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一般投稿欄

セクハラについての理解と筆坂氏への処分の誤り

2006/05/21 AK生 60代以上 無職

 筆坂氏のセクハラ問題について、わたくしはすでにこの 欄に二度投稿したことがある(2003/7/8 「筆坂氏が被害者の 可能性も」、2003/7/13「筆坂氏の処遇をめぐってー再論」) 。筆坂氏の弁明を聞くことができた今、やはり氏への処遇につ いてだまっていることができないので一言述べさせていただく 。

 まず、筆坂本からそのくだりを引用しておこう。

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 問題の日はさかのぽって五月二六日だった。私は、私の秘書 、後に私を訴えることになる女性の三人で焼肉店で飲食したあ とカラオケボックスに行った。そこで三人で歌い、その女性の 同意も得て何度かダンスを踊り、デュエットにも興じるなど、 それぞれに楽しい時間を過ごした、つもりであった。ところが その後、その女性から、"ダンスを踊 った際、身体を強く抱き しめられた。デュエットの際、肩に回した手が腰に下りてきた 。党の大幹部にこういうことをされ大変ショックを受けた"、 という趣旨の訴えが党になされた。セクハラだというわけであ る。六月五日に志位和夫委員長、市田忠義書記局長、浜野忠夫 副委員長の三人から調査を受け、事態を初めて知った。

 私は、三人に対し、チークダンスを踊ったこと、デュエット で腰に手を回して歌ったことは事実だと認めた。これ以上でも 、これ以下でもないからだ。同席した秘書も、その女性が、私 が「帰ろう」と声をかけるまで、大いに楽しんでいたと証言し ている。それがなぜセクハラという訴えになったのか、今もっ て不可解というしかない。 (筆坂秀世『日本共産党』新潮社 p18ー19から引用)   ~~~

 さて、この氏の弁明にいちじるしい虚偽がないとしたばあい (相手の女性の言い分を聞いたわけではないが、ありそうもな いことは言えるのではないか)、この件でもって共産党の指導 部がおこなった筆坂氏への処分は完全に誤っているとおもわれ る。筆坂氏は冤罪を主張しなくてはならないでしょう。これは 筆坂氏のためだけではなく広く人権についての正しい観念が確 立されるために必要なことだとおもわれる。

 セクハラについて近年とみに一般に関心と理解がふかまり、 それなりに弱者としての女性の人権の向上に資したことはたい へんよろこばしいことであるのは間違いないでしょう。それに しても、事件化されるたびにセクハラというコトバだけが一人 歩きしている感がないわけでもなく、ある種の危うさを感じな いわけでもありません。

 こういうと筆坂氏のばあいはセクハラとはいえないと主張し ているととられるといけないのでセクハラとはどういうことな のかわたしなりの考えをべさせていただく。

 まず、男女間で相手が不快感をもったならそれはセクハラで あるとしてもよいが、それはだいたいは「わたくし事」として 個人的に処理されてしかるべきことで、いわばその人の品性や モラルにぞくすることであります。日常生活で立ち居振る舞い の礼儀やモラルのことをいえばきりがなく、巷には目をそむけ たくなるようなことがあふれていることはみんな知っているい ることであります。筆坂氏がおこなったことなぞカラオケボッ クスやクラブなどに行けば日常茶飯であり、いいか悪いかは別 として普通なら免職というような重い処罰を下されることでは ないでしょう。まして、チークダンスを踊ったり、デュエット で腰に手を回して歌うのを禁止する法律なぞどこにもないので す。軍国主義が荒れ狂った戦時下の日本やナチスのファシズム 社会ではどうか知りませんが。

 共産党の幹部だからその人の品性やモラルのことでも普通よ り厳しくするというのはもちろんわかりますが、それは思想的 にという意味であって、広い意味の法的処置にまで及ぶべきこ とではないとおもわれる。人権にかかわることではどこの社会 でもまた誰にたいしてでも一様な共通の物差しがなくてはそも そも人権の観念は成り立たないでしょう。

 そういうとセクハラといっても二種類あり、犯罪性があるも のと品性やモラルにぞくするものとは峻別されなくてはならな いということになり、その境界ははっきりさせなくてはならな いでしょう。前者ならしてはいけないことですから、なんらか の法的処罰(ここでは責任ある役職の罷免もふくむ)をうける ことは当然ですが、後者なら処罰(本人の身分にかかわること )の対象としてはいけないことであり、もしそうすると人権侵 害となるでありましょう。

 筆坂氏のばあいは相手に不愉快なおもいをさせたと知った時 点で相手の女性に謝罪をすればすむことであり、それですませ なくてはならないでしょう。不快なおもいをするかどうかはそ の人自身の内面の問題にかかわることであって個人的なことで しょう。もちろん、最高幹部のこうした立ち居振る舞いが今後 くり返されるなら本人に悪評がたつかもしれないからと注意を うながすことは必要なことでありましょう。また、相 手の女性がこんな人の秘書をやりたくないと党に訴えるのも自 由であります。

 ここで健全な人権の観念の確立をめざすという立場から、筆 坂氏にたいする不当な処分は撤回されなくてはならないことを 述べたが、氏が最高幹部としてふさわしい共産党の路線にたい する識見と品性をそなえた人物であったかどうかはまったく別 問題であります。より深刻な問題は、筆坂氏の処分は誤ってい るとまでいわなくても役職を罷免までしなくてもよかったので はないかと考えている幹部がいるでしょうが、そういった声が 聞こえない共産党の体質の方にこそあるかもしれません。