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蠢動する暗黒勢力ー21世紀の現代史をなぞる (その2)

2006/03/05 杜魯月 20代 学習塾講師

 FTA(自由貿易協定)は、断末魔の現代資本主義・帝国主義の最後の生き残り戦略の重要な環となっている。日本の小「帝国主義者」は、ご主人様たる米帝国主義のご機嫌を損ねることを恐れ、帝国主義各国とのFTA競争への参入をしり込みしていた。しかし、わが小泉は、アフガン、イラクを通じ、米帝の忠実な番犬であることを懸命にブッシュ様に阿り、待望のFTA競争への参入を許されたのである。その先鞭を切ったのがメキシコとのFTA締結である(2004年6月)。

 しかし、このメキシコとのFTA締結も順風満帆に全てが進んだ分けでは無い。寧ろ、一旦は、決裂寸手にまでこじれた曰くつきの交渉であった。2003年10月フォックス大統領が来日し、FTA合意に向けて小泉とトップ会談。大方の予想を裏切り、トップ交渉は決裂し、日墨FTA交渉は暗礁に乗り上げた。

 将に、このトップ会談決裂の翌日から、政界、関係業界、その筋に、「終に、小泉が浅田を始末することを決断したらしい」と言うかなり確度の高い情報が駆け巡った。浅田とは、あのハンナン元会長の浅田満のことである。実は、トップ会談の中で、フォックス大統領は、わが国の豚肉差額関税制度に絡む同和利権、利権に群がる政治家、その中核に暗闇の大王として君臨する浅田のことを指摘し、日本の対応を強く批判したのである。メキシコとのFTA交渉では、豚肉差額関税制度を聖域としてわが農水官僚が譲らず、開放を強く求めるメキシコとの最大の争点になっていた。ただ、農水官僚の計算外だったことは、フォックス大統領が、小泉とのトップ会談でタブーに一気に切込み、「浅田」の始末を迫ったことだ。

 この事実は、もちろん新聞にも、TVでも報道されなかった。浅田のこと、豚肉利権のことを語ること自体がタブーである。
 利権に群がる政治家とは、鈴木宗男、野中広務、などである。
 鈴木宗男は、故中川農林大臣から浅田利権を引き継いだと言われており、鈴木宗男が乗っていた車が浅田の提供による物であった事実などもその後明らかになっている。野中広務は、部落出身者(自ら公言)であり、解同幹部である浅田とは強い繋がりがある。この3人とフジチク藤村が暗黒のカルテットを形成していた。

 2001年6月の第一回会談で、フォックス大統領は、豚肉差額関税に絡む同和利権を指摘し、この問題の清算がFTA締結の条件であることを主張。小泉も「善処」を約束した。小泉は、日本「帝国主義」の生き残りと将来の為に、反動内部の癌を取り除く決意をした。
 末尾の年表を見て貰いたい。フォックス大統領が再来日する2003年10月を前にして、鈴木宗男逮捕、野中広務引退とバタバタと浅田の両腕になる政治家が表舞台から消されて行く。

 小泉は、鈴木と野中を生贄で差し出すことによってフォックス大統領の理解を得ようとしたのである。しかし、予想以上にフォックスの態度は頑なで、鈴木、野中の首で事をを終わらせることに納得しない。「同和利権の清算はどうした?」と迫られ、FTA締結が危うくなった為、浅田ハンナン、藤村フジチクにメスを入れる決断をした。

 もう一度年表を見て貰いたい。フォックスの2003年10月来日の後、2004年2月浅田逮捕で、小泉はフォックスへの公約を実現し、同年6月に、メキシコとのFTA合意に目出度く漕ぎ着けるのである。

 浅田逮捕に至るまで、国家権力を総動員し、関係商社、卸、ハムソーメーカーをがさ入れし、周辺捜査を大規模に広範囲に行った。
 その後の伊藤ハムや南日本ハムの摘発は、この過程で見つかったおまけの様なもので、彼ら小者は飛んだとばっちりだったことだろう。

(年表)
2001年6月 フォックス大統領(メキシコ)来日。小泉首相と日墨会談。
2002年4月 雪印食品鶏肉偽装事件
2002年9月 日ハム牛肉偽装事件
2003年6月 鈴木宗男逮捕
2003年9月 野中広務政界引退
2003年10月 フォックス大統領来日。FTA交渉決裂。
2004年2月 山中貞則衆議院議員死去
2004年4月 浅田満(ハンナン元会長)逮捕
2004年5月 南日本ハム事件摘発
2004年6月 日墨FTA大筋合意
2004年9月 日墨FTA締結
2005年5月 藤村芳治(フジチク元社長)逮捕
2005年6月 伊藤ハム豚肉不正輸入事件

(関連情報)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/kikaku/018/
http://www.n-jcp.jp/feature/meat_doubt.html
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-11-09/14_01.html
http://home.att.ne.jp/sea/tkn/Issues/FushojiResponses-Funikuren.htm
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-04-21/02_01.html