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国民年金保険料の不正免除問題は民営化の必然である。

2006/05/26 寄らば大樹の陰 60代以上 苦闘するフリーター

 社会保険庁長官の村瀬清司氏は、損害保険の大手で保険 料の違法立替や保険料不払いで販売停止処分を受けている「損 保ジャパン」の副社長から転進した人物である。
 今、全国的に明らかになっている国民年金保険料の不正免除 や猶予処置は、彼が損保ジャパン時代に会得した「ノルマ」の 強制的達成指示の結果と言っていい。保険料の納付率低下をカ バーするために編み出された「分母を減らして2%納付率アッ プを必達せよ」との、民間企業がやりそうな手法に職員が従っ た結果である。
 しかし、考えてみればこの方法では表面的な納付率は若干良 くなるかも知れないが、徴収額が増える訳ではないのだから、 今破産に瀕している国民年金制度が改善されることには全くつ ながらないのだ。
 野党はこの処置が不正だと言って厳しく攻め立てている。だ がそれは一寸違うのではないか。
 国民年金保険制度の破産的状況は、まさに小泉が行ってきた 「小泉構造改革路線」によって拡大してきた「格差社会の現実 」の反映以外の何ものでもない。
 国民年金を払おうにも払えないから、不払いが増加し、納付 率が低下してきたのである。
 ある新聞はこの事象を「社会保険庁の古い体質」と言ってい るが、それは全く正確ではない。
 民間から転入して来た長官が指示した「民間的な新しい手法 」、小泉や竹中ががなりたてる「官から民へ」施策の実態その ものではないのか。
 野党が追及すべきはこれを不正と指摘するのではなく、まさ に所得格差、所得低下によって生活が維持できなくなった「低 所得層の救済」をどうするかであり、申請方法の簡便化の提案 なのではないだろうか。

 4月から実施された「障害者自立支援法」にもこれとよく似た ことが起こっている。
 支援申請の際、障害によって申請書を書くことに支障がある 障害者に対し、「自書自筆」で106項目に回答することを義 務付けている。それも毎月である。
 小泉構造改革とはまさしく「弱者切捨て」であり、「格差拡 大容認」、「社会に役立たないものは死ね」というナチス思想 そのものである。
 このことを撃たなければ私たちの「老後」はもうないのだ。
 「官から民へ」ごり押しを許すな。すでに国際的には「小さ な政府」であるこの国の社会制度を解体させてはならない。