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一般投稿欄

大衆運動の指導者養成は急務

2006/05/02 老学生 60代以上

 4月25、26日の赤旗によると共産党本部で「職場問題学習 ・交流講座」が開かれた。志位委員長の報告は、綿密な聞き取 り調査に基づいているだけに、具体的でよかったという出席者 の感想も伝えられている。
 共産党指導部が長い間ほったらかしにしてきた課題に手を付 けたのだと思う。遅すぎるくらいだが、取り上げたことを歓迎 し、率先して行った志位委員長に敬意を表したい。
 革命は大衆が行うものだが、正しく指導されなければ成功す るものではない。指導者にはそれなりの経験と訓練が積まれて いて当たり前だ。委員長がみずからこういう講座を主催するの は、よほど指導者が足りなくなったことを痛感したからだろう 。職場に何が起きているかも知らないようでは話にならない。 大衆運動の指導者づくりをさぼってきた不破氏に対して、志位 氏がようやく手を付けたのだろうか。学者肌の不破氏には、大 衆運動は共産党の仕事ではないと思いこんでいるフシがある。
 フランスの労働者と学生が一丸となって行動した結果、権力 は屈服して試用期間中に解雇の自由を与える提案を取り下げた 。アメリカではヒスパニックの大デモンストレーションが敢行 されているが、彼らのほとんどは労働者である。海外ではこの ところ労働者を軸とした大衆運動の大きな高揚が見られる。そ の熱気が伝われば我が国の労働者や、青年たちを大いに励ます はずなのに、「赤旗」の取り上げ方は「日本とは事情がちがう 」といったクールなものだった。フランスで労働者と学生の大 勝利が既成事実になってから特集記事を組んだが、それまでは 商業新聞のほうが熱心なくらいだった。
 「赤旗」のデスクや論説委員は、運動の高揚というものを知 らないのではないか。3百万人の巨大なデモがどのように準備 され、呼びかけの波が寄せ合うようにエネルギーが増幅し合っ たのか、わかっていないのだ。情熱がなくてはこういう結果は ない。こういう情熱が労働者と青年たちの階級的団結と行動を 生んでいることが理解できないでいるのだ。
 日本では安保以来これだけのスケールの運動は起きていない 。しかし、それは現象形態の問題だ。小規模でも目立たなくて も、運動には必ず情熱の高まりがあり、それが次なる闘いに燃 え広がる火だねとなって残り、いつかは燎原の火となる。この エネルギーこそがブルジョア権力に対抗できる真の力であり、 ブルジョア議会では少数勢力でしかないプロレタリア政党の発 言を強めることにもなる。
 このところ共産党指導部は、大衆運動を自分の貧弱な議会活 動に役立つ範囲に縮めて取り上げることしかできないでいる。 議会活動を超えた運動の広がりに対しては共産党の「扇動責任 」を追求されたくないと思いこんでいるみたいだ。おっかなび っくりなのである。こんな指導部を大衆が頼りにするはずがな い。大衆は自分たちの力を感じさせてくれる指導者と歩みたい のだ。
 大衆運動嫌いの本能は、不破氏の論調の根底にある。大衆が 自らの力に目覚めて、幾多の経験を重ねてやがて革命を行える ようになるためには、指導者の側も大衆の行動を呼び起こす適 切な戦術的提起、扇動が行えるようにならなければならない。 戦術と扇動は、戦略的展望と宣伝を実現する上で、不可欠な段 取りである。不破氏は高いところから愚昧な大衆に一般論を教 えてやるばかりで、大衆が生み出す「偉大な創意」に依拠した 戦術、革命戦略を実現するための戦術の提起ができないでいる 。もちろん彼も老練な政治家だから「戦術」には長けているが 、ブルジョア政党の政治家並みの戦術で、革命戦略につながる 戦術ではない。戦略と戦術が分裂している。原因は、大衆の力 への不信ではないか。
 大衆運動の発展のためには、宣伝と扇動、戦略と戦術を統一 して行う訓練が必要である。おっかなびっくりでも、遅すぎて も、やらないよりはましだ。これから一貫してやろうというな ら、志位委員長といっしょに、みんなで力を合わせて前進する べきだ。大衆運動を指導できる幹部が多く育てば、日本でも外 国並みの大きな運動になる。我が国の支配者は外国の支配者よ りも小心で、大衆運動の発展を極端に恐れているから、特に労 働者が立ち上がることのないように運動を芽のうちに摘みとろ うとしている。だから、我が国の場合、大衆運動の指導者は、 自然発生的には育ちにくい。共産党員が労働者に対して、範を 示してみせるほかはない。労働者の力が弱ければすべての運動 が分散的になり力を欠いてしまう。日本の大衆運動特に労働運 動が低迷を続けたのには、共産党指導部にも重大な責任がある といえる。
 今の共産党指導部が根本的弱点である大衆運動の指導に真っ 向から取り組もうとするなら、そのことを高く評価して応援を 惜しまないようにしよう。共産党の弱点を攻めるだけではいけ ない。共産党の圧倒的な強みは、他の政党とは比べものになら ない、いいところが党員大衆の中に豊かに残っていることだ。 党員と行動を共にしながら、日本革命を実現するために彼らと 批判し合い相互に高め合うようにしたい。