イラク戦争開始3年を控えた3月18日、フランス全土
で若い労働者と学生が政府の新たな雇用促進制度に対し、怒り
のデモに決起した。
主催者発表で150万人、警察他確認で50万人の決起であ
る。
企業の雇用促進の為に、「26歳以下の労働者は雇用から2
年間理由なしで解雇出来る」というトンでもない制度導入に対
する怒りのデモである。
休み明けには有力労働組合も、制度反対のためのストライキ
を計画していると言う。
昨年荒れ狂った移民青年の暴動といい、これまで日本には余
り情報が入らなかったフランスが実は大激動していたのだ。
そしてドーバー海峡を隔てたイギリスでは、1万人に及ぶイ
ラク派兵軍の即時撤退を求めて大規模なデモが行われたという
。
イギリス軍のイラクでの戦死者も100人を越え、厭戦気分
も加わったブレア政権の優柔不断さへの抗議でもあったろう。
しかしだ、これに対して日本では18日のワールドピースナ
ウの日比谷集会が2000人、分裂集会となったといえ、かつ
てのイラク反戦集会の一桁下の動員である。私の地区の自治労
主催集会(全労連も参加)もかつての半分以下にとどまった。
イラクの現地情勢が内戦の危機を迎え、緊迫度を増している
のに、この日本では既に「イラク戦争?なにそれ」的な状況が
到来しているのだ。
そして久しぶりの「好景気???春闘」も蓋を開けて見れば企
業からのおこぼれ的なたった500円や1000円アップだけ
、少しでも増税があれば忽ち吹っ飛ぶ代物である。
しかもマスメディアが華々しく伝える「パートの賃上げ」も
、時間給で僅か5円や10円である、こんな事で格差が縮まる
訳がない。
連合も全労連もだらしない、舐められたままで何にも出来て
いないということだ。
この国でも労働法制の改悪が図られている、これまでの「賃
上げはいいから雇用だけでも」の願いが見事に裏切られたよう
に、期待の大きかった今年も既に腰砕け状況だ、資本や政府に
いいようにあしらわれたままである。
この国の「6000万労働者」は一体どこに行ってしまった
のだろう。
そして「闘う学生」はどこに霧散してしまったのだろう。
労働者にとって「ストライキと団結」こそ力なのに組合は何
もしない、このところ「怒れる学生」の姿もとんと見ない。
ある「日の丸・君が代強制反対」の不起立被処分労働者が言
っていた。
「私たちは非正規雇用の若者達より余計に貰っている、処分
されて少しくらい賃金カットされたり、少し昇給が遅れるくら
い、なんともないと思えなければ労働者の誇りは保てない」「
自分の保身の為に、子ども達を戦場に送ってしまうような教育
を許していいのか」と鋭く問いかけてくれた。
なぜ私たちはこれまでに闘えないのか、韓国や、フランス、
イギリスの労働者や若者の怒りを共有出来ないのか。
改憲や教育基本法、共謀罪、国民投票法、フランス以上に揃
いも揃った悪法が目白押しなのに、怒りもせず、何にも反応し
ない労働者や学生、私たちは人間を止めて子羊になってしまっ
たのだろうか?