日本共産党は護憲勢力だろうか。次期通常国会で自民党
は国民投票法案を上程するという切羽詰った現情勢の中で改憲
阻止の運動が日本共産党においてほとんどないに等しいのを見
ているともうこの党に期待を抱いていてはいけないと思うよう
になりました。
このさざ波通信を見ていても、共産党員や支持者が多くいる
のに改憲にたいする危機感がほとんど出てこないのは、おそら
くは日本共産党が赤旗で改憲阻止のキャンペーンをあまり張っ
ていないのと、各地での戦いを組織し、呼びかけていくことを
サボタージュしていることを反映しているのであろう。
市民運動では「九条の会」、「百万人署名」などがあるが「
九条の会」は共産党がテコを入れているだけに期待されるよう
であるが、作家や著名人が演壇の上から講演するだけで、一方
は先生、一方は聴衆という関係から出ていないのです。つまり
なんらの戦いも「九条の会」から生まれてこないのです。
日本共産党は自らが先頭に立って改憲阻止の戦いに立つのを
避けて「九条の会」に下駄を預けているが、その「九条の会」
は講演会に過ぎない。それ自体が改憲にたいする危機感を抱く
人民大衆のエネルギーをガス抜きする役割を果たしているので
す。おそらくはそうさせられているのであろう。
いま私たちは憲法についてはそれが平和憲法であることを、
戦争放棄をうたった憲法であることを,わざわざ講演を聴くま
でもなく知っているのです。そしてほとんどの国民もやはり知
っているのです。「九条の会」ができた時、たくさんの方々が
改憲阻止のための戦いが大きな規模で始まるきっかけになるの
ではないかと各地の会場に詰めかけました。大阪の中之島中央
公会堂は聴衆が溢れて入れないほど担ったのです。
そこに期待を抱いた人たちは、どのようなことがあっても戦
争をしてはならない、憲法を守らねばならないとみんな戦いに
立ち上がりたいのです。そうしなければ大変なことになる、過
去の過ち、アジアの人々を5千万人も殺戮し、日本人も何百万
人も殺されてしまったあの時代が再来することに反対しなけれ
ばならないと多くの人々が思っています。そして改憲は国内的
には暗黒時代に入ることも危惧しているのです。
私は日本国憲法が絶対のものとは思ってはいません。しかし
いま何が何でも改憲を許すことがただちに日本を戦時国家に変
えてしまうと考えています。
いまや、自民党の新憲法草案が11月の最初に発表されたの
です。
自民党はこの改憲をなにが何でもやりぬくために造反議員を
出さないために郵政問題で反対した議員を査問までし、右翼的
に党を純化させました。社民党は改憲派になりました。すでに
衆参両院の三分の二の賛成をえられる見通しが自民党にできた
のです。小泉総理の最大の役割は改憲を果たすことに尽きます
。彼は日本独占資本=帝国主義の使命を受けてこの改憲をやり
ぬいたあとに総理を辞める決意をしています。
時代は戦争へ、戦争へとまっしぐらに進んでいます。その為
の改憲です。
来年は国民投票法案が出されるとこのさざ波で投稿された方
がいますが、それだけでしょうか。国民投票法が可決されれば
もう反対運動は全て違法になり、デモも集会も参加者は逮捕投
獄されます。可決から時期を経ないままに改憲法案が国会に出
されるのではないのでしょうか。
そして改憲はまずは「九条」を破壊することのみを狙ってい
ますが、ひとたび改憲を許せば天皇制、あるいは徴兵制、思想
、信条の自由剥奪、などが後から第二次改憲となって追加され
ます。それを容易にしているのが国民民投票法であり、第一回
の改憲です。二回目の改憲では国会の過半数の賛成ができれば
いいことになるのです。
「九条」だけに焦点を絞ったその内容は、
第2章 戦争の放棄
〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕
自民党新憲法草案(以下 草案)上のこの2行がなくなってい るのです。
「2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、 これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。」
自民党草案では
「 第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及 び国民の安全を確保 するため、内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持す る。」
事態はここまできているのです。総理大臣を最高指揮官とす
る日本の軍隊ができるというこの事態になって日本共産党は全
く微動もしていないのです。もしも大衆運動が党外から湧き上
がったとき日本共産党は運動を破壊するために入ってくるであ
ろう。
それが過激派を運動に入れないという主張を予防的に張った
意味なのである。すでに新左翼各派が改憲阻止の戦いを各地で
組織し始め、共産党員もその中に入っているのです。共産党指
導部はそれを恐れ警戒しているのでしょう。しかし新左翼の戦
いがなければ改憲阻止闘争は今日ありえないのではないでしょ
うか。
日本共産党はその全党の力を結集すれば100万の人民を動
かす力を持ちながら意図的に改憲阻止の戦いを放棄しています
。民主集中制は戦いのための組織原則なのです。党中央の指令
のもと全党40万が改憲阻止のために立ち上がることは可能な
のです。選挙ではそのくらいのことはしてきました。四十万の
党員が結集すれば全労連、民青、民商、その他大衆団体が取り
巻くでしょう。100万のデモが国会を包囲できるのです。
いまそれをなすべき時です。
だが、院外闘争を恐怖しているのか日本共産党中央委員会は
党利、党略のみに腐心しているのです。この時代に役に立たな
い共産党などを私は全く期待できないのです。
日本共産党が改憲阻止のために立ち上がらない。これはどう
いうことか。党は改憲を既定の事実としてその後のむき出しの
日本帝国主義の戦争と侵略の中に生き残り、排外主義者として
帝国主義を左から支えていくことを指導部は決断しているので
ある。。カウツキーの党がそうであったように。
戦後、60年の最大の時を迎えすでに日本共産党は日本帝国 主義に屈服したのである。党は護憲勢力ではない、私はそう考 えます。