こんばんは。社会市民連合代表幹事の音です。(今後、このハンドルネームで固定しますのでよろしくお願いします。)
私たちは江田三郎先生の遺志を再び継ぐべく、新しい日本型社会主義を目指して、江田先生の命日の今年5月22日に立ち上がりました。政党ではなく、あくまで、市民の連合体です。従って、政党員の加入も認められます。
2年前のその日に、共産党を離党したメンバーを軸に活動を進める予定です。江田先生を使いこなせなかった社会党と今の共産党は瓜二つです。
我々、社市連は、当面、日本国憲法をベースとしながらも「スウェーデンの福祉・男女共同参画」「デンマークの環境優先・省エネ型経済」「アメリカの高成長・低失業」「ニュージーランドの平和外交・軍縮」を当面の目標としながら、常に改良を勝ち取っていくことを社会主義の営みとして定義してまい進する所存です。日本の政党状況に当てはめれば「国民新党の経済・財政政策」「共産党の安保廃棄論」「社民党の脱原発」「ラジカル派の男女共同参画」「民主党の大衆的な広がり」をアウフヘーベンしたものを目指しています。
そして、政党の引き回しではない市民運動の活性化、労働運動・市民運動の連携、在野の人材結集、市民による政策ビジョンの提起など、江田先生が遣り残された事を進めます。ラジカルかつ現実的なビジョンの提示と対話により、草の根で、当面改憲と増税に反対する人をとにかく増やすことを目標としつつ、しかし、大胆な野党共闘も訴えていく。この車の両輪で活動を進めたいと存じます。
最初の活動として、「抵抗政党」に堕しがちな、社会主義政党の日本共産党に諫言させていただくこととしました。同党は、「平和への結集・市民の風」に対して、赤旗上で突然、攻撃を開始、さらにこれに加わっていた党員を広島県で除籍するという暴挙に出ました。このことについて、このようなことをしていては同党のためにはならないし、護憲勢力全体のためにはならない、こう憂えた次第です。
2006年6月1日
日本共産党 幹部会委員長 志位 和夫 様
社会市民連合 代表幹事 音 重子
貴党の問題点を指摘し、改善へ向け諫言します
日頃の、平和と暮らしを守るためのご奮闘に心から敬意を表します。
私たちは、「誰もが安心して暮らせる平和な日本と世界」をめざし、「新しい日本型社会主義」を実践することを旨とした市民の連合体です。
野党が「闇雲な自民党政治批判」や「クリーンイメージ」にセールスポイントが傾き、対案が乏しかったことから、自民党政治を右から批判した小泉的新自由主義の蔓延を招いたことへの深刻な反省を出発点としています。
市民による政策立案と党利党略を除いた市民運動・労働運動の活性化、そして、小泉政府による分断統治の打破のため、労働者・市民・(小泉政府の経済政策を良しとしない)良心的経営者など庶民各層、そして男女、正規労働者・非正規労働者など立場を超えた社会的連帯を進めます。
曲りなりの平和主義、小さい格差、雇用の安定など、旧来自民党政治の良い点は残しつつ、しかし、時代に合わせて人権、環境、住民自治、男女共同参画などをベースとした「新しい日本型社会主主義」を、改良を勝ち取り続けることで、日常的に実践することを目指しています。
そのために、「原則論に立った現実的政策立案」と草の根での対話を重視すると共に、しかし、思い切った軸に基づいた妥協も、各政党に求めていくというスタンスをとっています。各野党が、かつて、セクト主義の割に、軸を次々投げ捨て、信望を失ったことへの痛切な反省の上でです。
さて、私たちも、貴党の主張に共感する部分も多くあります。憲法改悪反対、増税反対などはもちろん、わたしたちも同感です。しかし、一方で「今のままでは衰退する一方だ」と懸念せざるを得ない部分も多くあります。政策面でも政治姿勢面でも体質面でもです。貴党は選挙のたびに惨敗続きですが、幹部の方々がTVカメラに向って「財界が、マスコミが」と言われるのを見て、厳しく申し上げて「悲憤慷慨」「言い訳」に過ぎないと断じざるを得ません。
今回は、僭越ながら、貴党の問題点について、指摘させていただきたいと思います。
1、政治姿勢面
貴党は頑なに、国政選挙での共闘に後ろ向きでおられます。貴党は、その理由として「国政レベルで統一戦線を組める政党がいない」ことを理由にされています。
しかし、実際は、2004年の参院選でも、広島選挙区などでは、社民党は共産党との協力は拒んでいませんし、当然、護憲共同候補を目指したグループは貴党にも協力を呼びかけました。
