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一般投稿欄

出生率1,25%に思う

2006/06/02 スカンジナビアン

 今日の朝刊に、出生率がついに1,25%になったと言う記事が載っていた。
 報道によれば、 ・・・年金揺らぐ信頼・・・とのサブタイトルで、
・・04年の年金改革で前提とした水準を0,06も下回ったことで、”100年安心”をうたった年金制度への信頼がまたゆらぐことになっ  た。・・としている。(政府の説明では1,31で下げ止まるという予測だった)
 さらに、続けて
・・<社会保障費の中で、家族関連は3,8%。びびたるもの。>猪口邦子少子化担当相は、少子化対策にもっと大胆に予算を振り向 けるべきだとの考えを示す。政府の小しか対策に、男性を含めた<働き方の見直し>が盛り込まれたのは02年>90年代に相次いで打ち出した保育所増設を中心とする施策で失敗を重ねた末の新機軸だった。
 次の<目玉>として浮上しているのが、低年齢児の子供を持つ家庭への児童手当増額だ。現行の<第2子まで、月5千円、第三子以降は月1万円>をそれぞれ1万円程度上乗せする案だが、これだけでも4千億円の財源が必要になる。
 即効性に欠けるとの指摘もあり、・・財務当局の姿勢は厳しい・・・
のだそうだ。
 さきに、私は科学的社会主義欄での連合氏への反論のなかで、スエーデンをはじめ、北欧諸国が、早く、70年代のころから、出生率1,3程度の少子化問題に取り組み、(70年代の日本は2,0以上を維持していた)現在は一時的ではあるが、2,0を超える年もあるなどの成果を挙げていることを紹介した。また、赤旗の報道では、仏も最新のデータでは2,0以上に回復していると言う。
 人口千人あたりの出生率では(男女間の人口比が各国で同じではないので、女性一人当たりの特殊出生率とは誤差が生じるが)以下のようになっている。(世界国勢図絵05~06年版より)


 日本     8,8        伊       9,4
 中国    12,4        スエーデン  10,7
 米国    13,9        デンマーク  12,0
 仏      13,0       ノルウエー  12,2
 独      8,9        フィンランド  10,9
 英      11,8
 また、赤旗の報道ではOECDが提言を発表し、その提言に従えば、日本の出生率も2,0以上への回復が可能だと指摘していると いう。
 しかし、政府の担当大臣が認めているように、家庭向けの社会保障費はわずか3,8%と微々たる額だそうだ。児童手当の増額にしろ、わずかな額で、それでも4千億程度の予算増となるので、・・即効性がない・・などといって財務当局は渋っているのである。
 しかし、財界向けの法人税減免措置によって、現在、大企業各社はバブル期を上回る利益を計上しているのに、法人税額は12兆円も減額しているのだ。
 さらに、会計勘定上利益とはならない、内部留保金は年間82兆円も増やしているというのだから全くあきれりばかりである。
 これにたいして、正当に課税すれば40兆円くらいの新たな財源が生まれる筈だ。合計50兆円以上なのである。
 よしんば、内部留保金の一部10兆円くらいは正当なものと認めたとしても、合計47兆円くらいの増税が可能である。
 これだけの財源があれば、そのうち、17兆くらいを赤字国債の支払いにまわしても、(報道によれば財源不足額は年16兆円だそうだ)なお、30兆ほどのあらたな社会保障財源が生まれるのである。これだけあれば、家庭向けの社会保障費の増額などは、いとも簡単にできるだろう。児童一人当たり、1万円増で、4千億の予算増なら、3万位を増額しても、1兆2千億くらいのyさん増で済むわけだ。 その場合は第2子までは、3万5千円、第3子供以降は4万円となる。
 将来、子供が3人の家庭が普通となった場合は、計11万円の児童手当を国から受け取ることになる。
 それに加えて、公的な保育施策を充実させて、待機児童を原則”0”とすること、乳幼児医療の無料化を18歳まで拡大すること、、、 などは簡単にできるだろう。
 しかし、それでも、47兆円の増税(これは全くのブルジョア増税だ)をしたとしても、対GDP比で、9,4%くらいの増にすぎず、98年度 時点での、租税社会保障費負担率28,4%に加えたなら、37,8%にすぎない。やっと、西欧並みになるだけなのだ。
  98年度租税社会保障費負担率国際比較(OECD)
  1位、スエーデン52,0%
  5位、仏     45,2%
  15位英     37,2%
  16位独     37,0%
  25位米     28,9%
  27位日本   28,4%、、、、~37,8%(14位くらいになる)
     by Revenue Statistics 95~99
 スエーデンの場合は今の日本より、23,6%増、つまり、日本の国勢に換算すれば118兆円もの財源を別途持っているということなのである。他の、北欧諸国もおよそ40%代半ばである。(95年はスエーデンは47.6%だったが、1位ではなかった。1位はデンマークだった。)
 95年の同統計は、以下のようになっている。
        A 対GDP租税社会保障費負担率
               B 対GDP社会保障給付費
                         C,国民還元率
                 A        B  C
 1位   デンマーク   49,4%    32,6%  66,0%
 2位   スエーデン   47,6     33,4    70,2
 3位   フィンランド  44,9      32,1    71,5
 4位  ベルギー     44,8     28,8    64,3
 5位  仏        44,0      30,1    68,4
 6位  ハンガリー   42,4    データなし
 7位 ルクセンブルグ 41,9      25,2    60,1
 8位 オランダ     41,9      28,0    66,8
 9位オーストリア    41,6      27,1    65,1
10位ノルウエー     41,5      28,5    68,6
11位 伊         41,2      23,7    57,5
 ・・・・・・・・・・・・・・ 
14位 独         38,2      29,6    77,5
17位 英         35,2      22,8    64,8
・・・・・・・・・・・・・・・
25位 日本       28,4       14,1    49,6
26位 米        27,6       16,3    59,1
 日本の場合は租税社会保障負担率も際立って低い上に、そのうち、社会保障給付として、自分に還元される国民還元率もさらに、最低レベルなのである。
 これが、日本の保守自民党政権の姿なのである。
 いやはや、なんともはや、というため息が出そうな現状ではあるが、逆に、このことは、赤字財政・赤字国債(770兆、隠れ借金もで含めると1050兆くらい)の問題も政権によって(その政権の性格によって)作り出されたものであり、十分に解決可能な問題であることがわかる。
 つまり、はるかに、より豊かな国民生活・労働者人民の生活が展望できるということをも示しているのだ。
 それを阻害しているのが、現、自民公明保守政権なのである。
 そして、平和憲法への攻撃を執拗に続け、参戦可能な国家体制を作り上げようとしているのだ。
 左翼・民主勢力の団結をいかに勝ち取ってこの攻撃をはね返すことができるかが重要であろう。
 平和共同候補運動はそのひとつの方策になるかもしれない。