久しぶりに代々木へ行ったので、新しくできた共産党本部のそばにあるM書店という、いわゆる民主書店へ寄った。本部の新築と合わせてM書店も移転し、道路の反対側に新店舗を構えていた。本の並びを見て驚いた。共産党幹部の書籍のところにあるのはほとんどが不破氏の著作なのである。あとは志位氏の本が少しある程度である。
かつての共産党、とくに私がいちおう活動していた70年代後半から80年代前半にかけては、綺羅星のごとく論客が名を連ねていたものだ。例えば不破氏は無論のこと、外交・政治問題では上田耕一郎氏、経済問題では工藤晃氏、理論政策では榊利夫氏、文化問題では西沢舜一氏など、今でもその著作が本棚に残っている人も少なくないだろう。かつてさざ波氏も指摘していたが、宮本顕治氏の指導体制に問題はあったものの、日本のような発達した資本主義国の革命運動における、党員の理論武装また党内外との理論闘争を重要視して党内に多くの理論家を育成した(不破氏もその一人)ことは評価されてしかるべきであろう。
不破氏はすでに70歳を当に越えている。不破氏亡き後、いったい共産党の理論戦線は誰が担うというのだろう。