貴党は、「部落解放同盟」と、新社会党が関係が深いことを理由に、共闘を断ったケースもあります。また、「社民党が連合や自治労の圧力で共産との共闘に後ろ向きだ」と嘆いておられます。しかし、そのようなことを持ち出すのは貴党にとって自爆行為です。
たしかに、部落解放運動で、同和地区出身者中心の運動になり、広がりがでなかったなどの理論的問題もありました。一部には行き過ぎと受け取られかねない実態もあったでしょう。しかし、それをもって、広島の人権教育や平和教育に対して、自民党県議団と一体となって潰しに掛かった貴党広島県委員会もまた行きすぎです。どういう平和教育、人権教育が望ましいかのビジョンを示さないままの批判は、結局政治的果実を自民党に取らせることに結果しました。
また、貴党は、1964年の公労協のストを妨害し、挫折に追い込みました。
同年には、原水爆禁止広島県協議会を分裂させ、さらに原爆被害者団体協議会も広島では分裂させました。1980年代末には、教職員組合を分裂させ、組合の弱体化を招き、また職場の3分断(広教組、全教、非組合員)により、良心的管理職にすら迷惑をかけています。
これらは、全て、労働者・良心的市民に対する裏切り行為です。日本社会党の行った裏切り行為も大問題ですが、しかし、片方で解放同盟を非難しつつ、貴党自身の反省がなければ、不公平であり、連合系労組の組合員らの信頼も得られず、社民党との共闘も難しいのもむべなるかなです。
貴党は、「選挙協力より草の根の改憲阻止の世論盛り上げを」と主張しておられます。
一見もっともに見えます。しかし、私たちのメンバーの一人は、「党利党略が出ない形で、改憲と増税に反対する人を増やす努力をすべき」との主張に対して、貴党の幹部が、「憲法を守ることがわが党の目的ではない。党員と赤旗を増やすことが目的だ」と答えたことを現認しています。
また、貴党幹部から「俺たちは弱いものの視点でやっている。お前らは偉い人の視点だ」という批判を受けたメンバーもいます。これは、そのメンバーが小選挙区は民主党候補を応援したことを指したものです。しかし、そのメンバーは、イラクの戦争被害者の惨状に涙した末、「イラク派兵を止めるにはこれしかない」と思いつめた末でした。大衆運動に熱心なことと、政治的妥協ができることは両立するのです。護憲派が、「政権交代の妨害物」と思われてはいけないのです。
また、貴党が主導権を取っている労働組合の中には、分会での活動は停滞しているようなところも少なくありません。
民主的ではなく、幹部の恣意的運営になっており、連合系労組を決して非難できる状況にないことを自覚すべきです。弱者を出汁にして党利党略を図っているだけと見られても仕方がありません。もい分会で活動を作らせたら、貴党の覇権が脅かされると恐れておられるのかもしれません。しかし、覇権を失っても、組合が盛んになればそれでよいではありませんか。自治労枚方市職労は、とにかく非組合員を作らないことを目標とし、どちらでも良いから入れと進めているということです。見習っていただきたいものです。
「小泉を打倒して何になる」と言い放つ党員もおられます。全く呆れた話です。
民主党しか、政権交代の受け皿はないにせよ、しかし、小泉自民党が続投したからこそ、共謀罪も米軍再編も、教育基本法改悪もでてきたのではありませんか?民主党の現状を肯定するものではないが、しかし、小泉を打倒しなくて良いとは、暴言です。政権打倒を叫ばない野党には存在価値はないと見て見切りをつける有権者がでてもおかしくはありません。
実際、千葉7区補選では、多くの貴党支持者が、民主党候補に投票し、造反しました。あくまで、非協力に拘るなら、逆に組織に亀裂を醸し出すことになるでしょう。
また、貴党は小泉政治の矛盾が深まれば深まるほど、自党の票が増える「危機待望論」「窮乏革命論」に陥っているようにも見えます。小沢民主党への政権交代で多少事態がマシ(小沢さんは消費税を上げないといっているし、年功序列と終身雇用が良いといっている)になって、危機が緩和するのを恐れているようにさえ見える。
しかし、甘い。危機が深まって貴党への支持が増えるかといえばかならずしもそうはならない。偏狭なナショナリズムやジェンフリバッシングが強まると見るほうが現実的な感じ方でしょう。市民の声に寄り添い、原則をきっちりしつつも、ときには、民主や保守系とも手を組んで、改良を常に勝ち取る努力をしてこそ、社会主義政党といえるのではないでしょうか?そして、そのほうが、日本のような発達した資本主義国では、現実的です。どこかに御神体があるのではなく、現在改良への努力を続けることこそ社会主義の営みなのです。
2、体質面
