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一般投稿欄

自衛隊活用論について

2006/02/16 シンタロー 50代 公務員

 風来坊氏の「安保条約下での自衛隊活用なる妄言につい て」の論評を拝読いたしました。
 たしかに安保条約下での自衛隊は米軍の補完部隊として組み 込まれた存在であります。
 そして、憲法9条の制約のもと、直接戦闘に参加はできない ものの、イラクの地にまで後方支援部隊として投入され、特に 航空自衛隊の場合、一般に知られていないが、後方支援活動そ のものである兵員や武器弾薬の輸送に従事していることは重大 な事実であります。
 米軍の補完部隊としての自衛隊、日米共同作戦体制に組み込 まれた自衛隊、これが安保体制の下の自衛隊の実態であり、こ の実態を肯定することは到底できません。
 しかし、安保条約が将来において民主連合政権が実現し破棄 された時にあっても、自衛隊という違憲の存在、自衛のための 「最小限の実力組織」としての自衛隊は存続し続けるでありま しょう。
 なぜなら、考えられる将来において常備軍がまったく不要に なる国際情勢が実現するとはリアルな立場に立てば考えられな いからであります。
 世界同時軍備放棄が実現することとなれば別でありますが、 核兵器という残虐兵器を廃絶することすら国際社会はその見通 しを立てるにいたっていないのであり、ましては通常戦力とし ての常備軍を全廃することは現在の時点では「抽象的な可能性 」の世界のこととしか思えないのが現実であります。
 民主的政府のもと、安保体制から離脱し、米軍の指揮系統か ら切り離され、そして国家公務員の集団としての政治的中立性 を自衛隊の組織原則として確立し、民主的政府の平和憲法にも とづいた平和外交のもとで自衛隊の縮小と軍縮に取り組んだと しても、自衛隊そのものは存続せざるを得ないでありましょう 。
 なぜなら、そのような未来においても軍事力は国際政治にお ける大きなファクターであり続けることはほぼ確実であること が予想されるからです。
 実際、今「中国脅威論」なるものが喧伝されています。私も 米国や日本の反共勢力の唱えるような意味での”脅威”である とは中国のことは思いませんが、チベットを武力併合したり、 ベトナムへ大軍を投入して侵攻を行ったり、平気で日本の領海 内に中国の潜水艦が大手をふって通ったり、また東シナ海の海 洋資源を独占しようとしていることなどすべて誰も否定できな い客観的事実であります。
 私たちはこの事実に目をつぶってはいけません。
 党中央は中国の当面の国家政策の課題は経済建設が中心であ り、そのためには百年の計で平和な国際環境を望んでいるなど とリアルティに欠ける情勢認識を唱えているようですが、天安 門事件の時は「鉄砲政権党」などと正しくあの国を見て批判を おこなっていたのに、なぜ今、あの当時と同じ体制下にある中 国を理性的な国に変化したような対応をしているのか、まった く理解に苦しみます。
 さて、このような国とわが国との間に将来起こりえるあらゆ る問題や軋轢を100%の確立で、すべて平和的な外交交渉と話 し合いで解決できると言い切れるでしょうか。
 これはリアリティに欠ける非科学的な考え方であり、中国が 武力やその威嚇によってわが国との間におこった問題の解決に 乗り出す可能性は否定しきれません。
 このようなときに実力組織としての自衛隊を活用することは 国際法でも認められた自衛権の発動であり、正統性をもったも のと考えます。
 ゆえに、自衛隊の活用そのものは民主連合政権が樹立され、 わが党が国民の生命と財産の安全に責任を持った立場に立たさ れるときには避けて通ることができないものであると思います 。
 そればかりか、民主連合政府樹立以前にあっても避けられな いこともありえましょう。
 たしかに、第一次世界大戦の前夜に軍備増強と戦争政策に反 対するか否かが、共産主義者と日和見主義者(社会民主主義勢 力)とを分ける分水嶺でありました。
 しかし、これは帝国主義国家間の略奪戦争に対して問われた ことであり、現代における国家の自衛権の正当な発動をも妨げ るものではないと考えます。