第二次大戦時のドイツ軍は無線機の普及率では世界最高であり、兵器、兵員の質量ともに優勢な連合軍をしばしば撃破しました。無線機と言う下部構造がドイツ参謀本部の指揮労働と言う上部構造を支えたと言えます。
兵力と兵器に勝るソ連軍はしばしば敗走しながらも最終的な勝利を獲得します。生産力と言う下部構造の桁違いの優位が発揮されたともいえますし、それは同時にドイツ参謀本部の指揮労働の威力を見せ付けた結果ともいえます。
現在、多くの国々に於いて労働は指揮労働と生産労働の分業がなされておりどちらかのみで成立する生産はあまり見ません。指揮労働は必要だと思われます。
指揮労働とはヒト、モノ、カネを組織する事であり、円滑な労働の遂行には強制力が必要となります。就業規則、軍務規則、業務命令、命令、こうした事柄が守られるには懲戒免職や銃殺刑といった強制力が存在しかつ、大多数の構成員つまり被支配者階級によって強制力を指揮労働者階層が保持すると言う事を承認されなければなりません。
水は船を浮かべ船を覆すという言葉がありますが船を浮かべるように指揮労働者階層の権力を私達は承認していると言えます。
支配階級とは指揮労働者階層の一部が転化した姿に他ならず、不可避的に形を変えて出現すると思われる。ホリエモンが堂々たる資本家である事は誰もが知るところであるが同様に一生懸命指揮労働をしたと言う事も厳然たる事実である。
百キログラムの米は百キログラムの純米酒を生成しないがそれでも純米酒はコメからできる。
非抑圧階級が国家権力を把握し、国民本位の政治を行うのは良いが、権力ずくで支配者階級を弾圧しようとすれば指揮労働者階層全体に対象は拡散し、血まみれの地獄を出現させる可能性があります。そして少なくない人々は指揮労働と生産労働の両面を保持していますので全国民が弾圧の対象となる可能性も理論的にはありえます。
マルクスは階級の発展的解消がなされるといっているのです。革命によって階級の発展的解消が早くなるとは言っておりません。産みの苦しみを和らげる事が出来ると言っているのみです。