これから、暗黒勢力の中心登場人物のプロファイルを見て行きたい。
まずは、なんと言っても浅田満(元ハンナン会長)を取り上げねばならない。
【浅田 満】
浅田元ハンナン会長は大阪府食肉事業協同組合連合会(府肉連)の副会長や大阪府同和食肉事業協同組合連合会の代表理事も務め、『食肉の帝王』、『食肉のドン』と呼ばれている。そして、『政・官・暴』に強固な人脈を持つ。山口組の大組織が使用している駐車場が同会長の所有であったり、周辺には暴力団の影がつきまとっている。
一方で、日本共産党や民主団体への暴力行為で逮捕されたこともある羽曳野市の元解同幹部でもある。
要するに、「暴力団」、「解同」、「企業家」の三つの顔を持ち、TPOで使い分けて来たのが浅田満である。
『日本の食肉流通は、この人がクビを縦にふらなければ動かない』(元農水官僚)と言われるほどの頭抜けた実力を有する。
浅田元会長の政界人脈について見てみよう。
1973年の石油ショックの際、農水省の外郭団体、畜産振興事業団(現農畜産業振興機構)が予測を誤り過剰輸入した牛肉をハンナン側が引き取った。これをきっかけに浅田元会長は、農水族の大物議員である故中川一郎氏と親交を結ぶ。
そしてその人脈は、中川氏の秘書だった鈴木宗男衆議院議員へと引き継がれる。
鈴木宗男が使用していた高級乗用車も、ハンナングループの企業名義だった。
浅田元会長の政界との太い人脈はまだある。元自民党幹事長の野中広務氏や古賀誠氏など、同和問題に理解がある政治家とも深く繋がっていた。
浅田元会長の政界人脈は、地方政界にも及ぶ。2000年7月には太田房江大阪府知事が府幹部や、府議らとともに羽曳野市にある浅田のプール付きの豪邸で会食した事実が府議会でも明らかになっている。
浅田元会長の地元である羽曳野市では、さらに凄まじい。
福谷羽曳野市長(当時)は、担当課が作成した原案が気に入らないと、『こんな業者はあかん!』と大声を出す。『大声』は、『ハンナングループ』の土木建設会社『昭栄興業』が中心となって結成した業界団体の加盟業者をもっと加えろ、という意味であった。3000万円以上の高額工事については、福谷市長自らがチェックした。
『浅田案件』。建設工事、下水道工事、警備業務、ごみ処理業務・・・。ハンナン系業者が参入を狙う公共事業を、業界や市役所内部ではこう呼んでいた。
まさに、『政・官・業』の癒着で手にしたカネで、さらに『政・官・業』の癒着を深める、という構図なのである。
こうした浅田の実態、豚肉差額関税に絡む利権、同和利権は、羽曳野市、畜肉業界では公然の「秘密」であったが、「暴力団」、 「解同」、「大富豪」、と言う三つの顔を持ち、野中、鈴木、古賀などの有力政治家を操り、官僚を意のままに動かして来たこの人物は、将に、現代日本の「パンドラの箱」だったのである。