再び、共産党に内部変革の可能性ありや、それとも新党
を目指すべきかというテーマです。
人文学徒さんの「新党構想に具体的提言なし」(3月1日付)
という批判はもっともだと思いますが、ひとりの人間が新党構
想を具体的に提言できることはかなわぬことであります。それ
ゆえ、みんなで語り合って認識を深めるべく討論を期待してい
るところです。
民主集中生さんは新党実現への手段としてインターネットの
ことを提言されました(3月5日付)。ネットについては不勉強
ゆえ、発言すべき資格はありませんが、民主集中生さんが考え
ていらっしゃるのは「新党」というよりは、幅広い有機的な左
翼ネットワーク体ではないかと想像します。
そうであれば、全面的に賛成します。
イズム・綱領に基づいて結集を図るというような旧来型の党
組織は、もはや時代の気分にフィットしないように思えます。
では、「幅広い有機的な左翼ネットワーク体」とは何か。私の
いまだ豊富でないイメージは、次のようなものです。
いま、日本で共産党に限らず「党の影響を受けずに活動
している組織(市民・労働・NPOなど性格を問わず)」は数
万はあるでしょう。これらの組織のネットワークを形成し、そ
れぞれが掲げている個別具体的な目標を、日本の社会を変革す
るという目標に昇華できればと考えるのです。
個々の組織は原発問題、基地問題、差別問題など様々な課題
に取り組んでいます。解決すべき課題はそれぞれの組織によっ
て個別具体的ですが、抜本的に解決するには「日本の社会の枠
組み」を変えるしかないという認識は共有しているはずです。
むろん、うちの地域から米軍基地がなくなりさえすればいい
、よその地域に移転してもらえばいいというような生活保守的
色彩の強い市民組織はあるでしょうが、真面目に基地問題に取
り組んでいる組織ではあれば、抜本的な解決を望んでいます。
また、基地問題や差別問題あるいは教科書問題に取り組む各組
織が抱える課題は直接的には共通項はありませんが、課題を深
く掘り下げていけば「日本の社会の枠組み」を変えるというと
ころに収斂していきます。
お金も人材も労力も必要とするような新たな党組織をゼロか
らスタートさせるというのは現実的ではないでしょう。しかし
、民主集中生さんが構想されるように無数の組織をインターネ
ットによってネットワークを形成し、権力と対峙していくこと
は可能ですし、現実的です。
私がイメージする幅広い左翼ネットワーク体は、議会で
多数を取るといった次元の組織ではなく、社会を実質的に変え
ていくような運動体です。運動が発展すれば議会に意見を反映
させるべきという課題に直面するでしょうが、そういう段階に
なればそのときにネットワーク体で戦略を考えればいいと思い
ます。ネットワーク体から議員候補を出さずとも、社民党を全
面的に支援するという方法もあり得ます。
このネットワーク体の視野は国内だけではありません。日本
の弱者を優先するような政策の実現が可能となったとしても、
それがアジア、アフリカの弱者の搾取の上に成立するようなも
のであれば、かつての自国の帝国主義戦争には賛成するといっ
たような次元に陥ってしまいます。すでに、資本のグローバル
化によって他国(東南アジア・アフリカ・南米)の犠牲の上に
自国(日米欧)の繁栄があるという構造が現出しています。そ
うした構造を変えていくために、世界の様々な組織とネットワ
ークを形成する必要があると考えます。
ところで、ひとつだけ憂鬱なことがあります。個々の日 本共産党員も自由参加でネットワーク体に入ってもらえばいい とイメージしたとき、党員は民主集中制によって束縛されてい るという現実にぶつかります。党の方針と左翼ネットワーク体 の方向性に齟齬ができた場合、党員は党の方針に従わざるを得 ないわけだから、ネットワーク体が分裂、分断される(原爆禁 止運動を想起)可能性が出てきます。方向の違いというレベル ではなく、ネットワーク体に除名された党員がいれば、党は党 員にネットワーク体に加わるべきではないという方針が出され る可能性は大いにあります。このことを考えると憂鬱になりま すが、世界を視野に入れた幅広いネットワーク体を豊かにイメ ージすることができれば、民主集中制をいまだ廃棄できない時 代遅れの日本共産党という存在は、「古い上着よ、さようなら 」で、視野の外に置けばいいのではないかとも考えたりします 。
ところで、「さざ波通信」の04年4月号の「共産党の
改良主義的変質と今後の展望-丸楠夫さんへの質問と回答」を
読みました。さざ波通信編集部は「日本共産党の内部変革は非
現実的だ」という認識にあるようです。共産党左派の陣地を増
やしていくのがまだ現実的だ、とも。この考えを否定するつも
りはありませんが、今の社会状況、時代感覚からすれば、狭量
かつ時代遅れの考えとしか思えないのです。
今日の朝日新聞(3月23日朝刊)によれば、大阪府立高校
の場合、5人に1人の生徒が授業料の免除を受けるまでになっ
ている。貧困層が拡大しています。煽るつもりはありませんが
、事態は日々深刻化の一途を辿っています。
共産党の内部変革が無理だという認識であれば、共産党左派
の陣地を拡大するなんてケチなことを言わず、この投稿欄に「
左翼ネットワーク構想」という欄を新たに設け、どうすれば日
本の社会の枠組みを変えていくことが可能なのか、議論してい
けばいいと思います。議論倒れに終わるかもしれませんが、投
稿者は党員・非党員関係なく、これまで変革の実践活動をして
きたような人たちが多いようです。議論すれば新しい地平が開
け、運動体を形成しようということになるかもしれません。