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勝ち組工場で働く時給850円の若者と自治体の悲劇

2005/10/16 寄らば大樹の陰 50代 苦闘するフリーター

 今や家電大型店で「亀山工場で作った液晶テレビを下さい」だけで通用すると 言う、「液晶テレビの勝ち組」、世界最高のシェアを誇るS社の事である。
 この企業が三重県亀山に進出した時、時の改革派と言われた北川知事は、進出につ いて多大の補助金を支出し迎え入れた。
 新規雇用の確保と税収の増大を計算した結論だった。
 S社は同業メーカーに比べ、相対的ではあるがリストラを少なくし、また他メーカー の熱狂的ともいえる中国への工場展開をセーブ、「国内回帰」「付加価値生産」と称 して国内展開に力を入れていた。
 それが結局のところ、液晶そのものの価格ダウンはあるものの、苦戦するソニーな どを尻目に、勝ち組として生き残っている。
 しかし今、北川知事が期待した雇用の促進は殆ど進まなかった、なんとなればメー カーの正社員は、リストラによる合理化による余剰人員が他工場から転入し、新規正 社員採用は殆どゼロ、今や工場で働く労働者の大半は、派遣や業務請負など「非正規 雇用労働者」なのである。
 大阪や名古屋の求職誌には「あの亀山工場で働きませんか」との求人広告が何件も 出されている、だがその労働条件は「時給850円」、「雇用期間3ヶ月」など、と ても世界最高のシェアを誇る「勝ち組」企業のものではない。
 今度、あの「新しい日本型経営」として、「ごく一部の常用社員、その下の短期間 雇用の社員、そしてその下には何時でも首が切れる非正規雇用」のピラミッド型雇用 形態を提案した日本経団連は、会長のトヨタ奥田が退任し、キャノンの御手洗が会長 に就任すると言う。
 今や小泉と奥田が敷いたこの国の雇用形態は、連合や全労連など既存労働組合が現 状を放置し、若者達の組織化を進めなければ、今後ますます雇用の不安定化、年収2 00万円時代が定着する事になる。
 疎外労働の他に、労働組合そのものがますます疎外される存在となると言うことだ。
 労働組合の闘いの放棄は、労働組合の存在価値そのものを自らが放棄する事となる、 闘わなければ小泉自民党による「何でも民営化」攻撃は激化し、自治体労働者への 「厚遇」攻撃も強まる。
 郵政民営化反対議員への容赦のない処分攻撃は、次の徹底的な「労働組合潰し」攻 撃を予感させる。
 今ほど、労働組合に所属する人々の「根底からの意識革新」が求められているのだ。