家電メーカーの勝ち組ナンバーワンで、薄型テレビ市場
で圧倒的なシェアを誇り、いわゆるV字型復活を遂げた松下電
器が、昨年9月に兵庫県の尼崎に大きなプラズマ工場を建設し
た。
阪神工業地帯の中心に位置し、かつての誇りある「栄光の工
業都市尼崎」から「赤字再建都市」状況に転落している尼崎に
とって、この松下電器大型工場の進出は久しぶりの朗報であり
、行政も市民も「雇用も税収も」と大いなる期待を寄せていた
。
ところが稼動した第3工場の従業員800人の内のなんと4
50人が派遣採用、その他350人は他からの転入だったので
ある。
既成工場の不況不振と人口減、高齢化に悩んでいた尼崎にと
ってはその期待を裏切られたこととなる。
結局、松下電器は県の支出する一人当たり60万円から12
0万円の雇用補助金をしっかり確保した上で、「正規雇用ゼロ
」と言う資本の論理を貫徹したことになる。
このところ他の地区でもメーカーの工場誘致、進出が大々的に
打ち出され、行政から巨額の各種補助金を貰い受けながら、実
質的には地元の雇用改善には何の役にも立たないケースが多発
している。
街角の求人情報誌にデカデカと載せられている「大手企業の
採用」情報の大半は、時給850円や1000円の派遣か請負
が多いのである。
3月末で退任する経団連の奥田会長と、小泉・竹中構造改革
路線の労働者潰し、低賃金化策動をいかに阻止していくか、今
年の春闘でも問われている。
もの言わぬ労働組合、ストライキすら出来なくなった労働組
合の存在価値とは何なのか聞いてみたくなった。