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一般投稿欄

日本共産党とスターリン主義

2005/11/23 レフD 会社員

 現在、世界各地の「正統派」共産党の勢力は、明らかに退潮傾向にあります。それは日本共産党の惨憺たる状況が物語るとおりです。
 それどころか、イタリア党や旧東独党のように党名変更・綱領の根本的改変によって、まったく新しい党になったり、フランス党のように泡沫化した党すらあります。
 これら各党に共通している(していた)のは、いずれもスターリンの「正統派」が形成されて以降の、いわゆる「マルクス・レーニン主義(日本共産党はそうした呼称をすでに放棄していますが、党綱領が根本的に改変されたわけではないので、実態としては変わらないものと私は認識しています)」を党是とする点です。
 共産党関係者と対話や討論をした多くの方が共通認識として持つのは、彼らの他派――特に「非共産党」共産主義者や新左翼的党派に対する、頑迷で硬直した態度への違和感ではないでしょうか。
 彼らにとっては、自分たち以外に共産主義を標榜する党や、非共産党の共産主義者が存在すること自体、ありえないことなのかもしれませんが、彼らの意識のなかに「前衛党は一国にひとつ。他はニセモノでニセ左翼だ」という刷り込みがあるように感じます。
 この根本にあるのは、いわゆる「民主集中制」という名称の中央集権制があると思われます。

 この制度の源泉がレーニン健在な時期の1921年3月に開かれたロシア共産党第10回党大会『党の統一についての決議』第7条(分派形成者や規律違反者に対する除名措置の是認)にあることは、よく指摘されるところです。
 しかしこれは、いわゆるクロンシュタット反乱が革命を脅かす致命傷となりかねないとの危機感を共有した、レーニンやトロツキーなど主要な党指導部の一致した意思のもとに導入された、いわば緊急避難的な策であり、必ずしも恒久的なものとして考えられていたとは言い難いものです。
 事実、この非公開とされた決議には「非常措置」という文言が織り込まれています。
 しかし、レーニンが病に倒れ、書記局を掌握したスターリンのもとで、この制度が悪用され、次第に分派禁止=上意下達を意味するようになり、スターリンの独裁に道を開く要因となったのではないかと考えます。実際、この分派禁止違反を口実に、トロツキーは除名・追放され、ジノビエフやカーメネフその他、大半のボリシェヴィキ指導者は粛清されたのですから。
 また、世界各地の共産党組織でスターリン派がヘゲモニーを掌握したため、このような悪しきシステムが共産党組織の根本原理のひとつにまでなってしまったことは、容易に想像できます。
 そのような『負の遺物』を、なぜいまでも日本共産党は後生大事に抱え込んでいるのか、まったく理解できません。

 日本政治の現状は、小泉首相を親分に戴く自民党の独裁独裁状態です。
 かつての日本社会党が小選挙区制導入に手を貸した結果、多くの少数意見が平然と切り捨てられ、民意が反映されないメチャクチャな選挙制度になってしまいました(社会党が自壊したのは自業自得ですが……)。また、日本共産党以外の政党が国から――ということはわれわれの税金から――助成を受けるなどという「権力の飼い犬」になってしまったなかで、ほとんど唯一がんばっているのが日本共産党です。
 日本共産党の今後の展望については、必ずしも明るいとは思われません。しかし、日本社会の急速な右傾化や、自衛隊の米国の世界戦略への組み込まれ・下請け状況の進展、与野党の憲法改悪への露骨な動きなどを見ると、まだまだ日本共産党の存在価値はあると思われます。
 しかし生き残るためには、根本的改変の必要があると思います。その最近の適例は、旧東独の政権党・民主社会主義党の選択ではないでしょうか? 先の総選挙で、同党は社民党左派と連合し、70議席以上を獲得しました。もちろん選挙制度が異なるため、そのまま真似ることはできませんが、同党の柔軟性はとても参考になると思われます。
 そうした『自己改革』の一環として、日本共産党は一刻も早く「民主集中制」を廃棄し、柔軟かつ肝要な姿勢で、これまで共産党に対して距離を置いてきた市民運動などと連携を深めていくことが必要ではないでしょうか?