4点セットで小泉内閣を責めるとした民主党が「偽メール」問題で自滅し、他の野党もなすすべ無く、社会保障の大幅切り下げを含む2006年度予算が無傷で成立した。そして、憲法改正に直結する国民投票法案の上程もちらつく。しかし、小泉内閣の支持率は依然として高く野党の支持率は低迷したままである。
このような状況において、どのようにすれば平和憲法を活かす政治を実現できるであろうか?またそれは、護憲を唱える諸政党が団結すればただちに無理なく達成できるのであろうか?
本サイトでは、平和憲法を護り活かす立場から多々論議が寄せられている。共産党が、部落解放同盟と深い関係にあるとされる新社会党との話し合い窓口づくりを断ったことを問題視したり、社民党と共産党の共闘を期待したりである。そして、共産党のセクト的対応を批判する論調が目立つ。その中で、興味深いのは、新社会党は泡沫政党だから共産党は共闘を断った、という議論である。
さて、泡沫政党は新社会党だけであろうか?共産党、社民党は国会でどれほどの議席があるのか?多くの世論調査で、この3党を合わせてどれほどの支持率があるか?つまり、これらは、いずれも国民からみれば泡沫政党かもしれない。共産党は、地方議会でこそ議席占有率を上げていっているが、議席数や得票数では必ずしも伸びているわけではない。また、地方議会選挙で共産党は、平和憲法を活かすことを主に訴えているわけでなく、社会保障など住民の身近な要求の実現(つまり、既存の秩序を前提とした改良)を掲げて当選しているのが実情ではないだろうか。
今は、政党の組み合わせで平和憲法を活かす社会が作れるとする考えを乗り越える時期と考える。そのため、統一した運動体づくりより、あっちも、こっちも、勝手に平和憲法を活かそう、という声があがるような状況づくり、そして、ニュアンスの差はあれ、暴力に訴えたりや謀略目的でない限り、相互に邪魔しあわないことこそが重要と考える。
本サイトでも、この課題は論議された。主に参考にすべき論考として、「護憲論の教条化を生み出す土壌-千坂さんへ-」(現状分析と対抗戦略 05.12.5)を挙げる。その他、左翼ネットワーク構想などもその好例であろう。
新聞報道によれば、3.22の共産党と社民党の党首の懇談では、運動の統一を主張した志位氏に対し福島氏は一致点を理解しつつそれぞれが頑張ること、市民の運動を邪魔しないこと、民主党などの護憲の人々とも話し合う一環として志位氏とも話し合ったという。そして、志位氏も「まず第一歩」として受け入れ、話し合いは公式のものとしなかった(つまり、護憲を主張する党首同士が一緒に食事をし、話し合っただけ)という。政党が力を合わせられればそれにこしたことはないが、現在の泡沫諸党の動向に一喜一憂するより、生活の現場から憲法の活用をすすめてゆくこと、これがカギなのではないだろうか。それらがじわじわ広がるとき、米軍基地移転や拡張問題などでの地域からの運動が政党(与野党とも)を変えて行くのかもしれない。