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反スタ「左翼」と大衆運動の弁証法

2006/01/09 杜魯月 20代 学習塾講師

 反戦某氏より、1月6日づけで、反スタ「左翼」との「共闘」に関してご意見を頂きました。

【”本質→現象”だけで無く”現象→本質”もある】
 これは、ご高説の通りです。

 以下、意見を述べます。

(1) 中核、革マルの本質:すなわち、お互いに相手を階級敵と見なし、殲滅、追撃、破壊、解体の対象にしていることに関しては、ご反論が無く、氏もこの本質は認めたと理解します。

 この本質を、最近の「前進」から再確認して見ましょう:

<われわれはこの中で先制的内戦戦略を確立し、現代革命の基本構造の深化との関連で、二重対峙・対カクマル戦を階級闘争と革命論の中に位置づけたのである。>(2003.3.14)

 要するに、“カクマル戦”は、理論的にも中核の綱領的な革命路線だと言っております。 今、たまたま内ゲバが、一見、沈静化しているのは、「一時的な現象」であり、中核の本質は 時来たれば、何時でも“カクマル殲滅敢行”。でなければ、現代革命は完遂しないと 中核派は、革命論の中で綱領的に位置づけているわけです。   

(2) 一部の現象だけを捉えて、本質を決めつけるととんでもない誤謬が起こってしまいます。どんな誤謬が起こるか? 例を見てみましょう。

 (例)

●ペレスとアラファトがホワイトハウスで握手した。
→ イスラエルとパレスチナは友好国だ(間違いです)。

●大雪の為、自衛隊が除雪救援活動をした。
→ 災害救助をする自衛隊は人民の為に存在する(間違いです)。

●警察が収賄をした自民党政治家を逮捕した。
→日本の民主警察は、権力の暴力装置などではない(間違いです)。

●学園祭実行委員会に、革マル系サークル、中核系サークル、民青系サークルが参加した。
→ 革マル、中核、民青はお互いを認め合っている(間違いです)。

●同じ労働組合に革マル、中核の同盟員が所属しており、集会にも参加している。
→ 革マルと中核が和解している。もう、内ゲバは無い(間違いです)。

(3)しかし、氏の言いたい点は、様々な大衆運動で、人民の包囲と監視の下、心ならずも同じ運動に参加する頻度が爆発的に増えれば、これが両派の質的転化に繋がる可能性では無いかと推察します(現象→本質)。これは無いとは言えませんが、その時は、質の弁証法的転化、すなわち、もはや中核(革マル殲滅が革命  路線)が中核で無くなり、革マル(中核=権力が革命路線)が革マルで無くなる時です。お互いに、解党的な総括をし、解散する  か、現行幹部総退陣で新党結成しか無くなります。皮肉ではありますが、反スタ「左翼」が“乗り越えられる”瞬間です。

【既に内ゲバは終わり、路線を変更した】
 これは、認めがたいですね。

 両派とも、まともな”終結宣言”も“内ゲバ総括”もしてません。
 最も、まとも終結宣言など出来ませんよね。中核が終息宣言するには、(1)革マルが解体する、(2)革マルを「反革命」と規定したのは 間違いであると将に解党的総括をする、のどちらかしかありません。
 革マルの方は、”中核解体終了宣言”で、内ゲバ終焉を宣言はしておりますが、今度は、「権力の走狗」論が間違いであると、こちらも解党的総括が必要になります。

 従って、中核は、今でも、”カクマルせん滅”を機関紙等で声高に呼びかけております(「前進」読んでませんか?)。

2004年2月9日の「前進」より抜粋:

<カクマル5人を一挙完全せん滅した80年10・30戦闘を、首都厳戒体制をつき破って敢行した84年自民党本部炎上戦闘や86年東京サミット砲撃戦を始めとした対権力ゲリラ戦を、階級の求めにこたえて新たな次元とスケールで何度でも戦い取る決意だ。>

●要するに、過去、革マルを5名一度に殺害したり、「輝がしい」戦果があるが、時きたれば「新たな次元とスケール」で、「何度でも」やるぞ!と言っているわけです。

<JR総連カクマル内での松崎派と嶋田派へのさらなる組織分裂が激しく進行している。労働者階級の怒りで、この裏切り者に死を与えよ!>

●これは、分かりやすい。処刑宣言してます。

【何故、内ゲバが沈静化しているのか?】
 上で見てきたように、中核派の本質はなんら変わっておらず、「やるぞ、やるぞ」と事あるごとに機関紙でも宣言しています。

 最も、内実は、厭戦気分が蔓延、嘗ての「革命戦士」の老齢化が進み、「革命軍」など機能しなくなっているのでは無いでしょうか。
 なにしろ、処刑宣言したはずの革マルの幹部は未だにピンピンしている分けですから。内ゲバをやっていては、新規入党者獲得も出来ず、若い同盟員から見ると“本多書記長虐殺報復戦”などと30年前の化石の様な話を出されてもモチヴェーションが沸かない。“カクマル殲滅”を絶叫する老中年世代との世代ギャップは、組織上の大問題になってきているのでしょう。最近の前進の「奥歯にもののはさまった様」な論調からこれが見て取れます。

 日本全体がガソリンをぶちまけた様にマッチ一本で今にも革命の炎が一挙に爆発的に燃え上がる様な状況だといい続けて半世紀近くになっておりますが、狼少年状態もここまで来ると、組織の箍を引き締めることに精一杯で、内ゲバ所では無いと言うのが実情でしょう。

 ここは、一旦、護憲運動などに寄生し、新規入党者と新たなシンパを獲得し、組織の建て直しを図っている状況と見ます。中核「民主派」なる分派も登場し、内々ゲバまで発生しており、組織に相当ガタが来ている様に見受けられます。
 解党的総括でもして一から出直すならまだしも、現状の「内ゲバ沈静化」は、“零細投資家”氏の言うなし崩しの「マヌーヴァー」の域を出ておりません。沈静化の背景は、彼らなりの「行き詰まり」にあると考えますが、大事なことは、再び、彼らを「元気」にさせないことでしょう。元気復活すれば、「新たな次元とスケールで何度でもやる」と言っているわけですから。
 寧ろ、きっちりと解党的総括をせざる負えないところまで追い詰めてあげ、自己批判の完了した出直派を民主勢力の中に迎え入れてあげましょう。従って、内ゲバを本から終焉させる為にも、大事なことは、護憲運動潜入工作などの彼らの延命策を断ち切ることだと考えます。