貴党が、独善的との批判を時として浴びることには、私たちも不満を持って来ました。自民党の批判はあまりしないのに、民主党は軸がないと批判するかと思えば、共産党は一枚岩で怖い。こういう二重基準には憤りを覚えます。
しかし、それはそれとして、貴党にも是正すべき点が多くあります。
市民運動や住民運動を行う場合、あるいは、憲法九条護憲運動を行う場合、成功の鍵は、いかに多くの幅広い人を結集できるかです。分りやすい目標を示し、幅広く。これが原則です。ところが、貴党の党員が、運動を事実上全て仕切り、無党派の人を表だけ立てるというマヌーバー的な市民運動の引き回しが少なくないのは残念です。党員が運動を熱心にやるのは良い。しかし、一方で政党ではなく市民運動だといいながら、実際は「うちの党がやっている」がごとき雰囲気を醸し出す。頭隠さず尻隠さずの中途半端と苦笑せざるを得ません。
これでは、広がるものも広がりません。政党の引き回しではない市民運動、労働運動が彷彿と各地で同時多発的に発生してこそ、自民党優位の政治風土も変わることでしょう。しかし、貴党が戦後60年間行ってきた引き回しは、自民党優位の風土の改善にもマイナスですし、貴党の敵を増やす結果にもなっています。
また、貴党は、少しでも見解が違うことを党員が発表すると排除してきました。
これは今でも変わりません。最近でも、選挙協力を主張してきた党員が排除されています。良い志を持った人が、次々敵に回る結果を招いています。
選挙で「反共ビラ」が撒かれるたびに、貴党は悲憤慷慨してこられました。
反共ビラ自体は違法です。しかし、今の若い者に、戦前の悪いイメージや武装闘争のイメージは残っていません。むしろ貴党が、戦後長年にわたって行ってきた、異分子排除や運動の引き回しなどが、反共感情を涵養してきたといっても過言ではありません。
また、他党派や市民派にレッテルを貼って、糾弾する姿勢も健在です。
他者が変わっていく可能性に目を閉ざし、アプリオリに例えば市民派を「新社会党の応援団」呼ばわりすることは、まさに、イラクに「テロ支援国家」「大量破壊兵器」のレッテルを貼って、攻撃を開始したブッシュ大統領と瓜二つの謗りは免れますまい。
また、若い者をはじめ、党員手ごまとしかみなさない姿勢も一部幹部に健在です。
若者を増やせといいながら、若者の声に耳を傾けない。指導・助言と称して、自分の考えを押し付ける者も多い。そして、増やすのは良いが、一人一人を大事にしない。お陰で、組織はガタガタであり、無党派の票が少々入っても、得票率は低下傾向に歯止めが掛かりません。
これらの体質を抜本的に改めることが、急務です。民主党や国民新党などのほうがまだ寛容でマシだと言う風潮を醸し出しているのは、貴党自身の責任でもあります。
3、政策・路線面
政策面で言えば、貴党は比較的筋を通したように見受けられます。
日本社会党が、政権につくことで理念まで投げ捨てたのよりは、「だいぶマシ」と率直に申し上げたい。
日本社会党は自民批判ばかりで理念ばかりであり、ビジョンや戦略が欠けていた。
そして、冷戦後は「左」の理念が悪いものと勘違いして、理念まで投げ捨ててしまった。
本来江田三郎氏の諫言を受け入れて、左の理念を具現化するビジョンや戦略を示すべきだったのに、それをしなかった。そして、田邊・山花・村山の各委員長が右旋回を急速に強めた。それよりはマシであるといえます。
しかし、厳しいようですが、貴党もまた、旧社会党と同じ道を辿っていると申し上げざるを得ません。
社会党は、大蔵省イデオロギーに屈服し、増税を選んだ。貴党もまた大蔵省イデオロギーに譲歩されました。
大蔵省イデオロギーとは、言い換えれば財政再建至上主義です。財政均衡を異常に重視し、財政赤字=ハイパーインフレと決め付ける。これからは少子化だから経済は危ない、財政は危ないと脅し、財政支出を絞り、増税を突きつける。
一方、「大競争」だと脅して、企業からは税金を取らず、庶民から絞り取ろうとする。
景気対策が出来ないから、規制緩和で経済活性化をというデフレ時には不当な理屈を振り回す。規制強化には、企業の納得を得るためにも、円安に誘導するためにも内需拡大が不可欠だが、それはむろん、できない、させない。金融面では中小企業の多くを非効率と決め付け、銀行に貸しはがしをさせ、そのかわり、サラ金や米国投資にシフトさせる。もって、アメリカに奉仕する。こういうイデオロギーであります。
貴党は、1998年参院選までは消費税減税を主張し、それでも、大蔵省イデオロギーに対決していた。ところが、政権構想(当時の連立相手は民主党しか想定できない)を打ち出した後、消費税減税を言わなくなった。2000年総選挙では、「増税反対」だけでした。そして、むしろ公共投資のカットなどを前面に出すようになった。
