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生産手段の社会化とは

2005/10/20 尚 30代 レントゲン技師

 マルクス主義は生産諸力と生産諸関係の矛盾、対立と統一を原動力として人間と社会が変化、発展するという理論が中核となっている。

 「人間は彼らの生活の社会的生産において、一定の、必然的な、彼らの意思から独立した諸関係を、すなわち彼らの物質的生産諸力の一定の発展段階に対応する生産諸関係を取り結ぶ。これらの生産諸関係の総体は社会の経済的構造を形成する。これが実在的土台であり、その上に一つの法的かつ政治的な土台がそびえ立ち、そしてこの土台に一定の社会的政治的上部構造がそびえ立ち、そしてそれに一定の社会的諸意識形態が対応する。」

 生産関係と政治形態は別のものであり政治形態の変更はダイレクトに生産関係の変化をもたらすとは限らない。
 ところで階級とは労働の分業によって発生する。指揮労働を行う側に必要な権力は何よりもまず指揮される側によって指揮する側に付託される。指揮労働が存在する限り階級も階級闘争もなくならない。
 原則としてレントゲン技師は医師によって指揮されねばならず、何よりもまず技師の側でそれを認める(当然ですよね?)この意味で医師は支配者つまり指揮労働者であり、技師は被支配階級である。
 生産手段を国家が把握することは暴力装置と支配階級が結合する事であり、人民の上に強力な支配階級が君臨することを意味する。マルクスを丹念に読めば理解できることであり、今日のもはや崩壊した共産圏のありようを見ても自明のことであろう。
 それは、支配階級が生産手段を恣意的に運営することであり、「生産手段の社会化」の条件を満たさない。よって「生産手段の国有化は生産手段の社会化ではない。」と言える。
 指揮労働と生産労働の分業は社会主義によっては廃止されない。それは厳然として存在する。つまり支配階級も存在するし階級闘争も当然存在すると考えられる。
 「労働者階級執権」「生産手段の社会化」「計画経済」が並び称される所以も多分この辺にあって、支配階級と暴力装置を結合させず(当然、特定派閥にも結合させない)、支配階級に恣意的に生産手段を運営させず、生産を何がしかの方法で管理すると言うことを言っているに過ぎない。もっともこれも相当に大変だと思われるが。
 いずれにせよ旧共産圏のような所有形態や政治体制は上記の三条件を満たさないので現在の共産主義者の目指すべきものではないと思われる。