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擬似宗教団体かそれとも社民党か?

2005/10/08 薄幸ダイオード 40代

 9月6日の拙稿で指摘したとおり、日本共産党はマルクス、エンゲルス、レーニンを神様とし、その時々の東大出身の一握りの幹部を神様の教義の唯一の解釈者とする擬似宗教団体です。その実質は政党ではありません。共産党は政策の実現ではなく、教義への帰依と組織の維持存続のみを最大の目的としています。共産党の「政治」活動は、目標や政策の実現を目的としているのではなく、単に自分の組織と教義を維持存続することのみを目的としているので、厳密には政治活動ではありません。選挙も「勝つ」ことを目的としているのではなく、組織を維持存続することを目的として行っているので、選挙でいかに連戦連敗を重ねても、誰も責任を負わず、戦略を見直すこともないのです。共産党は、自分の教義や組織に対してリスクを冒してまで、憲法9条や国民の暮らしを守る気などはさらさらありません。この共産党の本質を、もっと多くの人々が気づくべきです。

 共産党が擬似宗教団体であると評される最大の理由は、実社会では「結果がすべて」とよく言われるように、「目標に対する結果の達成度」によって人も組織も評価されますが、共産党ではまったく異なり、結果の達成度は二の次、三の次で、「組織や教義への忠誠度」によって評価される、ということにあります。どんなに議席を減らしても、幹部がそれでも「わが党の路線は正しい」と平然と言うことは、実社会ではありえないことです。
 これまで党が党員に対して行ってきた査問、除名、除籍という処分のほとんどが、まるで教団の異端審問のように行われました。「党幹部が責任を取らなければならないのは、党の綱領を裏切ったときである」という共産党幹部の立場は、共産党はまさに「結果責任」・「責任倫理」ではなく、「思想責任」・「心情倫理」に基づく党であることを自ら宣言するものです。
 また共産党では党員にマルクスやレーニンの思想や党の歴史を熱心に教育したり、「赤旗祭り」を盛大に開催したりしますが、そのマイナスの効果として、目標の実現や未来への志向よりも、思想や組織への帰依意識や帰属意識を優越させる、いわば「仲間意識や愛党精神ばかりがやたらと強いムラ社会の一員的」党員を数多く生み出してしまっています。
 共産党の本質は、政党ではなく擬似宗教団体であると理解すれば、共産党のまったく特異な組織体質をすべてうまく説明することができます。

 共産党の擬似宗教団体への変質の原因は、組織が老朽化、肥大化したこと、そして民主集中制という異論を封殺する制度が長年、組織の新陳代謝や活性化を妨げたことにあることは疑いありません。現在の共産党は「変化を嫌う」という意味では自民党以上に保守的政党であり、とりわけ党の幹部になるほど斬新、独創的な発想や機動性、スピード感覚、多少のリスクを冒してでも何か新しいことに挑戦するチャレンジ精神や活力を完全に失い、世に言う「大企業病」に蝕まれています。共産党の場合、この病を治療するのはもはや不可能な段階に達していると悟るべきです。なぜなら、民主集中制を取る共産党には、この病を矯正する組織的メカニズムも人材ももはや存在しないからです。

 どんな組織であれ部下は上司の命令に逆らえませんので、組織の力量や質を決めるのは、とどのつまり組織のトップということになります。組織を生かすも殺すもトップ次第です。以下に立派な理念や政策を持っていても、トップが死ぬ気でそれを達成しようという決意・情熱・覚悟・気概がなければそれらはすべて宝の持ち腐れで、その実現は到底おぼつきません。現在の共産党幹部には、著述業にせっせとお励みになる方は多いのですが、残念ながら政策実現への決死の覚悟・気概・気迫は皆無で、彼らが考えているのはただ組織とわが身の保身のことだけです。
 どうか一人でも多くの皆さんが、共産党が政党ではなく擬似宗教団体であるという本質に気づき、支持政党を考え直すようお勧めいたします。

 「社民党と共産党の政策はほとんど共通しており、どちらも支持できる」という見解を共有できる方々に申し上げたいことは、応援するなら共産党より社民党を応援するほうが、費やす応援のエネルギーの燃費、効率、コストパフォーマンスという点では共産党より社民党のほうがはるかに優れていると思われる、ということです。なぜなら、共産党は上記のとおり擬似宗教団体に変質していてすでにエネルギーの多大なロスが生じており、それを矯正するのも容易ではありませんから、そのコストとして莫大なエネルギーの損失を見込まなければなりません。一般庶民・貧乏人にとって、政治に投入できる時間やお金は極めて限られていますので、少ない資源の有効利用、すなわち「運動の効率性」という視点も欠かすことはできません。共産党はこの「運動の効率性」という視点が極めて乏しく、党員・支持者のエネルギーの無駄使いにはあきれるばかりです。自分の党勢を食いつぶしてまで立てた壮大な党本部の建物は、党員・支持者のエネルギーの無駄使いの象徴です。
 先月の総選挙では、社民党は議席数や得票率では共産党に及びませんでしたが、議員一人を当選させるのにどれだけの得票やコスト、労力を必要としたかという「運動の効率性」という観点から選挙結果や選挙戦を分析しますと、私見では社民党のほうが勝っています。共産党は、ガソリンはやたらと食う割にはほとんど前に進まない燃費のあまりに悪いオンボロ自動車です。政治闘争もスピード勝負です。悠長に時間をかけていては、負けてしまうのは当然です。日本には共産党がまとものなるのを待つだけの時間的余裕はもうないのです。

 どうか一人でも多くの皆さんが、もうあとがない緊急事態の日本の現情勢において、マルクス、エンゲルス、革命、天皇制がどうのこうのという共産党固有のドグマや議論は、情勢の本質、さらには唯物論からも外れたまったくの些事に過ぎないといことに気づいてほしいものです。
                               以上