しかし、そもそも、貴党への期待は、景気浮揚を財政再建に優先させる層のものでした。だから、景気優先政策を思い切って打ち出し、それによる財政再建を主張すべきでした。ところが、それをしなかったために、小泉総理が登場すると、かつて貴党の公共事業カットに溜飲を下げていた人たちは自民党支持へ寝返り、また、景気優先策の人たちも、むしろ自民党内の抵抗勢力に期待しだしてしまったのです。貴党は中途半端な姿勢で全てを失った。
それより前、既に「じゃあ、民主党でよいじゃん」という人も続出し、2000年総選挙では後退していましたが、2001年参院選はまさに惨敗でした。
そして、一旦惨敗すると、今度は諦めて民主党に寝返る人も出ます。
小泉人気が落ちても、票は民主党までは戻るが、共産党には戻りません。
そして、2005年、再び小泉人気が回復したときは、民主党の得票率は落ちたが、貴党のそれは戻らず、むしろ減ってしまいました。
減らしすぎた公共投資を一定程度増やす。もちろん、中身は、闇雲に大手企業を潤わせるのではなく、地域経済や中小企業を潤わせるもの、また、投資先も民主的なプロセスで決めるということは大前提です。
こうした、内需拡大をすることで、円高を是正する。そうでないと、貴党の言われる労働の規制強化や法人税増税も「国際競争力が低下する」との反論に太刀打ちできない。
内需拡大で、税収増大もできます。アメリカは、クリントン政権時、毎年3%以上政府支出を増やし、景気を刺激、末期にはお金持ち増税を行って財政を再建しました。日本政府には80兆円とも言われるアメリカ国債をはじめ大量の金融資産もある。これらを担保にすればそれなりに財源捻出のための国債発行も可能である。こうした現実的政策を訴えないと、政府の増税論に対抗できません。大衆迎合的な財政再建論ではだめです。
また、「少子化の克服」を綱領で掲げておられるが、欧米では大上段に振りかぶって「少子化克服」を言うのではなく「家族政策」を掲げているのが常識です。少子化=悪=克服しないといけないもの、という観念は、いわゆるバックラッシュ勢力を勢いづかせるとともに、旧大蔵省の「少子化で財政が危ない」というイデオロギーに回収されかねません。少子化でも一人当たり所得が伸びれば、経済は成長します。逆に人口増加のアフリカは貧困に苦しんでいるではありませんか?
親子ともに人間らしい生活ができる社会環境、経済環境の整備により、子供の権利条約や憲法の理念を実現することを言っていけばよいのではないか?
そして、内需拡大を訴えれば構造改革に不満の保守派に食い込み、伸びると確信しますがいかがでしょうか?今のままでは、景気回復を期待する中小企業経営者をはじめとする小泉総理への不満派は有効に投票を活かす先がありません。
また、貴党は、以前ほど、日米安保廃棄を主張されなくなりました。98年参院選後は民主党への遠慮から日米安保廃棄の棚上げさえ言及されました。
最近では、九条維持と米軍再編が中心で、安保廃棄はあまり出てこない。
しかし、アメリカの要求で構造改革が進み、耐震偽装やライブドアの問題が起きた。保守層にも不満が溜まっているのです。これを機会にむしろ基地の縮小・撤去をラジカルに訴え、経済面も含めたアメリカからの自立のビジョンを公然と訴えていくべきではないでしょうか。妙な遠慮が却って票を減らすのです。
「原則論にたった現実的な政策」立案をしてこそ、むしろ保守層からも票を得られる政党に成長することになるでしょう。
4、まとめ
貴党はスローガンとしては「護憲」「増税反対」など正しいことをいっておられるが理論的に整合性が取れていないし、姿勢や体質にも大きな問題がある。そのために、伸びない。逆に貴党のような問題の多いがゆえに少数に甘んじている政党が掲げていることで、そのスローガンである「護憲」「増税反対」の権威すら低下させていることを自覚されるべきです。人々は自らを異端分子とは認識したくないので、貴党と一緒とはみなされたくなくなり、護憲や増税反対を言いにくくなっている効果もあるのです。
しかし、勘違いしていただきたくないのは、共産アレルギーは貴党が「左」だからではなく、具体的なビジョンの欠落や、引き回し、異分子排除的な体質によるものです。理念を投げ捨てて、人々に擦り寄ろうとしてもだめです。
だからこそ、体質を改善して頑張っていただきたい。単なる抵抗政党に堕してはいけない。
貴党のご健闘をお祈りする立場から敢えて厳しいことを申し上げましたが、お気を悪くされないように。今後とも頑張りましょう。