかり」「保守なのか」「傲慢」「庶民の痛みを感じていない」「小選挙区に275人も立てるのは自公を助ける」などの意見が出ました。
(2)新自由主義的政策の問題現象をとりあげず
選挙期間中、アスベスト問題・米国でのハリケーン被害という悲惨な出来事がありました。これらの実態解明や救難キャンペーンもみられません。また、これらの問題の背景にある新自由主義的政策の中で生じる歪みに警鐘をならし対案を示すこともしませんでした。
(3)社会主義の展望を語れない党首
マスコミでは各党幹部の論戦が活発になされました。政権公約(マニフェスト:共産党のは○○反対が目立ちましたが)をマスコミも比較報道しました。
そのなかで、志位氏は資本主義の次の社会の展望について、あろうことか、後ろめたそうにごまかしました。社会主義の展望を語れない、共産党の党首が多くの人々に明らかになりました。
(4)自公を(結果的に)補完しました
小選挙区にたてた275人は全員落選。なかには法定得票率を得られず比例枠でも当選できなかった比例代表名簿順位1位の人物もおります。その一方で、公明党は9人の小選挙区のうち,元自民党の無所属候補に敗れた沖縄1区以外は勝ちました。その様相は、東京12区,大阪6区、大16区を除いて、共産党の立候補に助けられました。このことは、マスコミでもかなり話題になっていた
ことですが、やっぱりまたも現実になりました。もしかしたら、自民が公明の協力無しに40%支持で7割の議席がとれない・公明が与党でないと組織がもたないように、自民も公明も共産党の助けがないと政治的位置が危うくなるかもしれないというのは言い過ぎでしょうか?
(5)得意のはずの社会保障政策でも対案なし
新自由主義的改革のターゲットでもあり、アキレス腱でもある社会保障をどうするかも今回の争点でした。これは、福祉切り捨て反対 の共産党の得意分野のはずでした。しかし、4年間の痛み押しつけを口にしても、打開の道を示さないため、国民には極めてわかりにくいままでした。
(6)護憲勢力は票を伸ばしました
前回総選挙に比べ比例代表の共産党(微増)、社民党(2割増)、小選挙区の民主党の護憲的候補は票を伸ばしました。このことは国民が大局的に何を求めているかを考えるうえで見落とせません。同時に、共産党は、社民党批判を後半強め、セクト主義にあきれた人々は少なくありません。
(7) 「確かな野党」論は地方選挙に暗い影 いうまでもありませんが、共産党が与党である地方自治体において、「確かな野党」論は極めて珍妙です。2007年の統一地方選挙およびそれまでの中間地方選挙でどのように戦うか大いに疑問です。
(8) 共産党中央も地方議員も危機感無し・反省なし
共産党中央の選挙後の発表には深刻な政治的結果・庶民生活への影響への危機感も、主体的な反省もみられません。実は地元の地方議員たちも、「確かな野党が票を伸ばした」と言っています。特別国会への対応で、志位氏が選挙中打ち出した「郵政民営化法案反対の共同」をどう進めるのか(あの時点で、私は、小選挙区候補の戦略的取り下げをするか、と一瞬期待した)、9議席では党首討論すらできない中で護憲派の院内統一会派の模索がなされるのか。現在の危機感のない、庶民に背を向けたまま、「確かな野党」カルト的引きこもり状態を大いに危惧いたします。